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NASAステータスレポート #09 1998年11月2日(日)6:00am米国中部標準時間 (11月2日9:00pm日本時間 ) ディスカバリ号の宇宙飛行士達は、1962年にアカデミー賞を受賞したアンディー・ウイリアムズの「ムーンリバー」という曲で、米国中部標準時間で今朝の6時に起床しました。この曲は、ジョン・グレンの奥さんのアニー・グレンがグレン飛行士とウイリアムズ氏の間の長年の交友関係に敬意を表してリクエストした曲です。7人の宇宙飛行士達は、昨日のスパルタン太陽観測衛星の放出が無事成功したため、今日の自由時間を楽しみにしています。スパルタン衛星は、明日、ディスカバリー号で回収されるまで太陽の外層の観測を行います。 軌道上では、幾分遅いペースではありますが、様々な種類の幅広い科学実験が今日も行われます。ペイロード・スペシャリスト(PS)の向井千秋とミッション・スペシャリスト(MS)のスコット・パラジンスキーは、(2人とも医者ですが)タンパク質代謝実験の一部としてグレン宇宙飛行士とペドロ・デユークMSから採血を行う予定です。このタンパク質代謝実験は、宇宙飛行の前後と飛行中で、身体を構成しているタンパク質の代謝を調べるものです。 向井宇宙飛行士とグレン宇宙飛行士の2人は、昨晩、睡眠中に他の測定装置と共に、頭に電極の付いたネットをかぶりました。また、この睡眠実験の一部として認識能力のテストを行う予定です。認識能力のテストは、ラップトップコンピュータ上に表示される光の指示にいかに素早く反応できるか等を測定するものです。 向井宇宙飛行士とグレン宇宙飛行士の2人は、頭に電極の付いたネットを今晩もかぶる予定です。電極は、脳波、目の動き、筋肉の緊張度、身体の動き、呼吸をモニタするデジタル・スリープレコーダに接続されます。向井宇宙飛行士は、睡眠につく前に、実験の一部としてメラトニンまたは偽薬のどちらかを含んだカプセルを服用する予定です。 パラジンスキー宇宙飛行士は、ハッブル宇宙望遠鏡軌道上システム試験機器(HOST)の機器の状態をチェックする予定です。HOSTは、ハッブル宇宙望遠鏡の3回目のサービスミッションで使われる予定の装置を軌道上でテストするためのものです。パラジンスキーMSとパイロットのスティーブン・リンゼイは、火曜日に行われるスパルタン衛星とのランデブとその後の衛星の把持、及びペイロードベイ(貨物室)への再固定に使う機器の準備も行います。スティーブン・ロビンソンMSは、この太陽観測衛星とのランデブを行った後、シャトルのロボットアームを使って、明日の午後スパルタン衛星を捕まえます。 本日行われる予定の、その他の科学実験としては、方向性凝固及び結晶成長を行うAGHF(発展型温度勾配炉)と、流体中に浮遊させた微細な粒子のコロイド化、システム化を研究するためのMGBX(微小重力グローブボックス)からのビデオデータの取得が行われます。また、パラジンスキーMSは、OSTEO(軌道上での骨粗ショウ症)実験の一部として、微小重力環境下で骨細胞の状態を観察するための5回目の培養を終える予定です。 コマンダー(船長)のカーティス・ブラウンは、今朝は、電子嗅覚装置の試験を行う予定です。この装置は、幅広い範囲の有機物、無機物分子を検出、識別し量を測定するために開発されたものです。これにより軌道上での空気の品質に関する広範囲な測定を行うことができます。 向井PSは、2匹のガマアンコウが入っている海水型水棲動物実験装置(VFEU)のチェック作業で忙しいでしょう。この魚は内耳の前庭器官の重力による変化の影響を調べるために、神経活動がモニタされています。また、彼女は、宇宙での植物実験(Astroculture-8)装置をモニタする予定です。この装置は、宇宙の無重量環境下で植物を栽培するため、制御された環境を提供できるよう設計されています。 米国中部標準時間の午前9時55分(日本時間の11月3日午前0時55分)にブラウン船長、デユークMS、グレンPSは、スペインの文部大臣であるエスペランザ・アギレからの祝福の交信を受ける予定です。デュークMSは、宇宙飛行を行った最初のスペイン人となりました。スペインの17の地域の学生の代表からの質問も行われる予定です。 米国中部標準時間の午後4時00分(日本時間の11月3日午前7時00分)にブラウン船長とグレンPSは、アメリカの5大テレビネットワークとのインタビューを行う予定です。 ディスカバリー号は、高度約349マイル(約560km)の軌道を95分の周期で周回しています。全システムは良好な状態で運用されています。
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