船外活動(EVA:Extravehicular
Activity) |
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UF2(STS-111)フライトでは3回の船外活動を予定しています。3回とも国際宇宙ステーション(ISS)のエアロック「クエスト」から実施します。ISSをベースとして実施する船外活動としては14回目、15回目、16回目、またISS組み立てのための船外活動としては、39回目、40回目、41回目となります。これらの船外活動は、ISSのロボットアーム「カナダアーム2」がトラスに沿って移動するための重要な設備であるモービル・ベース・システム(Mobile
Base System: MBS)を取り付けること、およびカナダアーム2の不具合がある関節部を交換する事を主な目的としています。
3回の船外活動は飛行5日目、7日目、9日目と1日おきに、いずれもフランクリン・チャン-ディアズ、フィリップ・ペリンが実施します。フランクリンは7回目の宇宙飛行ですが、船外活動は初めてです。フィリップはフランスの宇宙飛行士で初飛行です。
- 第1回船外活動(飛行5日目)
作業時間は3回の船外活動の内最短の6時間で、以下の作業を予定しています。
1. PDGF(Power and Data Grapple Fixture)のP6トラスへの取付け
PDGFはロボットアームで把持するための部品で、電力やデータやビデオ信号を中継することができます。これを1台P6トラスに取り付けます。この作業は、今後のフライトで予定している作業の準備として実施するもので、将来P6トラスを移設する際にはこのPDGFをロボットアームで掴んで作業をおこないます。
2. デブリパネルの仮置き
ISSを宇宙のゴミとも言えるデブリの衝突から保護するためのパネル(Service Module Debris Panel: SMDP)(デブリシールドともよばれます。)をエンデバー号の貨物室から取り出し、「ユニティ」(与圧結合モジュール1)と「ザーリャ」(基本機能モジュール)を結合している与圧結合アダプタ(Pressurized
Mating Adapter1: PMA1)に仮置きします。このパネルはデブリ対策として、第5次長期滞在クルーが実施する船外活動で「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)に取り付けます。
3. MBSの部品の断熱カバーの取外し
エンデバー号の貨物室内にあるMBSをモービルトランスポータ(台車)(Mobile Transporter: MT)に取り付ける準備として、MBSに取り付けてある重要な部品を保護している断熱カバーを取り外します。
この第1回船外活動終了後に、カナダアーム2によりMBSを貨物室から取り出し、4月に実施した8Aフライトの際S0トラス上に取り付けたMTの付近まで移動しておきます。そして翌日、飛行6日目にMBSに取り付けてあるカニの爪のような形をしたキャプチャラッチでMTの把持用のバーを抱き込むように閉じ、MBSをMTと接続します。
- 第2回船外活動(飛行7日目)
作業時間は6時間半を予定しており、MBSを利用出来るように整備することを主な目的としています。
1. MBSとMT間の電力・データ・ビデオケーブルの敷設
MBSとMT間で電力、データ通信、ビデオ信号の伝送などができるようにするため、ケーブルを敷設します。
2. POAの展開
MBSにはペイロードや軌道上交換装置などを一時的に把持するPOA(Payload/ORU Accommodation)と呼ばれる装置があります。これは折り畳んで収納してあるので、これを伸展して利用可能な状態にします。
3. ボルトによるMBSとMTの結合
飛行6日目にキャプチャラッチでMTに結合させたMBSを、4本のボルトによりしっかりと固定します。その後地上からの指令によりキャプチャラッチは緩められ、MBSとMTはこの4本のボルトだけで固定されることになります。
4.MBSのカメラの移設
MBS取り付け時のカメラ視野を確保するため、MBSのキールに取り付けていたカメラを本来の使用場所であるMBSのマスト上に移設します。
- 第3回船外活動(飛行9日目)
障害を起こしたカナダアーム2の手首のロール関節を交換することが、この船外活動の目的です。作業時間は7時間を予定しています。
最終更新日:2002年5月28日
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