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NASDAデイリーレポート 戻る

宇宙飛行士共同会見
日 時 11月4日5:00pm〜5:40pm米国中部標準時間
場 所 ジョンソン宇宙センターのBldg.9 「きぼう」日本実験棟モックアップの前にて

向井宇宙飛行士の宇宙飛行中、毛利、土井、若田、野口宇宙飛行士の会見が行われました。

報告
毛利:JSC(ジョンソン宇宙センター)にたくさんのプレスの方に来て頂いてうれしく思っています。彼女はいつも「仕事場は宇宙」をモットーにやってきた。これまでは宇宙に行くこと自体が注目を浴びてきましたが、今回のミッションで仕事場としての宇宙が定着したと思います。今回日本の宇宙飛行士4人が揃うという機会を利用して、日本の宇宙開発について自由に意見を交わす良い機会だと考えています。

土井:今回のミッションで向井さんが順調に仕事をこなしていてうれしく思っています。今回のミッションで向井さんは日本人女性の優秀さを示してくれていると思いますし、今後、向井さんに続く女性宇宙飛行士が誕生することを期待しています。私の現在の訓練内容はロボットアームの訓練です。

若田:STS-95ミッションは軌道上の作業が忙しくなっていますが、向井さんのモットーどおり好調に仕事をしているという印象です。去年の土井さんのミッションから1年も経たないうちに向井さんが飛んで、そして来年は毛利さん、そして私が飛ぶことになります。日本人宇宙飛行士の活躍する場が増えてきてうれしく思います。これはNASAが日本を国際パートナーとして信頼してくれている証だと思っています。今はSTS-92ミッションに向けロボットアームの訓練を行っています。


毛利宇宙飛行士
野口:向井さんは元気な姿を見せてくれていて、サポートする側としてもやりがいがあります。私は今JSCでJEM(国際宇宙ステーションにとりつける「きぼう」日本実験棟)の開発支援をしています。またロシアで訓練調査を行った関係で日本とロシアの間の調整業務、新しく採用される宇宙飛行士の訓練に関する仕事を行っています。自分自身はいつ宇宙に行けるかどうか分からないですががんばりたいと思っています。


以下質疑応答
Q:向井さんが元気に仕事をしている姿を見て早く飛びたいという気持ちは高まりましたか?
野口:
今回参加しているペドロは実は私とアスキャンクラスの同期生で、44人のうちの第1号です。ステーションの仕事を楽しくやっているので特に焦りは感じていませんが、今まで以上に身近に感じてきたのは確かです。
土井:いつでも行けるようにしています。今後何回も宇宙に行けるチャンスがますます増えてくると思います。


土井宇宙飛行士
Q:グレンさんについて思うところを。
毛利:
私が50歳なのでグレンさんの77歳は驚異に値します。お年を召した方でも宇宙に行ける、ということを証明したことは大きいです。またグレンさんを被験者としての実験により地上での老人医療対策に新しい発見ができるのではないかとも思っています。
若田:今回のグレンさんの飛行は医学的な見地から多くの成果が期待できるのと同時に、より多くの年齢層の方が宇宙に行けることを証明したという意味で、しっかりとしたビジョンを持っていれば、夢を実現するのに年齢はハンディキャップにならない、ということを世界中にアピールしていると思います。

Q:パイロットやコマンダーになりたいという希望はありますか?
若田:
現時点では我々はMS(ミッションスペシャリスト)として採用されています。アメリカ人でもMSとして採用されてからパイロットになった例はありません。個人的には興味は持っているので、門戸が開放されていることを期待しています。
毛利:宇宙開発には長期的な視野が重要です。初めての時は大変だけど、ひとつ経験すればそれはみんなの経験になっていきます。少しずつデータを蓄積していくことが次へのつながりになります。例えば将来日本が月面で有人宇宙活動などを行う際には土井さんのEVA(船外活動)の経験が生かされていきます。経験を重ねれば重ねるほど目標は具体的になっていきます。今度の新しい宇宙飛行士についても違った観点から能力を伸ばしていってほしいです。


若田宇宙飛行士
Q:今後もずっとレディファーストですか?
土井:
今回向井さんが選ばれた理由はミッションがライフサイエンスミッショ ンで向井さの医師としての経験が生かされるということからです。それが結果的に日本人としては初の2回目の飛行となり良かったなと思います。我々男性陣もがんばりたい。
毛利:向井さんはレディファーストではないと言うかも。宇宙飛行士には力仕事は必要なく、男女の区別はありません。

Q:総理と科学技術庁長官と、向井宇宙飛行士との交信を見た感想を。
若田:
元気いっぱいだなという印象です。実験の作業をこなしながら、短歌も考えているということからも、前回とくらべて余裕が感じられます。
毛利:彼女も余裕が感じられますし、NASA側の方も安心して仕事を任していると思います。グレンさんとも二人いいコンビでやっていると思います。


野口宇宙飛行士
Q:現在日本は不況の影響が強くなっていますが、宇宙開発の予算が削られる恐れについて心配していますか?
毛利:
アメリカでも宇宙開発の予算はかなり削られてきました。それでもまだ額そのものは大きいです。アメリカでは宇宙開発をみんなで支えていこうという国民のサポートがあります。日本についても国民みんなにサポートしてもらう為に、宇宙開発が社会の活性化に役立つのだということをアピールして、将来何を目指しているのかということを明確に伝えていきたいです。

Q:ロシアの経済危機に関連して、ロシアの宇宙飛行士と何か話しをしたことがありますか?
野口:
ロシアの宇宙飛行士も日々の訓練にも支障が出てきているようですが、ロシアの宇宙飛行士は自分たちが今やっていることがロシアに必ず役に立つのだという誇りを持ってやっています。我々も国民のみなさんに宇宙開発をアピールしていって、日々の生活の役に立つんだということでみなさんの協力をいただいていきたいです。

Q:将来の宇宙飛行士にどんなことを期待しますか?或いは何かアドバイスがありますか。
毛利:
今度採用されて今から訓練を始めるとちょうどISS(国際宇宙ステーション)の完成時期になります。長期間宇宙に滞在するミッションになりますが、我々が建設するISSで存分に仕事をしてもらうことになります。そしてこれまでと違うのは、日米とか二国間の話ではなく、多岐にわたる国際パートナーとの共同作業になるということです。その中で日本も新しい文化を創造していくという観点からの貢献が出来ればと考えています。
 今回の選抜については、基本的には一緒に楽しく仕事が出来て、信頼出来る人をと考えています。今選考が進んでいる8名の方には、最終段階の11月末か12月にヒューストンに来てもらって訓練の様子を見学してもらうことも考えています。
Q:女性は入っているか?
毛利:
まだ発表していません。

Q:今後どういう分野を日本の得意分野としていくのですか?
毛利:
得意分野にするためにはやはり基礎がなければ。ロボットやコンピュー タ技術等で実績がある日本の特性を反映して、それらの経験や知見を生かしながら、ということになるのではないかと考えています。

Q.サービスモジュールの打ち上げスケジュールが決まらないということは、ミッションに向けて気分を高めていかなければならない宇宙飛行士の人にとってはつらいかなと思いますがどうですか?
若田:
STS-92はずれ込んでいますが、訓練は本格化しています。前回のSTS-72の時と違うのは、前回はまさに訓練が主な準備作業だったのに対して、今回はこれまでシャトルミッションでも経験が少ない作業分野が多いので、技術検討即ち会議が多く持たれています。打ち上げ時期が延びた分、多くの検討作業が実施できています。打ち上げ日程は6月がまだ正式な日程で、サービスモジュール以降の新しい日程については現在調整中です。

最終更新日:1998年11月30日

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