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NASDAデイリーレポート

10月22日(日) 軌道上記者会見
ビデオライブラリ音声のみ[19min17sec])

米国中部夏時間10月21日午後2時17分(日本時間10月22日午前4時17分)にジョンソン宇宙センターとケネディ宇宙センターの米国の報道関係者との軌道上記者会見が行われ、この中で午後2時42分(同10月22日午前4時42分)から、若田宇宙飛行士とジョンソン宇宙センターの日本の報道関係者との会見が約20分間行われました。ここでは、日本の報道関係者との会見の部分について紹介します。


地上(ジョンソン宇宙センター)での軌道上記者会見の様子
Q1:まずロボットアームを操作した感想を聞かせてください?特にキールカメラが使えない困難な状況になった時にどう感じどう対応したのかを教えていただきますでしょうか?
若田:はい、あのー前回STS-72の飛行でも日本の人工衛星SFUを回収するためにロボットアームを操縦しましたけれど、今回、前回と違って、直接作業する場所が見えないということで、しかも今回は2つZ1トラスを取り付けるときに使うロボットアームの肘部のカメラ、それからキールカメラが2つあるんですけれども、そのうち、キールの方が見えないという状況だったんですけど、宇宙ステーションのモジュールを取り付けるときに使う位置決めの装置、これはスペースビジョンシステムといいますけど、これが本当に正しく作動してですね、ロボットアームを操縦するために必要な位置の情報を正しく表示してくれたので、その情報を頼りに作業をすることができました。これは予定どうりの作業だったので本当にシミュレーションしているような感じ、そして背景にとても美しい地球を見ながら作業ができたので、ひとつのカメラが見えない状況ではありましたけれども訓練したとおりにしかも美しい地球をみながら楽しく作業することができました。

Q2:それではご自身のロボットアームの操作を100点満点で採点するといったい何点になりますでしょうか?
若田:そうですね、今回はフライトデイの2日目から9日目まで毎日ロボットアームを操縦しましたけども、ほんとに目的、Z1トラスやPMA-3というモジュールを取り付ける作業や船外活動の支援をするための作業、それがほんとにうまくできましたので常に目標を高く持つということで95点としておきたいと思います。

Q3:Commander Brian Daffy , Koichi now said "he can give 95 points out of 100 points to his work, Which he's done during the mission. " How do you think about from your points of view?(ダフィー船長、コウイチは今、ミッション中の彼の仕事が100点満点で95点と言っているが、あなたは観点ではどのように思うか?)
ダフィー: I think his much better than 95. Koichi was absolutely 100. I believe he had probably most difficult job out of the entire crew. Certainly mentally because for many many days, he had been perfect flying arm. He did magnificent job so I give him at lease 100 points. (私は95点以上だと思う。コウイチはまったく100点だった。私は彼がおそらくすべてのクルーの中でもっとも難しい仕事をしたと思っている。完璧なアーム操作を何日も何日も行ったのだから私は彼にとにかく100点を与えたい)

Q4:NASAのスタッフは "Wakata-san is the man" 若田さんはすごい男だ、あるいは彼は芸術家だと非常に高く評価していました。こういう評判を聞いていますでしょうか?また、高い評価を受けたことへの感想を聞かせてください。
若田:まだ地上に帰ってからミッションコントロールセンターのみなさんといろいろお話しできるので、それを楽しみにしてますけれども本当にそういうふうに言って頂いて光栄に思います。このロボットアームを操作するためには宇宙飛行士だけでなくてハードウェアを作った設計者の方々、それからミッションコントロールセンターで飛行を支えてくれている飛行管制官の方々そういった方々のチームワークの成果がここにあらわれたと思います。今回ミッション成功しましたけどもほんとうに設計者の方々やフライトコントローラー、地上管制官の方々に感謝したいというふうに強く思います。

Q5:国際宇宙ステーションは完成するとサッカー場くらいの大きさになると言われているのですが、正直私たちはテレビで見ていてあまり実感がわきません。日本人で初めて若田さんはステーションに近づき訪れ、中にも入ったわけですがその大きさとか雰囲気をどのように感じましたでしょうか。教えてください。
若田:ドッキングする前にランデブーをしますけどもそのときに宇宙ステーションがはじめて見えたのはおそらく私がはじめて見たのは100海里くらい手前だったと思いますけど、ほんとうにすごく明るい星のように見えたですね。だんだん近づいてくると左右それぞれに開いたサービスモジュールとFGBの太陽電池板がすごくきれいに何か遠くから見ていると複葉機ですね、昔の複葉機のような感じがしました。だんだん近づいていってドッキングしたわけですけど、ほんとうにその大きさ美しさに圧倒されました。中に入ったのがフライトデイの3日、4日それから9日目ですけど、やはりスペースシャトルの室内に比べて非常に広いという感じがありました。特にユニティモジュールというのはほんとうに室内の空間がゆったりとしていて、そこで相撲のしことかも踏んでみたのですけどもかなり混雑したスペースシャトルのミッドデッキなんかに比べると非常に過ごしやすいなあと、私もユニティモジュールで3日目には寝袋を持っていって寝てみましたけれども、空調の音も非常に静かで快適に過ごすことができました。そういった意味でスペースシャトルに比べて宇宙ステーションっていうのはほんとにスペースが広い、ゆったりとできる空間であるという感じをもちました。

Q6:シャトルから三宅島を見たいとおっしゃっておられましたけどもご覧になりましたでしょうか?避難している島民のみなさんへメッセージをいただければと思います。
若田:みなさんもスペースシャトルが今どこを飛んでるかっていうのを地上でご覧になれると思うんですけれども、実は我々が起きている時間というのはですね、日本の上空を通るのは夜だけなんですね。それであの実は昼間の景色が見れなかったので、三宅島というのをはっきりと見ることができなかったのですけれども、例えば今からちょうど6時間半くらい前に日本上空を通ったんですね。夜景が見えましたけども、やはりその日本列島そしてあそこの辺が三宅島ではないかなと思いながら日本を見ていましたけれど、やはりほんとうに今、三宅島のみなさん大変苦労されていると思います。一日も早く島にみなさんが帰って安心して生活ができるそういう時が早く来て貰いたいなというふうに思います。
ぜひ三宅島のみなさまにはがんばってもらいたいなというふうに思いました。

Q7:野球とかあるいは相撲のしこを試みられたり、宇宙でスポーツをされてみた感想を聞かせてください。
若田:私も幼い頃リトルリーグそれから高校に行って、まあ甲子園には行けませんでしたけれど野球をしておりましたけれど、やはりそれから相撲にしてもですね、宇宙でやると新しい発見がたくさんあるなというふうに思いまして、スポーツのルールも地球上でのルールと全く違うルールを作らないとスポーツが成り立たないなという感じがしました。野球に関してはだいたいバットで打つと全部ホームランになってしまうとか、しこを踏むお相撲に関してはしこを踏むにも足場、左もしくは右の足をこう支えるようなものがないとしこは踏めませんし、実際に取り組みになると今度は土俵、2次元的な土俵ではなくて宇宙では例えば球、球体のような三次元的な土俵っていうんですかね。そういうものが必要になってくるんじゃないかなと思います。逆にそういう風に考えると宇宙でのスポーツのルールを考えるととても楽しくなるなという感じがします。

Q8:1回目と2回目の飛行でなにか大きな違い、あるいは新しい発見というものがあったでしょうか教えていただけますでしょうか?
若田:
そうですね、2回目の飛行なんで訓練・準備の段階からまあ落ち着いて作業できたなというふうに思います。大変びっくりしたのがメインエンジンが止まって無重量の空間になって、すぐにあっこれが4年前に感じた感覚なんだという、その無重量の感覚というのがもうメインエンジンが止まって数分するとすぐに甦ってきた。頭で覚えて無いけれども体がその無重量の感覚を覚えているなとそういう感じがしました。それからロボットアームの操作に関しても前回の経験を十分に生かして落ち着いて作業ができたと思います。前回の飛行でひとつできなくて今回ほんとうにできてよかったと思っているのはオーロラが良く見えたということですね。前回の飛行は赤道面に対して軌道傾斜角度がだいたい28.5度くらいの飛行だったんですけど、今回は赤道面に対して52度くらい傾いている軌道面を通っていますので、北、南かなり高い緯度のところに行けますのでほんとうにそのオーロラが見えたことが前回と違って、とても楽しむことができました。

Q9:昨日ご家族との交信はなされませんでしたけれど、お宅に帰られましてどのようなお話をなされたいでしょうか?もしよろしければお聞かせください。
若田:
そうですね、今回は打上げも何回か延期されてですね、まあ家族、本人もプレッシャーがかかったんではないかなというふうに思います。ほんとに訓練も長くてですね、飛行中もほんとうに心の支えになってくれたことを感謝したいなあと思います。それから息子にも1週間以上会ってないとまあ、ちょっと早く会いたいなという感じもします。

Q10:持っていかれた日本食の感想を教えてください。特におせんべいの味はどうだったでしょうか?宇宙でしっけたりはしなかったのでしょうか?
若田:
はい。埼玉県の草加のおせんべいを持っていったんですけど、ビニールのパッケージにくるんで持って行きましたので、宇宙でしっけるということはありませんでした。あのパリパリしてZ1トラスを取り付ける前におせんべいを食べて、その取り付け作業に臨んだんですけどもそのおかげかうまくZ1トラスが取り付けられましたけども、ほんとうにその香ばしいおいしいおせんべいを食べることができました。今度宇宙でパリッとおせんべいを割るとですね、その破片がちょっと飛び散ってしまって、それをまた追いかけて食べるのもまた楽しいなというふうに思いました。それからあのお味噌汁はですね、ストローで吸うような形だったんですけどもワカメの入ったお味噌汁、とってもおいしくご飯と一緒に頂けました。

Q11:2回目のフライト無事に成功を収めましてこちらでは早くも3回目のフライトの話が出てるのですが、次の目標、夢などありましたら教えてください。
若田:
そうですね、今、宇宙開発事業団には8人の宇宙飛行士がいます。ミッションスペシャリストとしてももうすぐ野口宇宙飛行士が宇宙へ飛び立つと思いますし、それから日本でつくばをベースに古川、星出、角野という3人の宇宙飛行士が今、訓練しています。この3人は国際宇宙ステーションの長期滞在に向けて訓練をしている人たちで、彼らがまた近い将来宇宙でがんばってくれると思います。私もその彼らに続いて3回目の飛行をいつかできればなあというふうに思いますけれども、宇宙ステーションに行って組立て作業をしてやはりその宇宙ステーションの中、その広さに圧倒されましたけども、いつの日か宇宙ステーションに長期滞在をして、長い間にわたって宇宙でのいろいろな実験や観測それから組立て作業そういったものに携わりたいなあというふうな希望を持っています。それに向けてこの帰還後もがんばっていきたいなあというふうに思います。

Q12:これまでのところ非常に順調に国際宇宙ステーションの建設進められていますが、完成後、どのような利益をもたらしてくれるのか?またその宇宙ステーションなんのために作っているかというところがなかなか一般の人にわかりにくいところだと思うのですが、そのあたりについて若田さんはどのような目的でこれを作る意義があるとお考えでしょうか?またその国際宇宙ステーションに限らず、宇宙開発を今後進めていくということの意味合いですとか、必要性についてどのようにお考えでしょうか?
若田:
そうですね、国際宇宙ステーションの一番大切な目的はサイエンスを行うことですね。宇宙ステーションで行われる様々な実験また観測を通じて地上で我々が生活していくために必要な技術、新しい薬品の開発ですとかコンピュータの新たな半導体を製成するための技術そういった私達の暮らしを豊かにしてくれる技術、こういったものを生み出していく。それが宇宙ステーションの本来の目的です。それに加えて地球の観測、我々の環境、地球の環境を守るための観測や様々な天体観測そういったものが宇宙ステーションで行われると思います。それに加えて宇宙ステーションが世界の様々な国々の協力のもとで行われているということがとても重要ではないかなというふうに思います。私は宇宙ステーションの計画っていうのがこれまでにない大規模な形での科学技術における協力施設だというふうに思ってますし、これが国と国を結び付け、ひいては新しい世紀これを私は21世紀"地球人の世紀"へというふうに呼びたいと思いますけども、やはり地球の人々がほんとうに英知を結集して、宇宙ステーション計画を進めていくことによって新しい地球人的な感覚で価値観や文化といっ たものが生まれてくるのではというふうに思います。
宇宙開発の意義に関してもこれまで冷戦の構造のもとで宇宙開発これは米・ソの競争のもとで行われてきたわけですけれど、やはり今、ほんとの意味で宇宙開発というのが世界の協力によって行われているとそういう時代になった。これをとても嬉しく思いますし、この方向性に間違いはないと思います。

Q13:地球に戻られたら、今回のミッションを終えられて、まず最初に何をなされたいですか?さきほど、息子さんのお話もなさってましたけれども...教えてください。
若田:
そうですね。地球に下りたら、まずお風呂に入りたいなと思います。宇宙ステーションでは、宇宙ステーションでもスペースシャトルでもそうですけど、タオルで体を拭く程度なんで、ゆっくりお風呂に入りたいなと思います。

Q14:若田さんが宇宙で詠んだ短歌は地上で非常に話題になっておりますが、真闇という言葉、これは皇后さまへの返歌の意味をこめて詠まれたのでしょうか?いつの時点から短歌を考えていたのか。あわせて教えてください。
若田:
そうですね、ほんとに皇后陛下に宇宙飛行士たちのことを詠んでいただいたことをとても感謝しておりますけれども、宇宙に行って、その想いをどんな形で表現したら良いかなということをいろいろ考えてました。皇后陛下が歌を詠んでくださった時からいろいろアイディアを練ってたんで、まあその時から考え始めました。

Q15:最近の日本国内では明るい話題が乏しいなか、シドニーオリンピックの高橋尚子さん、田村亮子さんの金メダル、そして今回の若田さんのアーム操作でのご活躍と明るい話題が出てきておりますが、来年からの21世紀の日本に何を期待なされますか?
若田:
そうですね、今回のオリンピックでほんとうに日本選手がんばってくれたと思いますし、まあ私もこうして七人のクルーの一人としてこのミッションに参加して、このミッションの成功にまあまだ終わってませんけれど、ミッションを達成できたということをほんとうに嬉しく思っています。ほんとうに益々、日本もですね、日本からももっともっと世界を舞台に活躍している方々が出てきてくれればなあというふうに思います。私もそういう意味で理想・目標を高く持ってがんばりたいなというふうに思っています。

Q16:このあとすぐ自由時間がありますけれども、やり残したこととかこれだけはやっておきたいことはございますか?
若田:
そうですね、今日遅くなると日本が昼間、見えるかもしれないのでその時にちょっと日本の姿を昼、ほんとうにみたいなというふうに思います。その時にほんとうに三宅島も見れればなあというふうに思いますけれどもそれを楽しみにしています。


最終更新日:2000年10月22日

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