コロンビア号事故調査委員会(CAIB)の発足と調査
コロンビア号事故後に発動された緊急時行動計画の一環として、NASAのショーン・オキーフ長官は、米国中部標準時間2003年2月1日午前9時30分(日本時間2月1日午後11時30分)に「国際宇宙ステーション・スペースシャトル事故調査合同委員会(ISS and Space Shuttle Mishap Interagency Investigation Board)」(その日のうちに、「コロンビア号事故調査委員会(Columbia Accident Investigation Board: CAIB)」に名称を変更)を発足させ、その長としてハロルド・ゲーマンJr. 退役海軍大将を任命しました。 CAIBは、コロンビア号のテレメトリの解析、空中分解した状況の把握、飛行2日目に軌道上で分離しレーダで探知された物体が何であったかの解析、地上で回収された破片の解析、強化炭素複合材(Reinforced Carbon-Carbon: RCC)に外部燃料タンク(External Tank: ET)の断熱材を衝突させる試験などを実施した他、公聴会を開き専門家からの意見を集めて、事故原因を究明すると共に、再発を防止するための勧告を作成しました。
事故の直接的原因
打上げ時に外部燃料タンク(ET)からはがれ落ちた断熱材の破片が左翼前縁に衝突し穴が空いたと推定されます。 左翼に破片が衝突したことは、打上げ翌日に映像確認によって分かっていました。 破損は外部燃料タンクの左側のバイポッド・ランプ部(2脚のオービタと外部燃料タンクの取り付け部)から剥離した断熱材の破片が、打上げ81.9秒後に強化炭素複合材(RCC)パネル8番付近に衝突することによって始まりました。 CAIB報告書の発行
事故発生から7ヶ月後となる2003年8月26日にCAIBは、29件の勧告(飛行再開に関する15件の勧告を含む)を含んだ11章から構成される248ページの最終報告書(第1分冊)を公開しました。また、2003年10月29日には残りの第2~第6分冊(第1分冊を作成する際に利用した技術文書や記録、データ集)を公開し、これをもってCAIBは解散しました。 CAIB報告書の第1分冊には、事故の経過と要因を明らかにすると共に、今後の事故の可能性を減少させるための多数の所見と勧告が整理されています。 事故に関わる要因としては、以下のように具体的な原因だけにとどまらず、幅広い視野で事故の遠因を分析し、指摘を行っています。
最終更新日:2005年4月7日
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