7.4 EVA支援設備機器

7.4.1 移動支援設備機器

 ペイロードベイ内でEVA実施中のクルーの安全な移動を支援するために次のような支援設備機器が用意されています。

 

(1)セイフティ・テザー

 クルーをスライドワイヤ(図7-17 参照)に繋ぎ止めておくためのケーブル。エアロックを出る前に腰のテザー(図7-14 参照)に取りつけ、EVA実施中はそのままの状態で作業を行います。

 構成は次のとおりです。

  ・リールケース

  ・Dリング

  ・ロック/アンロックセレクタレバー

  ・35または55フィートのケーブル

 使用の際はリールケースについているDリングに腰のテザーを取りつけます。セレクタレバーがアンロックのときケーブルは自動的に巻き取られゆるみが除かれ、ロックのときは強く引くとケーブルが繰り出されます。

 セイフティテザーは布製のコンテナに入れてエアロックハッチのすぐ上に取りつけられています。Dリングはコンテナの外に出ていて、クルーが腰のテザーを取りつけ易くしてあります。ケーブル先端部のフックは打ち上げ前からスライドワイヤまで伸ばされ、途中4箇所をマジックテープでとめてあります。

 図7-16はセイフティ・テザーの外観。

 

図7-16 セイフティ・テザーの外観

(出典:EVA Contingency Operations Training Workbook cont OPS 2102)

 

(2)スライドワイヤ

 スライドワイヤーはオービタのペイロードベイの両側に添って取りつけてあるワイヤであり、EVA中の飛行士が誤ってシャトルから飛ばされることがないようにして移動するために使われます。各ワイヤには2つのスライダーがついていてセイフティテザーの端のフックを取りつけます。スライダーとセイフティテザーを組み合わせて使うことにより、クルーはペイロードベイ全体とペイロードにアクセスすることができます。

 図7-17にスライドワイヤとセイフティテザーを組み合わせての使用状況を示します。

 

図7-17 スライドワイヤとセイフティテザーを組み合わせての使用状況

(出典:EVA SUITS AND LIFE SUPRORT SYSTEMS G.LUTZ 1/10/91 )

 

(3)ハンドレール

 クルーが移動する時につかむ手すりのことで、ペイロードベイの両側や前方と後方の隔壁に取り付けられています。