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向井万起男さんと毛利宇宙飛行士の打上げ後会見 10月29日4:25〜4:50pm(米国東部標準時間) スペースシャトル・ディスカバリー号が打ち上った後、向井万起男さんと毛利宇宙飛行士は、報道関係の皆さんに印象を語りました。 向井万起男さん(向井千秋宇宙飛行士のご主人)
打上げ管制センタービルの屋上で、ほかのクルーのご家族といっしょに打ち上げを見ました。2回目なので多少気持ちの上では余裕があると思って打上げに望んだのですが、直前にカウントダウンが止まったとたん、緊張が高まってしまい、前回と同じようにすごい緊張の中で打上げを見ました。4年前の打上げのときとくらべて、天気がすばらしく良かったので、長い間肉眼でスペースシャトルを見ることができました。 シャトルのメインエンジン停止後、完全に宇宙に出たことがわかった瞬間に、ジョン・グレン飛行士の奥様のアニーさんが私のことを強く抱きしめて、「本当によかった」と声をかけてくれた時、一番感動しました。もちろんクルーの人たち皆さんとも、とても仲良くやっていたのですが、特に今回はジョングレンというスーパーヒーローのご家族に大変優しくしていただきうれしく思いました。特に奥様のアニーさんという方が、まれに見るほど良い方で、目がきらきら輝いてすばらしい女性でした。あの方といっしょに打ち上げを見学できて本当によかったです。 打ち上げ前に彼女(向井宇宙飛行士)には、この場におよんで何もない、元気で行って来いと話しました。「ついていきたい!」なんて、前日にハッチの上まで行ったら高くてビビってしまい、自分には無理だと思いました。 毛利宇宙飛行士(宇宙開発事業団 有人宇宙活動推進室長)
私は向井さんのご両親や親戚の方々と一緒に、バナナクリークというところで打ち上げを見ていました。2回目だけあって、さすがにお父さんお母さんとも少し余裕を持っていらっしゃいましたけれども、打ち上げ直前にホールドがあったときは、やはり何があったのだろう心配されていました。NASAの解説もあり、私が制限区域内に飛行機が入っているかもしれないという説明をしましたので安心されたようです。打ち上げの瞬間は、前回はお二人とも緊張感でいっぱいでしたが、今回は固体ロケットブースターが外れるまで祈るような気持ちでくいいるように見つめていらっしゃり、少しほっとして「千秋が十分仕事をしてこられるように」と言っておられました。 私自身は、今回で打ち上げを見るのは6回目ですが、こんなに空気が乾燥してオレンジ色の光がまぶしくて、音も大きく、2分後の固体ロケットブースターの分離が肉眼で見られたのは初めてでした。今回は彼女の2回目の飛行なので、彼女のモットーとしている「仕事場は宇宙」という時代が本当に来たのだと実感しました。彼女の持ち味や2回目の経験を生かして仕事をしてくれると思います。打ち上げを見ながら、これで日本でも、宇宙開発あるいは宇宙飛行士という職業が夢ではなく、1つの社会に認められた仕事になるということを実感しました。 STS−95という今回のミッションは、宇宙ステーション建設やそこでの実験をはじめとする仕事につながります。また、今回は77才というグレンさんが一緒なので、向井さんは医者として、宇宙で得られたものを老人医療的な見地で、世の中に還元してくれると思います。 何よりも77才の方が飛行できたということは、本当に多くの方々に励みを与えてくれたのではないでしょうか。日本でも多くの方々が、自分も宇宙へ行きたいと思っていらっしゃると思いますが、今回のSTS−95ミッションは、みなさんの宇宙飛行がまた一歩近づいたという点でも、大きな出来事だと感じました。
ケネディー宇宙センター プレスセンターグランドにて
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