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事故の状況
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ダラスで撮影された空中分解するコロンビア号
(Robert McCullough/copyright 2003 The Dallas Morning News) |
米国中部標準時間2003年2月1日午前7時59分32秒(日本時間2月1日午後10時59分32秒)にテキサス州上空、高度約62km(約20万1,000フィート)、速度マッハ18.3で帰還中であったスペースシャトル・コロンビア号と地上との間の音声交信が途絶え、その後レーダによる追跡も途絶えました。この直後、飛行中のコロンビア号が空中分解し、残骸がテキサス州の中央部から東部にかけて落下したことが報告されました(NASAのフライトコントローラもTV局の緊急生中継で空中分解を確認)。着陸まであと16分という地点での事故でした。
同午前8時18分、NASAは緊急事態を宣言し、チャレンジャー号事故後に作られていた緊急時行動計画(Contingency
Action Plan)を発動しました。
破片の回収
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米国テキサス州東部で、破片は約5,000km2以上にわたって散乱し、約2,800km2以上の範囲が捜索された |
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ボランティアも参加して破片を探す |
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メインエンジンの一部 |
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ケネディ宇宙センターの格納庫に集められた破片(オービタの形に並べられている) |
同2月1日午前8時過ぎにはじまった緊急対応は、テキサス州だけでも約5,000km2を越える破片の散乱範囲で汚染除去・回収をするという膨大な作業となりました。事故発生から数時間もしないうちにブッシュ大統領は、テキサス州東部を連邦災害地域に指定し、米連邦緊急事態管理局(FEMA)と環境保護局(EPA)のチームの緊急派遣を行いました。さらに地元の警察官や郡警察、州兵、ボランティア、地元住民が捜索や警備に加わりました。
この過去に例を見ない広大な破片の散乱状況に直面して、NASAとFEMAの当局者は林野部(Forest
Service:または森林局)の消防隊員を主要探索チームとすることにしました。
テレメトリ、レーダ、写真、ビデオ、気象データだけでなく、一般から寄せられた報告をもとに破片の軌跡を描いた精緻な地図に基づき、テキサス州東部の林や、やぶの生い茂る中を、約3mの間隔で並んで歩くことにより、破片を見落とすことがないようにしながら、蛇の出没する沼地や、午前中一杯時間をかけても数100メートルしか進めないほど太い低木のある雑木林などを探索しました。これらの20人体制の地上班はコロンビア号の軌跡の左右幅約3.2kmに広がった範囲を組織的に探索しました。
航空捜索クルーは、地上捜索者の支援を行うために、37機のヘリコプターと7機の航空機を使用して、コロンビア号の軌跡の中心から、両側約3.2kmから約8kmの幅に存在する破片を捜索しました。また、破片が多く散乱している地域内にあるナコドチェス湖とトレド・ベンド貯水池の調査を行うために潜水チームが編成されました。
2003年5月6日にケネディ宇宙センター(KSC)に最後のトラックで破片が運ばれましたが合計で83,743個、重量は38,460kgとなり、帰還時のコロンビア号の乾燥重量101,010kgの約38%に達しました(その後も通報による細々とした回収が続けられていますが、残りは燃え尽きたか、回収できないほどの細かさになって四散したと想定されます)。
最終更新日:2005年4月7日
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