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米国中部夏時間10月12日午後4時47分(日本時間10月13日午前6時47分)頃から、午後5時7分(同午前7時7分)頃まで、スペースシャトルの若田宇宙飛行士と森喜朗総理大臣、大島理森科学技術庁長官および都立三宅高校野球部前主将の津村秀紀さんとの交信が行われました。交信内容の全文を以下に紹介します。
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[17分16秒]
はい、1998年に打上げが、組立が始まりましたけれども、今回、私たちはアメリカの構造体を宇宙ステーションに取りつけます。また、2004年頃には日本の宇宙実験棟「きぼう」も取りつけられることになっています。ですから、あと5年くらいの間に国際宇宙ステーションが完成して、その先、10年以上にわたっていろいろな実験や観測が行なわれていくことになります。 森総理: あなたは記者会見で、もしオリンピック種目に宇宙活動という種目があったら、個人も団体も金メダルだと、こう言っておられましたけれども、あなた金メダルぜひとって欲しいなと思いますし、ダフィー船長もこの団体で十分金メダルをとれますか? 若田: はい、私たち3年間にわたって一緒に訓練をしてきました。私もこのすばらしいチームで仕事ができることを嬉しく思ってます。総理が仰るとおり団体戦でも個人戦でもぜひ私たちのクルーは金メダルが取れるんじゃないかなというふうに思います。 森総理: そうですか、期待を致しております。 あなたも仰ってましたけれども、日本も今、政府が先頭になって、IT革命を進めているわけでありますけれども、どうぞ本当にこれから21世紀はいわゆる国境というものがだんだん希薄化、薄くなっていくと思います。まさに、地球全体が同じようにみんなが平和でいる、そして心がやすらんでいく、そういうまた時代を迎えていくことになるわけでありますから、まさにこの宇宙を中心に世界の人々が幸せを求めていくということになりますが、その先駆けの先駆者としてあなたはこれから努力をされていくことになると思いますが、ぜひがんばっていただきたいと思います。 若田: はい、ありがとうございます。 総理が仰ったITの分野ではスペースシャトルや宇宙ステーションの運用でもそのITがとても大切な役割を果たしていっています。身近な例ですと、スペースシャトルから実は電子メールを打ったり、また受信したりすることができます。後ほど、総理の方にこの操縦室の方から電子メールを送らせて頂きたいというふうに思います。 森総理: それは、ありがとうございます。おそらくいずれiモードにもすぐに移る時代がくるんじゃないかと思いますね。あの、実はですね、今日、大島長官の隣にですね、三宅島の三宅高校の野球部の津村君が来てるんです。あの今年は非常にわが国は自然災害が多い年でございました。三宅島の皆さんはまだ避難生活を送っておられるわけです。そちらからは三宅島の状況というのはわかるわけでありますか? 若田: はい、まだ三宅島上空を通るときに操縦室におりませんでしたけれども、この飛行の中で多分三宅島を上空から見る機会があるんじゃないかなというふうに思っております。 森総理: それでは、三宅高校の津村君、野球部のキャプテンを紹介します。 若田: 津村くん、若田です。よく聞こえますか? 津村: そこから、三宅島の噴煙とか見えますか? 若田: まだ、三宅島の上空は差し掛かってないんですけれども、ぜひ見たいなというふうに思っています。津村君、今三宅島の皆さん、避難所生活を送ってとても厳しい状況にあると思います。心からお見舞い申し上げたいというふうに思います。 津村: はい、ありがとうございます。 森総理: 若田さん、あなたの今メッセージ、津村君がちょっと緊張していて、お答え出来ませんでしたけれども、きっと秋川高校で皆今合宿で避難をしている子どもたちに津村君が必ず伝えると思います。 そして三宅高校のあるいは三宅中学や小学校の皆さんもみんな元気出すと思います。本当に良いメッセージありがとう。 若田: はい、ありがとうございます。津村君、私たち今回津村君がその避難所生活を送りながらも夏の大会に出場して素晴らしいプレーを見せてくれたと、そして大変多くの人々がそのひたむきなプレーに感動したということも聞いています。本当に良く頑張りましたね。 津村: はい、家族や先生たちが一生懸命応援してくれたんで、僕たちも思いっきりプレーすることができました。若田さんはふるさと地球から離れて、不安はありませんか? 若田: はい、ここにいるダフィー船長や素晴らしい宇宙飛行士の仲間と一緒です。そしてまた地上で大変多くの方々が支援して下さっているので、不安というものはありません。実は宇宙飛行も野球と同じようにチームワークがとても大切です。津村君も野球を通して培った、チームワークを大切にする心、それから集中力、そして洞察力、これを大切にして将来の目標に向かって頑張って下さい。 津村: はい、ありがとうございます。 森総理: あの、若田さん、昨日ニュースを打上げ成功のニュースを見ておりましたら、あなたのお母さんがとても感動的な話をしておられました。しっかりと使命を果たして欲しいと思いますとお母さんは仰っておりましてねえ、そしてその後にぜひ、元気で無事に帰ってきて欲しいと思いますとこう仰っていました。お母さんに何かお話しされることありますか? 若田: そうですね、応援をしてくれて本当にありがとう。宇宙で頑張ってきますというふうに伝えて下さい。 森総理: きっとご覧になると思います。それから、もって行かれた白米と味噌汁はいつ食べるんですか。 若田: はい、実は今晩お味噌汁とご飯を食べようと思っています。それからお菓子にはお煎餅も食べようと思います。 森総理: お煎餅はおかずですか?漬け物は何か持って行かれたんですか? 若田: いえ、今回は漬け物は持ってきませんでした。 森総理: そうですか、あのもう時間が来ておりますが、宇宙飛行士として日本の将来を担う子ども達へ若田さん何かメッセージをお願いしたいと思います。 若田: そうですね、私が幼い頃宇宙にあこがれを感じたとき、これはアポロ11号の月着陸を見たときだったんですが、当時はアメリカやソ連の人々だけが宇宙へ行って活躍できる時代でした。今、日本の人たちも宇宙を舞台に活躍できる時代が来たことをとても嬉しく思っています。日本の皆さんには好奇心を大切にして、しっかりと目標を持って、その目標に向かって進んでいけば必ず夢がかなうんだと、そういうことをお伝えしていきたいなと思っています。 森総理: ありがとうございました。どうぞ一つ元気で、そして健康に十分留意して頑張って下さい。それからダフィー船長はじめクルーの皆さんにもよろしくお伝え下さい。 若田: はい、かしこまりました。今日は本当にお忙しいところ、大変ありがとうございました。
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