船外活動(EVA:Extravehicular
Activity) |
| 8Aフライトでは、国際宇宙ステーション(ISS)のエアロック「クエスト」から計4回の船外活動(EVA)が行われます。この船外活動によりISSにS0トラスを取り付けて、各種艤装作業を行うと共に、移動用の台車(MT)を動かせるようにします。この取付け作業では、約250個のボルトの取り付け・取り外し、また約110個の電気コネクタの抜き差しを行います。今回のEVAでは、初めてISSのロボットアーム(SSRMS)をEVAクルーの足場として使用します。
- 第1回船外活動(飛行4日目)
クルー:スティーブ・L・スミス、レックス・J・ウォルハイム 作業内容:
S0トラスの仮置き | Real
Video [48sec] | ISSのSSRMSを使い、アトランティス号の貨物室からS0トラスを取り出してデスティニー(米国実験棟)の上部に仮置きした後、EVAが開始されます。MTS(Module-to-Segment)ストラットという支柱状の構造物によりS0トラスをデスティニーにしっかりと取り付ける作業と、S0トラスとISS間に電力やデータ通信用の配線を敷設することが、この船外活動の主目的です。
-
S0 前方MTSストラットの取り付け |
Real Video [1min16sec] | S0 前方MTSストラットの取り付け
S0をデスティニーに取り付ける機構であるMTSストラット(2基)のロンチロック(打上げ時の固定器具)を解除して展開・伸展し、ボルトでデスティニーの外壁に固定します。この船外活動では前方のみのMTSストラットの作業をおこないます。後方のMTSストラットが同様に第2回目の船外活動で取り付けられると、S0トラスはデスティニーにしっかりと結合することになります。
-
S0トラス内部での作業 |
デスティニー後方のアビオニクストレイの展開 | Real
Video [48sec] | Real Video
[39sec] | デスティニー後方のアビオニクストレイの展開 S0トラスの内部に入って固定用のクランプ(留め具)を緩めた後、S0トラス後方の作業場所でS0後方トレイ(配線や配管を支えるプレート)を展開し、これとデスティニー、Z1トレイ間の電力、通信用の配線を接続します。これによりS0トラスのすべての機器へヒータ電力が供給できるようになります。
-
デスティニー前方のアビオニクストレイの取り付け | Real
Video [1min31sec] | デスティニー前方のアビオニクストレイの取り付け
S0トラスに固定して打ち上げられた右舷、左舷のLabユーティリティ・トレイ2個を取り外し、デスティニーの両側面上方からS0トラスにかけて取り付けます。
-
TUSケーブルのMTへの接続 | Real
Video [46sec] | TUSケーブルのMTへの接続 (2個のうちの1個目)
TUS(Trailing Umbilical System)1のロンチロックピン(打上げ時の固定用ピン)を外して、制御アームを90度回転させます。次に固定ボルトを緩めることによりTUSケーブルをリールから引き出し、MTに接続します。これによりMTに保温用の電力を供給できるようになります。TUSケーブルは、MTがトラスに取り付けられたレール上を移動する際にISS本体から電力や通信を供給するための配線ケーブルであり、MTの移動に伴ってケーブルをリールから延ばしたり、絡まないようにリールに巻き込んだりします。
- 第2回船外活動(飛行6日目)
クルー:ジェリー・L・ロス、リー・M・E・モーリン
作業内容: デスティニーにS0トラスを固定する残り作業を行い、S0トラスをISSに確実に固定すると共に、MTを動かせるようにするために、邪魔になるS0キールフレームとドラッグリンクを外すことがこの船外活動の主目的です。
-
S0 後方MTSストラットの取り付け | Real
Video [41sec] | S0 後方MTSストラットの取り付け S0後方のMTSストラット(右舷側と左舷側の2つ)のロンチロックを解除して展開・伸展し、ボルトでデスティニーの外壁に固定します。
-
S0キールフレームとドラッグリンクの取り外し | Real
Video [40sec] | S0キールフレームとドラッグリンクの取り外し
打上げ時にS0トラスを貨物室に固定するために使用したキールフレームとこれを支える支柱であるドラッグリンクを取り外し、S0トラスの保管場所に収納します。キールフレームはスペースシャトルペイロードベイ(貨物室)床面へ固定するために使用するキールピンの支持構造部です。
-
2つ目のTUSケーブルのMTへの接続 | Real
Video [31sec] | 2つ目のTUSケーブルのMTへの接続 (2個のうちの2個目)
TUS(Trailing Umbilical System) 2ケーブルを展開し、MTに接続します。これにより、冗長側の電力、通信、ビデオ系統が使用可能となります。
- 第3回船外活動(飛行7日目)
クルー:スティーブ・L・スミス、レックス・J・ウォルハイム
作業内容: 現在デスティニーに取り付けてあるISSのロボットアーム(SSRMS)が台車(MT)でトラス上を移動して使用されるときに必要とする電力やデータ通信機能を供給するために、配線のルートを変更します。またMTの固定機構や断熱カバーを取り外してMTが作動できるようにします。さらに、船外活動者がエアロック「クエスト」とS0トラス間を移動する際の近道となるエアロック・スパーと呼ばれる手すりを取り付けます。
S0トラスへのCIDsの設置 | Real
Video [25sec] | S0トラスへのCIDsの設置 S0トラスの内部に入ってCIDs(電力切り替え用の手動式スイッチ)
7, 8を設置した後、スイッチを切り替えてS0 のSPDA(2次電力分配装置)への電力供給を開始します。 本作業は、第1回船外活動で行う予定でしたが、後方アビオニクストレイの展開に予想以上に時間がかかったため、第3回船外活動で行うことになりました。
- J300とJ400パネルの配線コネクタの接続
SSRMSに供給する電力、通信配線のルートを変更するために、J300とJ400パネルの接続を変更します。
- MTのロンチロックの解除
打上げ時にMTを固定していた機構を解除するとともに、MTを軌道上で運用が可能な状態に変更する。
- 船外活動工具の移動
スペースシャトルの貨物室から船外活動(EVA)工具を移動したり、ISS上のEVA工具の配置を変更したりします。
- 第4回船外活動(飛行9日目)
クルー:ジェリー・L・ロス、リー・M・E・モーリン 作業内容:
これまでのEVA作業の仕上げを行います。また、次回の組立フライトの準備として、S0トラスにハンドレールを取り付ける、プラットフォームを部分的に組み立てる、照明用のライトを取り付けるなどの作業の他、いくつかの前倒しの作業をおこないます。
- S1トラス取り付け準備
将来のフライトでS1トラスを取り付ける準備として、RTLセンサ(トラス結合作業の準備が整ったことを確認するセンサ)を指で押して、動作を確認します。
- エアロック・スパーの展開
エアロック「クエスト」とS0トラス間をEVAクルーが移動できるようにするため、S0トラスの右舷に固定して打ち上げられたエアロック・スパーの固定ボルトを外してスイングさせ、エアロックの外壁にボルトで固定します。
- LCAガイドコーンを緩める
- ユニティとデスティニーへの外部照明の取り付け
ユニティとデスティニーの外壁に2個の外部照明(CETAライト)を組み立てて設置します。
- MT
Energy Absorberの設置
MT Energy Absorberは、MTが止まらない場合に衝突を防止するための衝撃吸収機構であり、S0トラスに固定されて打ち上げていたものを取り外してMTの移動方向両端に1個づつ設置します。
-
PWPの取り付け | Real
Video [47sec] | ポータブルワークプラットフォーム(PWP)の取り付け
今後のEVA作業時に使用するために、S0トラスに取り付けて打ち上げられた、PWP(Portable Work Platform)を組み立てます。
- P1トラス取り付け準備
P1トラスの取り付けに備えて、左舷(進行方向に向かい左側)の3個のRTLセンサを指で押して、動作を確認します。
-
EV-CPDSの展開 | Real
Video [38sec] | EV-CPDSの展開 打ち上げ時にS0トラスに固定されていたEV-CPDS
(船外荷電粒子スペクトロメータ)を外し、ブームを展開します。 -
S0へのハンドレールの取り付け(前倒し作業) | Real
Video [27sec] | S0へのハンドレールの取り付け(前倒し作業)
S0トラスにハンドレール計5個を取り付けます。
- 船外に漏れ出したガスを検出する微量ガス分析装置(TGA)のテスト
- その他の前倒し作業
- 次回のUF-2フライトのEVAに備えたEVA工具の移動
- MT上のMBS取り付け部となるボルトのデブリカバー(金属版)の取り外し
最終更新日:2002年 4月 17日 |