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若田宇宙飛行士訓練レポート 第7回

技術検討会議への参加
CBM(アクティブ側)
 フライトをあと1ヶ月後に控え、若田宇宙飛行士も訓練に忙しい日々を送っています。宇宙飛行士というと、どうしても毎日毎日ミッションに係わる訓練をしていると考えてしまいがちですが、ハードウェア、ソフトウェアの技術的評価、軌道上手順の作成支援やその妥当性の評価といった、「技術者」の観点からミッションに携わることもたいへん重要な仕事です。
 若田宇宙飛行士も忙しい訓練スケジュールの合間をぬって、多くの技術検討会議や軌道上手順評価検討会議に参加しています。先日は共通結合機構(CBM:Common Berthing Mechanism)の運用についての技術検討会議に、STS-92の他の乗組員たちと出席しました。
 STS-92ではZ1トラスとPMA-3をISS本体に締結するときにCBMを使います。CBMはロシア以外のISS与圧モジュール同士を結合する共通結合機構です。CBMによる締結は、国際宇宙ステーション(ISS)組立てミッションでは初めてということもあり、たいへん注目されている作業です。
 若田宇宙飛行士の操縦するロボットアームで結合位置にまで接近させた後、モータを駆動して構造体同士を結合します。結合後には、モジュール間の電力や通信、流体などの橋渡し部になるほか、クルーの通路として使用されます。将来は、「きぼう」日本実験棟の実験室と保管室の結合などにも使われる予定になっています。

技術者との話し合い
SVSターゲット
(白地に黒丸の部分)
 STS-92で行われるCBM結合は、ロボットアーム操縦者が操縦席から締結部を直接視認できず、また結合時に許容される位置および姿勢の誤差(envelop)がたいへん小さく、従って非常にち密なロボットアームの操縦やクルー同士の連携が必要となる、数あるISS組立てミッションタスクの中でも難易度の高い作業と言われています。従って締結作業は、SVS(Space Vision System)とよばれる締結作業を支援するシステムのデータを参考に行います。 この技術検討会議で若田宇宙飛行士は、運用、解析、訓練、安全管理といったCBM締結作業に関わるすべてのセクションを代表するエンジニアたちに、締結時にSVSをどのように運用するか、CBMをどのように締結するかといった具体的な手順などを説明し、いかに効率良く安全に実施しようとしているか、ということを自らプレゼンテーションしました。 またエンジニアたちも、地上で支援する立場から、若田宇宙飛行士にたくさんの質問や疑問点を投げかけました。このように宇宙飛行士とそれを支援するエンジニアたちが納得いくまでとことん議論することにより、ハードウェアを技術的により深く理解し、また具体的な運用に理解を深め、お互いのタスクをより確実なものとしていくのです。



最終更新日:2000年 9月 7日

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