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NASAステータスレポート #13 1998年11月4日(水)6:00am米国中部標準時間 (11月4日9:00pm日本時間 ) ディスカバリー号の宇宙飛行士達は、米国中部標準時間の今朝、午前4時50分(日本時間の午後7時50分)に、日本の音楽で目覚めました。ペイロード・スペシャリスト(PS)の向井千秋飛行士が医学の学位を取得した慶応大学の応援歌「若き血」です。これは、午後2時55分(日本時間の11/5 午前5時55分)から行われる予定の日本の小渕恵三首相と竹山裕(ゆたか)科学技術庁長官とのVIPコールを称えて流された日本の曲です。 宇宙飛行士達は、再び太陽観測衛星スパルタンをディスカバリー号のペイロード・ベイ(荷物室)から持ち上げ、数時間に渡り、オービタ・スペース・ビジョン・システム(OSVS)の試験データ収集を行います。今朝、ミッション・スペシャリスト(MS)のスティーブン・ロビンソンが、MSのスコット・パラジンスキーの助けを借りて行うこのOSVSは、スパルタンとシャトルのペイロードベイ(貨物室)に取り付けられた特別なマーキングを使用し、ロボットアームのオペレーターに、テレビ画像上に、目に直接見えない場所の精密な位置決めに関する情報を提供します。このシステムは、12月に打ち上げられる次のシャトル飛行で国際宇宙ステーションの2つのモジュールを結合する際、ロボットアーム操作の支援装置として実際に使用されます。 ロビンソンMSは、シャトルの長さ約15mのロボットアームを使って、スパルタン衛星を把持し、衛星を固定していたラッチを外して、テストに使用する位置まで移動させます。OSVSテストが終了すると、スパルタンを元の位置に戻す操作をサポートするためビデオ・ガイダンス・センサー(VGS)を使用します。VGSは、シャトルとスパルタン衛星がどのくらい離れているのか、また、どのくらいの速さで、どちらの方向へ移動しているのかを精密に測定するために使われます。VGSは、国際宇宙ステーションで使用するために開発中の自動ドッキングシステム機器の一部です。 他のクルーメンバーは、軌道上での様々な科学実験を続けます。コマンダー(船長)のカーティス・ブラウン、パイロットのリンゼイ、ロビンソン、及びジョン・グレンは、毎日実施している背中の痛み関する調査票への記入を実施する予定です。これは、無重量環境にさらされた後の骨髄、椎間板、筋肉の変化を調べる研究の一部です。 グレンと日本の向井千秋飛行士は、今晩の就寝前に再び頭にネットを着用します。また、彼らは、特別な睡眠スーツも着用します。このネットには電極が、また睡眠スーツにはセンサーがセットしてあり、脳波、眼球の運動、筋肉の緊張度、体の動きや呼吸状態をモニターします。電極とセンサーはディジタル睡眠レコーダに接続されており、睡眠中の色々なデータが記録されます。向井飛行士はまた、睡眠実験の一環として睡眠剤のメラトニンかその偽薬が入ったカプセルを服用します。 パラジンスキーと向井飛行士はタンパク質代謝実験(PTO)の一環として、ESAのペドロ・デュークとグレンから採血します。PTOは微小重力下での筋肉の萎縮を調べるものです。グレンはこの24時間身に着けていたホルター心電図の電極とレコーダをとりはずします。この心電図は宇宙飛行中のグレンの心拍の変化の状況を調べるために使用したものです。グレンはまたPTOの作業の一環として採血されます。 グレンとパイロットのリンゼイは宇宙での植物栽培実験をし、その間パラジンスキーとデュークはマイクログラビティー・グローブボックス(MGBX)のビデオ撮影と写真撮影をします。MGBX実験はコロイド溶液の分散離合の研究とコロイド浮遊の構造の研究を行います。コロイドとは液体中に浮遊した微粒子で構成される系です。研究者は、原子が秩序正しく配列した固体が形成される際に、秩序性がどのように変化していくのかを知ろうとしています。このあとデュークはこの2つの実験装置を停止させます。 向井飛行士は日本の前庭機能実験装置(VFEU)の作業を続けます。この装置は2匹のガマアンコウが入っていて、内耳の平衡感覚系に重力の変化が及ぼす影響を神経電位を介してモニターしています。 ブラウン、リンゼイ、グレンの3名は午後12時30分(米国中部標準時間)からCBSラジオと"トゥナイトショウ"のインタビューに参加します。 ディスカバリー号は高度約546kmの軌道を95分で一周しています。全ての機器は正常に作動しています。 次のステータスレポートは水曜日、米国中部標準時間午後6時を予定しています。
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