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NASAステータスレポート #07 1998年11月1日(日)6:00am米国中部標準時間 (11月1日9:00pm日本時間 ) ディスカバリー号の7人の宇宙飛行士は、米国中部標準時間の午前6時35分にトム・チャピン(Tom Chapin)の「This Pretty Planet」というウエイクアップの音楽で目覚め、4日目の実験活動を開始しました。この曲は、パイロットのスティーブン・リンゼイの奥さんのダイアンがリクエストした曲です。今日の主な活動としては、米国中部標準時の午後1時3分に太陽観測衛星スパルタンを放出する予定です。この衛星はディスカバリー号から離れて2日間飛行し、太陽の外層についての研究を行います。 ミッション・スペシャリスト(MS)のスティーブ・ロビンソンは、ディスカバリー号のロボットアームを使って、シャトルの荷物室に固定されているスパルタン衛星を把持して、放出するための準備を行います。ディスカバリー号から放出されると、スパルタン衛星は事前にプログラミングされたピローエット・マヌーバー(回転運動)を行います。これにより、スパルタン衛星の全ての機能が正常に働いていることが確認できます。コマンダー(船長)のカーティス・ブラウンは、この後、ディスカバリー号をスパルタン衛星から離れた位置まで後退させます。最初は、地上の管制官がスパルタン衛星の科学観測機器の1つを太陽に正確に指向させるために使用する予定の通信回線の試験を行うため、少しだけ離れます。ブラウン船長は、この後、ディスカバリー号をスパルタン衛星から40マイル(約64km)の距離まで、徐々に離していきます。この衛星は、火曜日にロビンソンMSがロボットアームを使用して回収する予定です。スパルタン衛星は、昨年11月のコロンビア号によるSTS-87ミッション時には、放出後トラブルを起こして、太陽科学観測ができませんでした。 スパルタン衛星の2つの主要観測機器である、紫外線コロナ分光器(UVCS)と白色光コロナグラフ(WLC)は、太陽コロナ中の太陽風の速度、原子の温度と密度を測定します。これにより科学者達は、太陽風の発生メカニズムと地球周辺の電磁環境に与える影響についての理解を深めることができます。太陽風は、地上の通信技術に重大な影響を与えることがあります。 また、ディスカバリー号の宇宙飛行士達は、一連の医学実験を継続して実施します。彼らは、人体がどのようにして宇宙での無重量環境に適応するのかを調べ、また、地上での老化のプロセスとも比較します。 ペイロードスペシャリストのジョン・グレンは、カナダのOSTEO(軌道上での骨粗しょう症)実験の一部として、培養中の骨細胞組織の状態を観察します。また、グレン宇宙飛行士は、筋肉組織の生成と分解のバランスを研究するタンパク質代謝実験の一部として、採血を行います。 彼はまた、微小重力環境下で生物学素材を精製、分離するADSEP(発展型有機物分離装置)実験、2種類の抗ガン剤を含んだカプセルを作成する研究であるMEPS(マイクロカプセル静電処理システム)実験も行います。 本日行われる予定のその他の実験としては、方向性凝固及び結晶成長を行うAGHF(発展型温度勾配炉)と、流体中に浮遊させた微細な粒子のコロイド化、システム化を研究するためのMGBX(微小重力グローブボックス)実験が行われます。 米国中部標準時の午後4時35分には、ブラウン船長とグレン宇宙飛行士が、ジョンソン宇宙センターにいる記者達と記者会見を行う予定です。 ディスカバリー号は、高度約340マイル(約544km)の軌道を95分の周期で地球を周回しています。全システムは良好な状態で運用されています。
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