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ミッション内容

 このミッションでは、ユニティにジョイント・エアロックを取り付け、また、ジョイント・エアロック外壁に高圧ガスタンク(HPGT:High Pressure Gas Tank)を取り付けます。これにより、スペースシャトルが結合していない期間でも船外活動でISSの修理をすることができ、ISSが自立して運用できるようになります。また、7Aフライトでは組立のため合計3回の船外活動(EVA:Extravehicular Activity)が行われる予定です。

 なお、このフライトで使用されるアトランティス号のメインエンジンには、新型のエンジン1基が初めて使用されます。他の2基のエンジンには現在主流のエンジンを使用します。

作業計画
  軌道上での毎日の作業計画はおよそ次のとおりです。
STS-104プレフライト・ブリーフィング( 2001/6/25)より
飛行日主な実施ミッション
1日目打上げ/軌道投入、Kuバンドアンテナ展開、ランデブー用軌道制御
2日目スペースシャトルのロボットアーム(RMS)による貨物室状態の点検、宇宙服(EMU)やエアロック等の点検、ランデブー用軌道制御
3日目ISSとのランデブー、ISSとの結合、ISS入室、ISSとスペースシャトル間の物資移送、ジョイント・エアロック取付けのリハーサル
4日目第1回船外活動(エアロック取付け作業の支援) 、ジョイント・エアロックをISSのロボットアーム「カナダアーム2」で持ち上げ、ユニティへ取付ける、 エアロック・ヒータの起動、ISSへの入室   
5日目エアロック内の機器の起動、ISSの酸素窒素システムの機能点検
6日目エアロック内のIVハッチの移動(船内作業)、エアロック内のEVA機器の点検、新プレブリーズ方式実施のリハーサル
7日目第2回船外活動(HPGTの取付支援作業)、HPGT 2個をカナダアーム2で船外活動クルーに手渡す(ハンドオフ)。
8日目ジョイントエアロックを使った船外活動の準備、軌道上共同記者会見
9日目第3回船外活動(ジョイントエアロックから実施、高圧ガスタンク(HPGT)2基の取付支援作業)、HPGT 2個をカナダアーム2で船外活動クルーに手渡す(ハンドオフ)。
10日目ISSからの退室、ISSからの分離およびフライアラウンド運用
11日目船内の後片づけ、軌道離脱準備、Kuバンドアンテナ収納
12日目軌道離脱、着陸


新型エンジンの採用

アトランティス号に取り付けられる新型のBlock-IIエンジン
 このフライトで使用されるアトランティス号のメインエンジン3基のうちの1基には、新型のBlock-IIエンジンが初めて使用されます。他の2基のエンジンには現在主流のBlock-IIAエンジンをそのまま使用します。なお、今後スペースシャトルのエンジンは、すべてこのBlock-IIエンジンに置き換えられる予定です。
 Block-IIエンジンは、新型の高圧水素ターボポンプを採用し、精密鋳造技術を取り入れることにより、溶接個所を大幅に削減し、信頼性を大幅に向上すると共に、飛行後の分解点検作業の手間を大幅に減らすことができるため、運用経費の削減にも寄与します。
 シャトルのメインエンジンは、これまでPhase-II(1999年まで使用)、Block-I(1995年から1998年)、Block-IIA(1998年から2002年)と段階的に改良が行われてきましたが、Block-IIで当初目標にしていた改良は一段落します。


新しいプリブリーズ方式 エクササイズプリブリーズの採用
 船外活動時に減圧症にかからないようにするために、体内の窒素ガスを除去するための手順をプリブリーズといいます。従来の方法は次のとおりで、およそ1日かかります。
  • 酸素マスクを着用して純酸素を60分間呼吸する。
  • 60分の最後にスペースシャトル船室内全体を10.2psia(約0.7気圧)に減圧する。
  • 酸素マスクを外し、そのまま12時間以上過ごす。(通常一晩)
  • 宇宙服を着用し宇宙服内の空気を純酸素で入れ替える。
  • そのまま45~75分間純酸素を呼吸する
  • 宇宙服内を0.3気圧に減圧し、エアロックの空気を放出して船外活動を開始する。

 今回のフライトでは新しく開発された「エクササイズ・プリブリーズ」と呼ばれる手順を第3回 船外活動の際に実施する予定です。この方式は宇宙ステーションで船外活動を実施するために開発されたものです。エアロック内でマスクをかぶって純酸素を呼吸しながら自転車こぎ機で運動することにより、窒素ガスの体外への放出を加速する方式であり、従来1日掛かりであったものを数時間で済ませることができます。従来方式ではスペースシャトルの船室全体を10.2psiaに減圧します。ISSで船外活動を実施する度にISS内部全体の巨大な空間を減圧することは困難なので、宇宙飛行士が入ったエアロック内のみを10.2psiaに減圧します。新方式は宇宙飛行士が狭いエアロック内で過ごす時間を短縮するために開発された方式で、次のような手順で実施します。


新しいプレブリーズ方式に使用する酸素マスク
  • 14.7psia(1気圧)で酸素マスク(写真)を着用して純酸素を呼吸しながら2人のクルーが交代で、デスティニー内の自転車こぎ機で約10分間づつ運動する。
  • 純酸素呼吸を開始後80分経過したら、エアロック内を10.2psiaに減圧しマスクを外す。
  • 宇宙服を着用し宇宙服内の空気を純酸素で入れ替える。
  • その状態で純酸素を呼吸する。船外活動開始までの時間が合計60分以上となるように時間を調節する。
  • クルーロックに入り、ハッチを閉鎖する。
  • 宇宙服内を0.3気圧に減圧し、クルーロック内の空気をポンプで回収して、0.5psia(約0.03気圧)まで減圧する。
  • 残りの空気を放出して船外活動を開始する。
 


7A前後のISSの形状

6Aフライト終了時(4P終了状態)のISS

ユニティにジョイント・エアロックと高圧ガスタンクが取り付けられます。

7Aフライト終了時のISS


最終更新日:2002年9月25日

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