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NASAステータスレポート #15 1998年11月5日(水)5:00am米国中部標準時間 (11月5日8:00pm日本時間 ) ディスカバリー号の7人の宇宙飛行士達は、米国中部標準時間の今朝、午前4時15分(日本時間の午後19時15分)に、ムーディーブルースの曲で目覚め、軌道上での8日目の科学活動を開始しました。この「I Know You're Out There Somewhere,」という曲はコマンダー(船長)のカーティス・ブラウンの家族が選んだものです。 太陽観測衛星スパルタンをディスカバリー号のペイロード・ベイ(荷物室)に再び固定したため、宇宙飛行士達は、軌道上での80以上の科学実験に集中して作業を行うことになります。彼らはまた、土曜日の朝の地球への帰還に備えて、いくつかの実験装置については停止させる予定です。 ミッション・スペシャリスト(MS)のスティーブン・ロビンソンは、オービタ・スペース・ビジョン・システム(OSVS)の画像を最適化するテストを行うためOSVS装置を起動させる予定です。OSVSは、国際宇宙ステーションの組立て作業を行うロボットアームのオペレーターに、国際宇宙ステーションの組立てに必須となる精密な位置決め情報を提供するために使われる予定です。ロビンソンMSと欧州宇宙機関(ESA)のペドロ・デユークMSは、宇宙服(EMU)を起動させ、宇宙服に取り付けられた通信システムをテストする予定です。EMUは、船外活動を行う際に使われ、与圧環境を提供すると共に、熱や微小隕石からの保護、酸素、冷却水、飲料水、食べ物、廃棄物の収集(二酸化炭素の除去を含みます)、電力や通信などの機能を提供します。 飛行期間を通して、コマンダーのカーティス・ブラウン、パイロットのスティーブン・リンゼイ、スティーブン・ロビンソンMS、ペイロードスペシャリスト(PS)のジョン・グレンは、背中の痛み関する質問紙表に答えます。これは、無重量環境にさらされた際の骨髄、椎間板、筋肉の変化を調べる研究の一部です。この結果は、ミッション前に各宇宙飛行士から取得したデータと比較されます。 ジョン・グレンPSは、宇宙飛行中に生じる筋肉の萎縮を調べるタンパク質代謝(PTO)実験の一部として、血液サンプルの分析と処理作業を継続して行います。この筋萎縮のメカニズムを理解することは、年をとったり、寝たきりになった場合に通常見られる筋肉の萎縮に対処するための研究に貢献できると考えられています。 今日からいくつかの実験装置の停止が開始されます。電子嗅覚の飛行試験装置(E-Nose)を使用して、シャトル内の空気の質を分析する最後の試験を行った後、ブラウン船長はこの装置を停止させます。E-Noseは、空気の変化を検知する人の鼻の仕組みをまねた電気的な小型の空気モニタリングシステムです。また、デュークMSも微小重力科学グローブボックスの最終的な停止と、この実験に関連する機器類の収納を行います。 スコット・パラジンスキーMSは、海水型水棲動物実験装置(VFEU)内の魚の点検を行います。VFEU内のガマアンコウの内耳の前庭器官が微小重力環境にいかに適応するかを調べることにより、同様の機能を持つ人間の前庭器官に関する重要な知見が得られたり、平衡機能に障害がある人の治療方法を開発するための情報が得られるものと科学者達は期待しています。 米国中部標準時の午後12時10分(日本時間の11/6午前3時10分)には、クルー全員が集まり、ヒューストンのジョンソン宇宙センターに集まったアメリカ及び日本の記者達との共同記者会見を行います。また、同様にスペインのマドリッド郊外にあるESAのビラフランカ追跡施設に集まった記者達とも記者会見を行います。米国中部標準時の午後2時40分(日本時間の11/6午前5時40分)には、宇宙飛行士達が再び全員集まって、ホワイトハウスにいるアル・ゴア副大統領とマーキュリーの元宇宙飛行士スコット・カーペンターと交信を行います。 木曜日の夜、睡眠につく前には、クルー全員が集まり、伝統的に行われているクルーが集まっての記念撮影が行われます。その後、グレンPSと日本の向井千秋PSは、最後の睡眠ネットと睡眠スーツの装着を行う予定です。これにより、睡眠中の脳波、目の動き、筋肉の緊張度、身体の動き、呼吸数をモニタします。 また、向井宇宙飛行士は、睡眠実験の一部としてメラトニンまたは偽薬のどちらかを含んだカプセルを服用する予定です。 パイロットのリンゼイと向井宇宙飛行士は、宇宙の無重量環境下における植物の成長を研究する宇宙での植物栽培実験をさらに行う予定です。ブラウン船長とグレンPSは、カナダのOSTEO(軌道上での骨粗ショウ症)実験の 一部として、微小重力環境下で骨細胞の状態を観察するための8回目と9回目の培養を終える予定です。 現時点の天気予報では、土曜日の午前11時10分(米国中部標準時間)のケネディ宇宙センターへの着陸は、良好な天候が予想されています。ハリケーン「ミッチ」の名残りの嵐は、この地帯を通過し、金曜日の夜には、フロリダの東海岸を離れて移動すると予想されるため、着陸を行う土曜日は良い天候になると思われます。 ディスカバリー号は、高度約341マイル(約548km)の軌道を95分の周期で周回しています。全てのシステムは良好な状態で運用されています。
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