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ミッション結果の要約


飛行目的
  スペースシャトル「エンデバー号」によるSTS-100ミッション(6Aフライト)は、国際宇宙ステーション(ISS)組立ての12回目のミッションであり、スペースシャトルによるものとしては9回目になります。 この飛行は主として次のような作業を目的とするミッションです。
  • 船外活動を2回実施して、カナダが開発したロボットアームをISSに取り付け、またUHFアンテナをISSに取りける。
  • イタリア宇宙庁が開発した多目的補給モジュール(MPLM)ラファエロにEXPRESSと呼ばれる2台の実験装置ラックを含む輸送用ラックなど合計10台を搭載して輸送し、ISSに搬入し、米国の実験棟デスティニー内部に実験装置を設置する。
  • 不要品をラファエロに搭載して地上に持ち帰る。 

実施結果
 このフライト結果の概要は次のとおりです。
  • ロボットアーム「カナダアーム2」が取り付けられた結果、スペースシャトルのロボットアームが届かない場所へも、モジュールを移動したり取り付けたりすることができるようになりました。これは今後のISS組立作業になくてはならない機能です。
  • UHFアンテナが取り付けられた結果、UHF帯を使用する通信システムが利用できるようになり、スペースシャトルの助けなしに船外活動クルーと交信したり、船外活動クルーの生体データを送信したりすることができるようになりました。ISSと結合していないときのスペースシャトルとも、ヒューストンを経由せずに直接交信できるようになりました。
  • 2台のEXPRESSラックが設置されたことにより、デスティニー内の実験ラックは合計3台となり、幅広い実験ができるようになりました。

 ISSの現在の外観はこちらをご覧ください。


飛行概要
 飛行の概略は以下のとおりです。(明示のない時間は米国中部夏時間です。) 詳細はステータスレポートをご覧下さい。
  • 打上げと帰還日時
    打上げ日時2001年4月19日午後2時41分(米国東部夏時間)(打上げ地時刻)
    (日本時間4月20日午前3時41分)
    帰還日時2001年5月1日午前9時11分(米国太平洋夏時間)(帰還地時刻)
    (日本時間5月2日午前1時11分)
    ミッション期間11日21時間30分
     ISSのコンピュータの故障により作業を中断したためミッション期間は1日延長され、また帰還予定地であるケネディ宇宙センターの悪天候のため、太平洋側のエドワーズ空軍基地に着陸しました。

  • ISSとのドッキングおよびアンドッキング日時
    ドッキング日時4月21日午前8時59分(日本時間4月21日 午後10時59分)
    アンドッキング日時4月29日午後0時34分(日本時間4月30日午前2時34分)
    ドッキング期間8日3時間35分

  • 船外活動(EVA)
    この飛行では1日おきに計2回の船外活動が行われました。ISS組立としては通算20回、スペースシャトル計画史上65回の船外活動を実施したことになります。なお、クリス・ハドフィールドのEVAは、カナダ初のEVAとなりました。
    第1回船外活動(飛行4日目)
    開始時刻4月22日午前6時45分(日本時間4月22日午後8時45分)
    終了時刻4月22日午後1時55(日本時間4月23日午前3時55分)
    作業時間7時間10分
    作業者クリス・ハドフィールド、スコット・パラジンスキー
    主要作業内容

    a.ロボットアームに電力とデスティニー内のコンピュータからの制御信号を供給する配線の接続
    b.UHFアンテナの取り付け
    c.ロボットアームの引き起こし
    d.折り畳まれたロボットアームのブームの伸展
    e.伸展したブームを固定するためのボルトの取り付け

     

    第2回船外活動(飛行6日目)
    開始時刻4月24日午前7時34分(日本時間4月24日午後9時34分)
    終了時刻4月24日午後3時15分(日本時間4月25日午前5時15分)
    作業時間7時間41分
    作業者クリス・ハドフィールド、スコット・パラジンスキー
    主要作業内容

    a. ロボットアームへの電力や制御信号を供給する経路を変更するための配線の接続変更
    b.ユニティ右舷側の初期通信システムアンテナの取り外し
    c.エンデバー号の貨物室からデスティニー外部の船外保管プラットフォームへの予備の直流切り替え装置(DCSU:Direct Current   Switching Unit)の運搬、設置


  • 船内活動
     2001年3月にISSの第1次長期滞在クルーと交代した第2次長期滞在クルー3名とエンデバー号のクルー7名は概略次のような作業を行いました。

    • エンデバー号のロボットアームによる多目的補給モジュール「ラファエロ」のデスティニーへの取付け
    • ラファエロからISSへの荷物の搬入
    • ISSで不要となった物品を地球に持ち帰るためにラファエロへ搬入
    • ラファエロをエンデバー号の貨物室へ収容
    • ISS用ロボットアーム「カナダアーム2」のデスティニー上への歩行移動(walking off)の制御
    • カナダアーム2の機能点検
    • カナダアーム2で把持していた輸送用パレットのエンデバー号のロボットアームへの引き渡し(hand over)
    • 輸送用パレットをエンデバー号の貨物室へ収容
    • 故障したISSのコンピュータ(C&C MDM)の復旧作業

  • リブースト(軌道高度を上昇させる軌道制御)
     リブーストとは軌道高度を上昇させるための軌道制御のことです。ISSは、空気抵抗で高度が日々下がります。そこで、その次の便が到着するまでの高度低下を見込んで、シャトルをISSから分離する前にISSの軌道高度を予め上昇させて軌道制御を実施しています。STS-100ではリブーストを次のように実施しました。

    実施日(米国中部夏時間)上昇高度
    飛行 5日目(4月23日)2.5マイル(約4km)
    飛行 9日目(4月27日)     2.5マイル(約4km)
     なお今回のリブーストは、エンデバー号がアンドッキングした翌日にソユーズ2宇宙船がISSとドッキングする予定であったので、そのための軌道修正の目的も兼ねていました。

不具合など

 STS-100の期間中にいくつかのトラブルがありました。

  • 第2回船外活動中のトラブル
    • ISSのロボットアーム「カナダアーム2」へ電力と制御信号を供給する配線の接続変更をしたところ、バックアップ側の配線からの電力が供給できないことがわかりました。船外の接続状態を点検し、上流側のコネクタの接続をやり直した結果、不具合は解消しました。
    • 初期通信システムのアンテナを取り外す際、コネクターのカバーが外れて、ユニティのドッキングポートの断熱カバーの裏側に紛れ込んで回収が困難な状況となりましたが、これは実害がないということで放置されています。
    • 今回運搬したSLPに設置されていて、カナダアーム2起動後に不要となったビデオ信号変換器(VSC)を取り外し、回収しようとしましたが、ボルトを外すことができなかったので元どおりに締め付けて、取り外すことを断念しました。VSCは予備品としてISSに保管する予定でしたので、問題はありません。

  • ISSのコンピュータの故障
     SS全体のコントロールを統括するコンピュータ(C&C MDM)が故障しました。このコンピュータシステムは3重になっているのですが、次々に3台とも故障するという事態となりました。そのため作業を中断し、飛行期間を1日延長することになりました。地上と宇宙との共同作業で徐々にシステムは回復しましたが、ミッション終了後もシステムを完全に回復するための作業が続けられています。なおこの障害によるISSや搭乗員の安全への影響はありません。


最終更新日:2002年 1月 11日

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