研究者 | : | 石原
昭彦(助教授) |
研究機関 | : | 京都大学
総合人間学部 |
| 研究概要 |
筋肉は瞬発力を生み出す速筋と、重力に逆らう方向に働き持久力を生み出す遅筋から構成されています。一方、脊髄には神経細胞があり、その細胞が神経線維を伸ばして筋肉を動かします。
この研究の特徴は速筋と遅筋の筋肉としての特性の変化を、脊髄の神経細胞の変化とともに調べることです。
宇宙に滞在すると筋肉、特に遅筋が萎縮することが分かっており、さらに遅筋の特性が速筋の特性へ移行する現象が起きます。加えて、遅筋を動かす運動神経細胞の能力の低下も生じます。
これらの変化とともに、宇宙滞在により新たに発現する遺伝子や消失する遺伝子もあるものと思われます。
本研究では、こういった遺伝子の発現および消失について明らかにするとともに、宇宙環境に対する神経・筋活動の適応機構を明らかにして、宇宙飛行士が宇宙滞在において安全に活動が行えるような処方を開発することを目的としています。
宇宙飛行をする8
匹のラットおよび、16 匹の地上対照用ラット(宇宙実験用動物飼育装置を使った飼育、および通常ケージでの飼育 各8 匹)の長指伸筋と長内転筋および脊髄を摘出し、液体窒素で凍結して、筋肉線維の分布を分析します。
脊髄については神経細胞における酵素活性の変化を化学反応によって検出し、どのように運動神経細胞が筋肉の動きを制御しているか、またそれには遺伝子がどのようにかかわっているか解明します。
Slow type の運動ニューロンとそれが神経支配する遅筋線維は、選択的に宇宙環境への曝露による影響を受けます。本研究では、それらに関係する骨格筋と脊髄における遺伝子の発現と消失について検討します。