STS-88 ステータスレポート #18
1998年12月 11日(金)午後2時(米国中部標準時間)
1998年12月 12日(土)午前5時(日本時間)
エンデバー号のクルーは米国中部時間午前10時36分(日本時間12日午前1時36分)に起床し、将来国際宇宙ステーション(ISS)で働くクルーのための準備作業の続きに取掛かりました。ロシアの宇宙飛行士でミッションスペシャリストでもあるセルゲイ・クリカレフのために、チャイコフスキーのバレー「クルミ割り人形(Nutcracker)」から「トレパック(Trapak)」が、ウェイクアップコール曲として流されました。
パイロットのリック・スターコフとミッションスペシャリストのナンシー・カリーは、ユニティ内のアクセスパネルを外したり,装置を取り出したりして、将来の組立ミッションで使用する装置類の荷ほどき作業を続けます。
コマンダーのボブ・カバナとスターコフとカリーはユニティ内で昨日紛失したミッド-ベイに取付けるラックのピボット・フィッティングの一部を捜します。打ち上げ時に固定していたボルトを取り外す作業に続いて実施した、固定リングをラックに取り付ける作業中に、その固定リングがパネルの後ろ側に落ちてしまいました。ピボット・フィッティングはラック全体を手前に傾けることができるようにするものです。
エンデバー号のクルーは照明と換気装置を停止させてからハッチを閉鎖し、米国中部時間午後4時(日本時間12日午前7時)前にザーリャから退出します。ハッチを閉鎖する前にエンデバー号の生命維持装置を使って、ISSとシャトル内の気圧を海面上の気圧(1気圧)よりやや高めの15psiへと上昇させます。それからISS内の各ハッチを閉鎖する毎にわずかに気圧を下げて、ハッチの手前側の気圧の方が低くなるようにします。これにより圧力差でハッチが確実に押しつけられて気密が維持されるようになります。ユニティ・モジュールから放出される湿気を除去するために、除湿剤の入ったバッグを、ユニティ内に置いてくる電池駆動式のポータブル・ファンに取付け、ファンを駆動させたままにしておきます。クルーは本日午後5時30分(日本時間12日午前8時30分)にユニティから退出します。
クルーがISSから退出し終わると、カバナとスターコフは明日の船外活動の準備として、エンデバー号の気圧を14.7pai(1気圧)から10.2psi(0.7気圧)に下げます。気圧を低くしておくと、土曜日の船外活動の準備作業の中で、宇宙服内を4.3psi(0.3気圧)の純酸素で満たした状態にするのに先立って、ニューマンとロスが純酸素を呼吸する時間を、短縮することができます。
酸素を前もって呼吸する手順により血液中に溶け込んだ窒素を取り除きます。これは血液中で窒素ガスの泡が生じて発生する可能性のある、ベンズ(減圧症)と呼ばれる危険な症状を予防する方法です。ニューマンとロスはこの手順の一環として本日、エンデバー号の船内を減圧している間に、約1時間にわたりマスクを使用して純酸素を呼吸します。
その後ニューマンは、オービタのロボットアームの位置決めに使用するスペース・ビジョン・システム(SVS)の標的マークの性能評価を完了させる予定です。クルーはまた、米国中部時間午後7時36分(日本時間12日午前10時36分)に、CNNとCBSのインタビューを受ける予定です。
明日ニューマンとロスが実施する第3回目であり最後となる船外活動の準備を、今夜開始します。スターコフに手伝ってもらいながらニューマンとロスは明日使用する道具を揃えておきます。それからSAFER(簡易船外活動用セルフレスキュー装置)バックパックをチェックします。これは宇宙用ライフジャケットともいえるもので、船外活動中の宇宙飛行士の命綱が外れたときに、ISSに戻ってくることができるようにするためのものです。
エンデバー号とISSの状況は良好です。
最終更新日:1998年 12月 12日
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