◎ 概要 - 11月16日(木)ロシア閣僚会議が開催され、ミールの今後の運用について議論が交わされた模様。
- ロシア航空宇宙局(Rosaviakosmos)コプチェフ長官は会議後報道陣に対し、ロシア内閣は来年2月末(27日または28日)にミールを太平洋上に落下させることを決定したと発言したとのこと。
※ 本件について、現在までのところロシア政府から正式な発表はされていません。 - ミールの民間資金による運用を請け負っているMir Corp社は、ロシア政府からの正式な発表待ちの姿勢をとっている模様。
◎ Rosaviakosmosコプチェフ長官のコメント - Rosaviakosmosはロシア内閣に対してミールのデオービットプランを提示し、ロシア内閣はこれを大筋で支持した。
- Rosaviakosmosが提示したミールデオービットプランでは、来年1月に無人のプログレス補給機をミールに向けて打上げ、ミールの高度を徐々に下げ、2月27日または28日に太平洋の安全な海域に落下させるというもので、万が一プログレス輸送機などに不具合が生じた場合は、トラブルシューティングのためのクルー2名を打ち上げることになる。
※ ロシア政府は2000年度ロシア宇宙予算にミール運用費として15億ルーブル(約$54.5M)を計上しているが、当該クルー用のソユーズの資金が既に確保されているかは不明です。
- ミールへの一般人滞在として計画されていた米国人Denis Tito氏のフライトは実現しない可能性が高い。
※ Tito氏はMir Corp社と約$20Mでミールへのフライトを契約しており、既に$1Mを訓練等に支払っている模様。
◎ ミールの落下範囲 - ロシアフルニチェフ社(FGBの開発・製造を請け負ったロシア宇宙関連企業の最大手のひとつ)の専門家によると、落下海域はオーストラリア東方1500〜2000kmの太平洋上で、長さ6000km〜1万km、幅200〜500kmの範囲に渡り落下する可能性があるとしている。
また同専門家によると、ミールのモジュールの骨組み、ジャイロ、エンジンなどは大気圏突入の際に燃え尽きず、数千個の残骸となって広範囲に落下する可能性があるとし、これらの落下は様々な要素(太陽フレア、大気の状態など)の影響を受けるため、全てを安全な海域に落下させることを保証することはできないとしている。
※ 以下の図にミール落下予想海域とこれまでに地上へ落下した主な事例を示す。
(photo by Reuters) | ◎ Denis Tito氏のコメント - ミールへのフライトの可能性はほとんどなくなったが、その代わりに来年4月30日打上げのソユーズ(ISSフライト2S)に搭乗しISSに滞在できるものと考えている。
◎ Tito氏のコメントに対するNASAの反応 - NASAスポークスウーマンKirsten Larson氏は、ロシア側からその様な話は何も聞いていないとしている。
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