搭載ペイロード
STS-95ミッションで搭載される主要ペイロードは次の4つです。
1.
スペースハブ(SPACEHAB)
スペースハブは、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)に搭載される宇宙実験室です。スペースハブの中は地上と同じ約1気圧に与圧されており、シャツ姿で実験を行うことが出来ます。
スペースハブは、米国スペースハブ社が開発し、1993年にスペースシャトルに初めて搭載されて以来、今回で12回の飛行となります。
スペースハブには、シングルモジュールとダブルモジュール(シングルモジュールの約2倍の容積)の2種類があり、ミッションの目的に応じて使い分けられています。STS-95では、シングルモジュールが使用されます。
スペースハブ内のイメージ図
壁面に取り付けられた小さな箱がロッカーです。奥にはラックが取り付けられています
イラスト提供:スペースハブ社
2.
ハッブル宇宙望遠鏡軌道上システム試験機器(HOST)
HOSTは2000年5月に予定されているハッブル宇宙望遠鏡(HST)の保守点検ミッションに先立ち、新しい装置や技術の検証、試験を宇宙放射線環境/無重力環境下で行うことが目的です。
HOSTには以下の実験装置を搭載し、検証、試験を行います。
NICMOS冷却システム
現在NICMOS(近赤外域観測装置)の冷却材として使用されている固体窒素に替わり、長時間運用を可能とする新冷却システムの動作確認を行います。
HST486コンピュータ
現在使用中のDF-224計算機プロセッサ(CPU)に替わり使用される新型の486計算機プロセッサの耐宇宙放射線性を確認します。
光ファイバ
放射線環境下における光ファイバの伝送性能を確認します。
半導体データ・レコーダ
現在使用中のテープレコーダとの比較動作試験(耐宇宙放射線性など)を行います。
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)
3.
太陽物理観測衛星スパルタン(SPARTAN201)
スパルタン201ミッションの主な目的は、太陽のコロナ層で発生する太陽風の加速や、コロナ層の加熱などのメカニズムを検証することです。
スパルタン201は、スペースシャトルから放出、回収することで再利用可能な太陽物理観測用フリーフライヤ−です。1997年10月に行われたSTS-87ミッション時に、土井宇宙飛行士らが
EVA(船外活動)を行って手づかみで回収
し話題になった衛星です。1993年の初飛行から数えて、今回で5回目の飛行となります。
太陽物理観測衛星(SPARTAN201)
4.
第3次国際極超紫外線観測装置(IEH-03)
IEHは、太陽、木星、あるいは太陽系外の天体を極超紫外線の波長域で観測するミッションです。
1995年9月、1997年8月に引き続き、今回が3回目の飛行となります。IEH-03には、以下の実験装置が搭載されます。
太陽極超紫外線観測装置
地球上層大気の研究を目的に、太陽から地球大気への極超紫外線と超紫外線の入射量を測定します。
紫外線スペクトログラフ望遠鏡
木星の衛星イオのプラズマトーラスや高温の恒星等のプラズマ源からの極超紫外線スペクトル画像を取得します。
STAR-LITE
超新星の残骸、銀河系外での星の形成域などを観測します。
太陽定数観測装置
太陽のエネルギー放射(太陽定数)の変化を精密に測定します。
また、IEH-03の空きスペースを使用して、以下の実験装置も搭載されます。
小型アマチュア無線通信衛星(PANSAT)
地上局との間のデジタル通信を目的にスペースシャトルから軌道に投入され、回収は行いません。直径約48cmの多面体の人工衛星です。
CONCAP-IV
無重力環境下での蒸気移動を利用し、非線形光学材料として使用する薄いフィルムの成長実験を行います。
GAS-764
原始太陽系でのダスト雲の動きとダストの集合を、真空容器に入れた小さなガラスの粒子を用いて模擬する実験を行います。
GAS-238
ペイロードの搭載位置
最終更新日:2003年5月26日