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NASAステータスレポート #11
1998年11月3日(火)6:30am米国中部標準時間 (11月3日9:30pm日本時間 )

 ディスカバリー号の宇宙飛行士達は、米国中部標準時間の今朝、午前5時25分(日本時間の午後20時25分)に、ミッション・スペシャリスト(MS)のスティーブン・ロビンソンのために流したスティービー・レイ・バーンズの「If the House is A-Rockin」という曲で目覚めました。ロビンソンMSは、「Max Q」というバンド名の宇宙飛行士バンドの仲間から「スティービー・レイ・ロビンソン」と呼ばれています。昨日の楽しい休息の後、クルーは今日の午後に予定されているスパルタン衛星の回収準備作業に集中していました。スパルタン衛星は太陽の外層を2日間に渡って観測していました。回収は、米国中部標準時間の午後2時45分(日本時間の11/4 午前5時45分)に予定されています。

 ランデブ作業は、コマンダー(船長)のカーティス・ブラウンがディスカバリー号のエンジンを噴射し、シャトルの高度を下げることから開始されます。これにより、シャトルはスピードを早め、衛星の前方を飛ぶようになります。
この後、ディスカバリー号は、スパルタン衛星の上を通過し、その後、衛星の後方約8,9マイル(約12.8〜14.5)まで惰性で戻ります。ブラウン船長とパイロットのスティーブン・リンゼイは、その後ディスカバリー号をロビンソンMSが起動させた長さ50フィート(約15m)のロボットアームの位置まで移動させます。
 ディスカバリー号は、スパルタン衛星の下側から35フィート(約10m)の距離まで接近します。その位置でスコット・パラジンスキーの助けを受けながら、ロビンソンMSはロボットアームを使用してスパルタン衛星をつかみます。これにより、スパルタン衛星を使用した最初のフェーズの科学ミッションが終了します。ディスカバリー号の本日のスパルタン衛星への接近時に、宇宙飛行士はビデオ・ガイダンス・センサーと呼ばれる装置のテストを行います。この装置は、国際宇宙ステーションで使用するために開発中の自動ドッキングシステム機器の一部です。これは、シャトルと目標物がどのくらい離れているのか、また、どのくらいの速さで、どちらの方向へ移動しているのかを精密に測定するためのレーザー測定システムです。スパルタン衛星をロボットアームで捕まえる前に、ディスカバリー号はこのガイダンス・システムの最大測定距離をテストするために衛星から後退する予定です。

 スパルタン衛星は、データ収集のため、明日再び使用される予定です。もう一度、ペイロードベイから数時間の間持ち上げ、カメラが衛星を目標物として指向できるようにします。これらのカメラは、ロボットアームの操作担当者が目で直接見えない場所で、ロボットアームを操作できるようにするためのカメラ視野を提供するスペース・ビジョン・システム(宇宙での視覚システム)のテストとなります。

 他のクルーメンバーは、軌道上での科学実験を続けます。NASDAのペイロード・スペシャリスト(PS)の向井千秋とジョン・グレンPSは、パラジンスキーMSと欧州宇宙機関(ESA)のペドロ・デュークMSと共に、再び採血を行う予定です。彼らは、その後で、特別のトレーサー分子を含むアミノ酸の一種であるアラニンとヒスチジンを少量服用し、その12時間後にもう一度採血します。この研究はタンパク質代謝実験の一部であり、地上の筋肉や骨が弱くなった人々に恩恵をもたらすと考えられています。

 グレン宇宙飛行士は、ホルター心電図の電極を装着し、軌道上での心拍数を測定する予定です。これは、宇宙飛行中の心拍数の変化を研究する実験の一部です。彼はまた、OSTEO(軌道上での骨粗ショウ症)実験の一部として、微小重力環境下で培養中の骨細胞の状態を観察する実験、及び、微小重力環境下で生物学素材を精製、分離するADSEP(発展型有機物分離装置)実験等で忙しく作業を続ける予定です。

 グレンPSとデュークMSは、宇宙での植物栽培実験と2種類の抗ガン剤を含んだカプセルを作成する研究であるMEPS(マイクロカプセル静電処理システム)実験を行う予定です。デュークMSは、流体中に浮遊させた微細な粒子のコロイド化、システム化を研究するためのMGBX(微小重力グローブボックス)実験のビデオと写真の撮影を行う予定です。

 宇宙飛行士の睡眠状態を研究するために、向井PSとグレンPSは前夜の睡眠について、自分自身の状態を観察し、質問紙表に答える予定です。また彼らは、手と目の協調性、短期間の記憶、反応時間等を測定するために、コンピュータを用いたテストを行います。

 向井PSは、日本の海水型水棲動物実験装置(VFEU)の実験を継続して実施します。この装置には、2匹のガマアンコウが入っており、内耳の前庭器官の重力による変化の影響を調べるために、神経活動がモニタされています。また、彼女は、宇宙での植物栽培実験(Astroculture-8)装置をモニタする予定です。この装置は、宇宙の無重量環境下で植物を栽培するため、飼育環境を制御できるよう設計されています。

 ディスカバリー号は、高度約341マイル(約548km)の軌道を95分の周期で周回しています。シャトルの全システムは良好な状態で運用されています。

最終更新日:1998年11月30日

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