国際宇宙ステーションステータスレポート#99-18
1999年5月 6日(木)午前10時(米国中部夏時間)
1999年5月 7日(金)午前 0時(日本時間)
ヒューストンのミッション・コントロール・センター
宇宙においても地上においても、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道上での次回の組立準備は、今週最後の段階に入ろうとしています。
スペースシャトル・ディスカバリー号が、ISSの次回組立ミッションのため、5月20日の打ち上げに向けての準備が整ったところで、ロシアと米国の飛行管制官たちは、シャトルと軌道を回っているISSのドッキングの最終リハーサルを実施します。同時にISSのこの次の主要構成要素である、ロシアの提供する初期の居住モジュールが、モスクワの工場から列車でロシアの射場であるカザフスタンのバイコヌール宇宙基地に向います。この秋にロシアのロケットで打ち上げる予定のこの居住モジュールは、以前はサービスモジュールという技術用語で呼ばれていましたが、最近「星」を意味するロシア語の名前が付けられました。
水曜日にはISSの姿勢を、ディスカバリー号とドッキングする時と同じ姿勢にします。ドッキングのリハーサルでは、ゆっくり回転しながらユニティが地球方向に向き、ザーリャが宇宙に向いている現在の姿勢から、地平面と平行でザーリャがISSの進行方向に向いた姿勢に変更します。ISSは約3時間その姿勢を保ち、その間に地球の地平線を基準としてザーリャモジュールの誘導システムの校正を行います。それから再び地球に対して垂直な姿勢にしますが今度は回転させず、ユニティを宇宙に向け、ザーリャを地球に向けた姿勢にします。この姿勢はディスカバリー号とドッキングする時と同じ姿勢です。
ISSは約4時間半このドッキングの姿勢を保ち、この間地球を3周します。この姿勢でテストを済ませた後、元の回転している姿勢に戻します。回転しながらユニティが地球を向きザーリャが宇宙を向くという姿勢は、発電用の太陽電池パネルに照射する太陽光を最適に保ち、加熱と冷却が穏やかな状態を保ってくれるもので、ISSの無人運用には好都合な姿勢です。
ユニティの通信システムの問題点は原因究明中ですが、ディスカバリー号のクルーが修理する計画の詰めが行われています。ユニティの通信システムは初期通信システムと呼ばれていますが、これはザーリャモジュールに搭載されているISSの主通信システムのバックアップとして使用されるものです。ザーリャの主通信システムは正常に稼働しています。ユニティのシステムはISSの運用に影響するものではなく、ディスカバリー号とのドッキングにも支障はありません。
先週末ザーリャの8個の煙感知器の1つが誤動作したのが検出されました。誤動作した感知器は電源を切られ、原因が究明されていますが、残りの煙感知器が使用できれば煙の検出には全く支障ありません。
ディスカバリー号の到着に備え2週間以内に、ヒーターを投入してISSを温める作業を開始します。このシャトル便では約2トンの補給品を運びます。これはこの秋のサービスモジュールの到着と、来年早々に打上げが予定されているISS滞在クルーの到着に備えるためのものです。
ISSは遠地点252マイル(約405km)近地点238マイル(約383km)の軌道を92分で1周しています。打上げ以来すでに2,600回以上軌道を周回しています。ISSが頭上を通過する夕暮れか早朝、この35トンの構築物は容易に地上から見ることができます。ディスカバリー号がドッキングすれば、もっと明るくなるため見易くなります。
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