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ミッション結果の要約

実施結果

S0トラスの移動

 このSTS-110ミッションでは、国際宇宙ステーション(ISS)の組立作業を実施する船外活動者の作業支援のために初めてISSのロボットアーム「カナダアーム2」を使用し、ISSの屋台骨となるトラス(桁構造)の中心部であるS0(エスゼロ)トラスを「デスティニー」(米国実験棟)に取り付け、さらに船外活動を4回実施して、S0トラスを構造的にまた機能的にしっかりとISSに接続しました。(この作業中に合計289個のボルトの締め付け、159個の配線コネクタの取り付け取り外し、コネクタのキャップの開け閉めを49回、電力配線のブレーカのオンオフを12回実施しました。

ミッション終了後のISS

 またS0トラスに取り付けて打ち上げた「モービル・トランスポータ」(MT:ISSロボットアームの台車)の試運転をおこない、予定どおり機能することを確認しました。これにより次回のSTS-111ミッションで打ち上げるモービル・ベース・システムをMTに取り付け、さらにその上にカナダアーム2を取り付けてS0トラス上を移動できるようにする準備が整いました。
 その他、ISSの補給品の搬入、不要品や実験関連物品の搬出をおこない、その結果、ISSの質量は約12,100kg増加しました。

飛行概要
 飛行の概略は以下のとおりです。(明示のない時間は米国中部夏時間です。) 詳細はステータスレポートをご覧下さい。
  • 打上げと帰還日時
    打上げ日時2002年 4月 8日午後 4時44分(米国東部夏時間)(打上げ地時刻)
    (日本時間 4月 9日午前 5時44分)
    帰還日時2002年 4月19日午後 0時26分(米国東部夏時間)(帰還地時刻)
    (日本時間 4月20日午前 1時26分)
    ミッション期間10日19時間43分
    (打上げ/帰還時刻の秒時の処理により、フライト期間が両者の差と異なる場合があります。)

     当初予定していた4月4日(米国時間)の打上げは、シャトルの外部燃料タンクに液体水素を充填する際に気化した水素ガスを排出する地上設備側のパイプの溶接部に経年劣化でひびが発生し、水素ガス漏れが発生したため、その修理と修理後の点検のため、4日間延期されました。さらに、4月8日(米国時間)の打上げ時には、打上げ5分前に地上設備のソフトウェアに不具合が発生したため作業が約4分遅れ、アトランティス号はロンチウインドウ(打上げ可能時間帯)が閉じるわずか12秒前に打ち上げられました。

  • ISSとの結合および分離日時
    結合日時4月10日午前11時 5分(日本時間 4月11日 午前 1時 5分)
    分離日時4月17日午後 1時31分(日本時間 4月18日 午前 3時31分)
    結合期間7日 2時間26分

  • 船外活動(EVA)
    この飛行では計4回の船外活動が行われました。ISS組立としては、ISSから実施したものも含め、通算38回の船外活動を実施したことになります。
    第1回船外活動(飛行4日目)
    開始時刻4月11日午前 9時36分(日本時間 4月11日午後11時36分)
    終了時刻4月11日午後 5時24分(日本時間 4月12日午前 7時24分)
    作業時間7時間48分
    作業者スティーブン・スミス、レックス・ウォルハイム
    主要作業内容

    初めて「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)を使用して実施したISS組立作業でS0トラスを「デスティニー」(米国実験棟)に取り付けた後、次の作業を実施した。
    1.S0トラスの前方と後方に2基づつ取り付けるMTSストラット(支柱)のうち前方の2基の取付け
    2.S0後方のアビオニクストレイの展開と配線の接続
    3.S0前方アビオニクス・アンビリカル・トレイ2基のS0トラスからの取り出しとデスティニー上部の右舷側、左舷側への取付け、配線・配管接続
    4.TUSケーブルの「モービル・トランスポータ」(MT:ISSロボットアームの台車)への接続

    第2回船外活動(飛行6日目)
    開始時刻4月13日午前 9時 9分(日本時間 4月13日午後11時 9分)
    終了時刻4月13日午後 4時39分(日本時間 4月14日午前 7時30分)
    作業時間7時間30分
    作業者ジェリー・ロス、リー・モーリン
    主要作業内容1.S0トラスの後方MTSストラット2基の取付け
    2.S0トラスのドラッグリンクとキールフレームの取外し(各2ヶ所)
    3.2個目のTUS2ケーブルのMTへの接続
    4.第3回船外活動の作業に備え、Z1トラスに保管してあったPFR(移動可能な足場)の移動
    第3回船外活動(飛行7日目)
    開始時刻4月14日午前 8時48分(日本時間 4月14日午後10時48分)
    終了時刻4月14日午後 3時15分(日本時間 4月15日午前 5時15分)
    作業時間6時間27分
    作業者スティーブン・スミス、レックス・ウォルハイム
    主要作業内容1.デスティニー上のLCA(S0トラス取付け台座)の把持ラッチ(カニの爪形のラッチ)の解除
    2.デスティニーのデブリシールドの下の配線の接続変更
    3.「モービル・トランスポータ」(MT:ISSロボットアームの台車)のロンチロック(打上げ時の固定器具)の取外しと断熱カバーの取外し
    4.CID(電力線のブレーカ)2個の取付け
    5.アトランティス号の貨物室からの船外活動用工具の「ユニティ」(結合モジュール1)への移動
    第4回船外活動(飛行9日目)
    開始時刻4月16日午前 9時29分(日本時間 4月16日午後11時29分)
    終了時刻4月16日午後 4時 6分(日本時間 4月17日午前 6時 6分)
    作業時間6時間37分
    作業者ジェリー・ロス、リー・モーリン
    主要作業内容

    1.S0トラス両端にあるSSASのRTLスイッチの動作確認
    2.エアロックスパー(S0トラスとエアロックを最短距離で結ぶ支柱のようなもの)の固定解除・展開
    3.作業用投光器2個の設置
    4.MTへの衝撃吸収機構の取り付け
    5.ポータブル・ワーク・プラットフォーム(PWP)の整備
    6.MT上面のモービル・ベース・システム(MBS)取り付け用のボルトカバー4個の取り外し
    7.EV-CPDS(ISS外部の放射線環境測定装置)の展開
    8,S0へのハンドレール5個の取り付け
    9.GPS#2のアンテナの断熱カバーの取付け位置修正
    10.今後(UF2)の船外活動に備えての工具の移動
    11.TGA(微量ガス検出器)の試験


  • 船内活動
     STS-110ミッションは船外活動を主たる目的とするミッションでしたが、船外活動の傍ら、船内では次のような作業を実施しました。

    • アトランティス号から「クエスト」(エアロック)の高圧ガスタンクへの酸素と窒素の補給
    • ISSへの約1トンの機材や補給品、約660リットルの飲料水の搬入
    • 船外活動時の照明及びカメラ映像を提供するためのスペースシャトルのロボットアームの操作
    • 船外活動で取り付けたS0(エスゼロ)トラスの地上と共同での機能確認試験
    • 「モービル・トランスポータ」(MT:ISSロボットアームの台車)の試運転
    • 実験試料やISSで不要となった物品約1,100kgのアトランティス号への搬入
    • TV局、通信社とのインタビューなどの広報活動
    • リブースト(軌道高度を上昇させる軌道制御)
       リブーストとは軌道高度を上昇させるための軌道制御のことです。ISSは、空気抵抗で高度が日々下がります。そこで、その次の便が到着するまでの高度低下を見込んで、シャトルをISSから分離する前に、スペースシャトルのスラスタによりISSの軌道高度を上昇させる軌道制御(リブースト)を実施しています。STS-110ではリブーストを次のように実施しました。

      実施日(米国中部夏時間)上昇高度
      飛行 6日目(4月13日)約9.6km
      飛行 7日目(4月14日)
      飛行10日目(4月17日)  

    不具合など

     STS-110ミッションの期間中には次のような軽微な不具合が発生しました。

    モービル・トランスポータ(MT:ISSロボットアームの台車)周辺での船外活動
    • 「モービル・トランスポータ」(MT:ISSロボットアームの台車)への電力供給や通信機能を提供するケーブルTUS1とTUS2のうちTUS2のケーブルを非常時に切断するケーブルカッターの安全化ボルトを取り外すことができませんでした。この装置は、緊急時以外には使われる事はありませんし、船外活動を行えばケーブルを切断することは出来ます。修理等の方針については、今後検討されます。
    • MTの試運転(移動試験)時に、自動的に所定の場所で停止してレールにMTを固定する動作ができませんでした。これはMTの位置決めをおこなう磁気センサーが、微小重力環境下でレールから浮き上がってしまい、正しい位置を認識できなくなったのが原因でした。しかし、MTの機能自体は正常であったため、今回は手動操作により固定することで対応しました。当面は手動操作で固定することで対処可能です。

     

    最終更新日:2002年 4月25日

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