ターミナル・カウントダウン・デモンストレーション・テスト(TCDT)への参加
いよいよ打ち上げまで3週間を切りました。この時期になると訓練もほぼ本番に近いものになってきており、若田宇宙飛行士をはじめとするSTS-92乗組員らは、最終的な手順の確認や細かい問題点の洗い出しに忙しくなります。2000年9月12日(火)~15日(金)、STS-92乗組員らは、米国フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センター(KSC)にてTCDTに参加しました。
TCDTとは
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T-38でKSCに到着
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クルークオーターズを出発するSTS-92クルー |
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バスケットによる緊急脱出訓練 |
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M113による緊急脱出訓練
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スペースシャトルミッションでは、乗組員らは通常打上げ3日か4日前に米国テキサス州ヒューストンのエリントン空港をT-38で出発してケネディ宇宙センターに入り、基本的に打上げまでの間をクルークォ―ターズと呼ばれる一般の人と隔離された乗組員専用の部屋で過ごし、軌道上での生活時間に合わせて時差調整をしながら打上げに備えます。
TCDTは、通常打上げ約3週間から4週間前に実施する訓練で、乗組員や射場で打上げを担当する地上要員が、ケネディ宇宙センターに乗組員らがT-38で到着した段階から打上げまでのシーケンスを本番同様リハーサルすることにより隠れた問題点を洗い出し、本番の打上げまでにそれらの問題点を解決する事を目的としています。また、打上げ時に発射台から緊急避難しなければならない不測の事態を想定した緊急避難訓練も合わせて実施します。
STS-92のTCDT
2000年9月12日、T-38でヒューストンのエリントン空港を飛び立ったSTS-92の乗組員らは、午後7時前にケネディ宇宙センターの着陸施設(SLF:
Shuttle Landing Facility)に到着し、その後はその後は9月15日午前11時を打上げ時間と想定して、実際のタイムラインに従い打上げまでの手順の再確認を行いました。
またこのような手順の確認作業の他に、9月14日にはスペースシャトルの外部タンクから極低温推進剤が漏れるという緊急事態を想定した避難訓練を実施しました。同じ緊急事態でも、このように宇宙飛行士らに発射台から緊急避難する時間が残されているような場合は、迅速に、しかも発射台からできるだけ遠くに避難できるように、宇宙飛行士らは整備塔にコックピットの高さに用意してある脱出用バスケットを使用します(3人乗りで7つ用意してある)。バスケットは発射台から約370m離れた地点まで張られた鋼鉄製ワイアを伝わって地上に到達し、その後宇宙飛行士らはM113という装甲車に乗り込みできるだけ遠くに退避します。この日乗組員らは具体的な緊急避難手順をおさらいし、脱出用バスケットの使い方や避難ルートの最終確認を行いました。
打上げ3週間前になると、この段階で洗い出される打上げ前タイムラインに関する問題点や指摘事項などは数も少なく、問題点などがあるとしてもマイナーなものがほとんどですが、本番の打上げでは1つのミスも許されません。若田宇宙飛行士をはじめとするSTS-92乗組員らは、KSCで打上げに携わる地上要員とともに、打上げ前手順の最終確認を熱心に実施しました。
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