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若田宇宙飛行士からの回答(打上げ前)

 2000年8月から今まで皆様からお寄せいただいた質問の中から以下の11問について若田宇宙飛行士が回答いたします。
 なお、引き続き、質問を募集しますので皆様ふるって質問をお寄せ下さい。次回は着陸してから3週間後に若田宇宙飛行士の回答を掲載する予定です。
 
Q1:宇宙食は最初のころより種類も増え、味も良くなったと聞きますが、日本食もあるのですか?また、宇宙では1日3食なのですか?
奈良県 男性(21歳)
若田:
 現在の宇宙食はメニューが豊富で、地上で食べる食事とほとんど変わりません。食事も1日3回、朝昼晩に食べます。もちろん日本食もあります。今回の飛行で、私は日本食としておみそ汁、ごはん、カレー、また埼玉出身ということもあり草加煎餅を持って行く予定です。

Q2:日本人初としての国際宇宙ステーションの組み立てミッションに参加する気持ちを教えて下さい!!
愛媛県 男性(13歳)
若田:
 私が1992年に宇宙開発事業団からNASAに派遣されたもともとの理由は、国際宇宙ステーション(ISS)の建設に日本人搭乗員が必要だということで訓練を開始しました。そういう意味で、今回STS-92という組み立てミッションに割り当てられ、参加できることをとても嬉しく思っています。

Q3:若田さんは、シャトルで作業するためにいろいろな訓練を受けていると思いますが、それらの中で一番苦しかったものはなんだったでしょうか。また、一番おもしろかったものはなんだったでしょうか。
茨城県 女性(28歳)
若田:
 私はこのミッションのために3年間にわたって訓練をしてきました。どの訓練もミッション遂行のために無くてはならない訓練ばかりで、苦しいと思ったことはありません。一番おもしろいのはやはりロボットアームの操作訓練です。実物大のロボットアーム訓練設備を使った訓練や、ヴァーチャルリアリティ設備を使用した訓練、プールに実物大模型を沈めて微小重力環境を模擬した環境下での船外活動訓練など、様々な訓練を行っています。
 どの訓練も、自分の身に付いてくると楽しくてしようがないという気分になります。  

Q4:トイレをするときには どうするの?寝るときは どこで寝るの? 
北海道 男性(8歳)
若田:
 スペースシャトルのトイレは、見かけは洋式トイレに似ています。奥行き1m、幅約1mのスペースの中にトイレがあって、ドアはなくカーテンで仕切られています。ですから、外に音が聞こえるのではと思われるかもしれませんが、スペースシャトルの中は空調ファンなどで結構うるさく、重力のほとんどない所でトイレを使うため掃除機のような原理で吸い込む形式になっていますから、そのモータの音がうるさくてトイレの音が外に漏れることはありません。 寝るときには寝袋を壁や天井などに固定してその中で寝ます。無重量では体がふわふわ浮いている感じで気持ち良く寝ることができます。

Q5:宇宙ロケット酔いしないのですか?
広島県 男性(8歳)
若田:
 宇宙酔いについてのメカニズムはまだはっきり解明されていませんが、かかりづらくするには、無重量になった直後にむやみに頭を動かさない、なるべく上半身全体でゆっくり動くように、頭や首を振らないように気を付けることも効果があるようです。前回の宇宙飛行では、それらに気を付けて作業したら宇宙酔いにはなりませんでした。

Q6:宇宙人て本当にいるの?
東京都 女性(10歳)
若田:
 広大な宇宙のどこかにきっといると思います。

Q7:もし宇宙へ行ってロケットの中で「ウェーンウェーン」と大泣きをしたらマンガのように涙は粒状になって飛び散るのですか?
東京都 男性(12歳)
若田:
 地上と違って無重量の宇宙船のなかで涙を流すと涙は目に付いたまま流れ落ちません。涙を流し続けると皮膚に付着したまま顔全体に広がってきます。顔を振ったり何かの拍子で頬から涙が離れると、丸い水滴となって飛び散るでしょう。

Q8:お風呂はどうしてるんですか?具合いが悪い時どうするんですか?
東京都 女性(25歳)
若田:
 スペースシャトルにお風呂はありません。ボディシャンプーをしみこませたタオルで体を拭いたり、シャンプーはすすぎのいらないシャンプーを使います。
 もし、宇宙で具合が悪くなったら、シャトルに備え付けてある治療手順を見て地上のフライトサージャン(航空宇宙専門医)からのアドバイスを受けながら、応急処置担当の搭乗員が手当します。

Q9:若田さんが子供の頃、宇宙についてどのように思っていましたか?
神奈川県 男性(14歳)
若田:
 初めて宇宙に対するあこがれをもったのは、5歳のときでした。1969年7月20日、アメリカの宇宙船「アポロ11号」が月に着陸し、船外に出た2人の宇宙飛行士が月面で活動する様子をテレビで見て、強烈な印象を受けました。
 しかし、宇宙飛行士になるということはかなえられない夢と思っていました。子供心に、宇宙に行くなどということは、アメリカやロシア(旧ソ連)だけができることで、日本人にはとうてい手の届かない世界だと思っていました。
 今、毛利さんをはじめ日本の宇宙飛行士たちの活躍を見て、日本の子どもたちが、宇宙飛行士という仕事を実現可能な目標としてとらえてくれるような時代になった事を嬉しく思います。

Q10:自分は将来宇宙飛行士の(Mission specialist) になることが目標でそれ以外のことの職業は考えられません。気持ちとしては今すぐにでも飛んでいきたいのに、一体何をすべきかわかりません。なので具体的になにをすべきかおしえてください。死ぬ覚悟です。どうぞ、よろしくお願いします
静岡県 男性(16歳)
若田:
 これからますます日本からも宇宙を舞台に活躍する方々が増えていきます。現在、宇宙飛行士の専門分野は自然科学系がほとんどですが、その専門分野も今後更に多様化してくるでしょう。宇宙飛行士には、その専門分野での知識や経験を宇宙開発に貢献できるよう役立てていく能力が要求されます。目標をはっきりと持って、自分の専門分野での経験をしっかり積み、その宇宙開発への応用を考えながら努力すれば、きっと宇宙飛行士への道も開かれると思います。がんばって下さい。


Q11:前回の打ち上げ前と今回とでは、緊張感など、 どう違いますか? 
北海道 女性(15歳)
若田:
 前回は、何もかも初めてでしたが、今回は2回目と言うこともあり気持ちに余裕があります。今は打上げまで良い意味での緊張感を維持しながら、残された時間を有意義に使 い、最終的な調整をしっかりやっていきたいと思います。宇宙でいい仕事ができるよう頑張りたいと思います。



最終更新日:2000年10月 3日

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