3. スペースシャトルの打上げについて

 

3.1 打上げ計画

3.1.1 概要

 STS−87で使われるコロンビア号は、ケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられます。通常、発射約8時間前から、スペースシャトルの外部タンク(ET)への燃料、酸化剤の充填が開始され、発射の約2時間45分前には食事、天候のブリーフィング、着替え等を終えた搭乗員が搭乗します。打ち上げのための最終秒読みは発射20分前から開始されます。

 発射の6.6 秒前にはメインエンジンに点火され、推力が正常であることが確認されると、固体ロケットブースタ(SRB)にも点火され、スペースシャトルはリフトオフを開始します。リフトオフで、シャトルが発射台を離れると同時に、シャトルの飛行管制は、KSCからジョンソン宇宙センター(JSC)に引き渡されます。

 当初、垂直に発射されたスペースシャトルは、その後姿勢を変更しながら上昇を続け、固体ロケットブースタ、外部タンクを切り離した後、軌道修正用エンジンを噴射しながら約40分後に所定の円軌道に投入されます。

 図3-1 にミッションの概要を示します。

 

図3-1 シャトルミッションの概要

 

3.1.2 STS−87関連NASA施設

 今回のSTS−87計画に関わるNASA施設を図3-2 に示します。各施設の役割を要約すると以下のようになります。

(ア)ケネディ宇宙センタヘ(KSC)

 ・ペイロード(USMP−4,スパルタン201等)の組立・点検・組込み

 ・スペースシャトルの組立・点検

 ・シャトルの打上げと着陸

  打上げは、ケネディ宇宙センターのシャトル用射点(Pad39B)で行われ、打上げ管制センター(=ロンチ・コントロール・センター:LCC)が各打上げに対し責任をにないます。今回のミッションで使用されるスペースシャトル、コロンビア号は、同センター内にある滑走路への着陸が予定されています。なお、シャトルの着陸地としては、この他にカリフォルニア州のドライデン飛行研究センター等があります。

(イ)ジョンソン宇宙センター(JSC)

 ・クルーの飛行訓練

 ・クルーの健康管理

 ・シャトルの飛行管制

  シャトルのリフトオフ後、着陸までの飛行コントロールは、ジョンソン宇宙センターのミッション・コントロール・センター(MCC)が船長、パイロットと交信しながら行います。

(ウ)マーシャル宇宙飛行センター(MSFC)

 ・STS−87ではMSFCはUSMP−4、MGBXペイロードのミッションの取りまとめを実施します。

(エ)ゴダード宇宙飛行センター(GSFC)

 ・通信ネットワークの管理

 ・スパルタン衛星のミッションの取りまとめを実施

(オ)ホワイトサンズ試験施設(WSTF)

 ・追跡・データ中継衛星の地上局

 ・代替着陸地

 ・緊急着陸地

(カ)ドライデン飛行研究センター(DFRC)

 ・代替着陸地

 ・緊急着陸地

 

図3-2 STS−87関連のNASA施設