日本は、アジア地域で国際宇宙ステーション計画に参加する唯一の国です。私たちは、この人類にとって新しい実験施設である国際宇宙ステーションへのアジアにおけるゲートウエイとしての役割を果たしたいと考えています。
アジアの宇宙機関にも国際宇宙ステーションを利用するメリットを知ってもらい、その価値を共有したい。そのために発足したのがJAXAの「きぼうアジア利用推進室」です。私は、メンバーの一員として、主に生命科学実験、とりわけ植物に着目した研究調整のためインドネシアを訪問しました。JAXAの研究アドバイザー高沖先生とともに、インドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN; Lembaga Penerbangan dan Antariksa Nasional, 英語ではNational Institute of Aeronautics and Space)とバンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung, ITB)で、将来、インドネシアとの宇宙での共同実験を実現させ、また、それを成功に導くための議論をしてきました。2012年3月のことです。 |
学生の一人、レオニータさん |
|
まずバンドン工科大学生物学科を訪問。出迎えてくれたのはDr. Fenny と学生さんたち、色とりどりの果物たちでした。学生さんたちはとても元気。みなさん積極的に研究の発表をしてくれました。 |
お仕事の話が終わるとスーパーマーケットへ。スーパーにも色とりどりの果物が並んでいました。
日本ではbananaはそのまま食べるのが当たり前ですが、インドネシアでは料理用のバナナの方が多いのだそうです。 |
|
色とりどりの果物 |
|
Dr. Fenny M. Dwivany |
LAPANでは、3Dクリノスタットを確認し、バナナ固定方法について議論しました。また今後の宇宙環境利用分野での協力について議論もできました。 |
|
|
|
|
|
左上はバンドン工科大学、左下の写真は、LAPANでの風景。インドネシアが独自に作成した3Dクリノスタット。バナナの成熟過程に重力が影響しているかを調べているそうです。右はLAPANの前で。 |
ガラス容器に入れられたバナナ。バナナ周囲のガス環境を詳細に分析するためのものです。 |
|
バナナの成熟過程に重力が影響しているかどうかはまだ分かっていません。
しかもバナナを宇宙に持って行くにはいくつかの課題があります。
しかし、生鮮食品を宇宙飛行士へ提供することは重要だと考えられています。 |
現在、国際宇宙ステーションでは、新鮮な果物を食べることができるのは、輸送船が到着してしばらくの間だけ。成熟過程の研究は保存技術に関係するため、宇宙への適用だけでなく地上での収穫後の輸送や保存技術の開発へと活かされる可能性があります。
実は、日本はこれまでに種子島から打ち上げられる無人の輸送船こうのとり(HTV)で、バナナをはじめリンゴ、かんきつ類を国際宇宙ステーションへ運ぶことの検討をしたことがありますが、まだ実現はしていません。
今後、宇宙へ新鮮な果物を届けることができるように、そして地上でも果物を無駄なく活用できるように、インドネシアとの研究協力が発展することを期待しています。 |
バンドン工科大学生物学科の様子 |
|
バンドン工科大学生物学科の様子。教員の名前と似顔絵が廊下に貼られています。どの絵も特徴をつかんでいて、驚きました。ざっとみて半分くらいが女性です。女性の研究者が研究しやすい環境が整っているようです。 |
バンドン市内の様子。2-3人乗りバイクがあふれる道路が印象的でした。みな必ずフルフェイスのヘルメットを着け、スピードは出ていないので危なくはないようです。バンドン市内では、車は渋滞で予定通りに進まないことを覚悟しなければなりません。歩行者が道路を横断する時は特に注意が必要です。インドネシアに来て3日後には車での移動時には渋滞の間を楽しむ余裕の気持ちが持てるようになりました。また歩行時にはバイクの集団を見るのに慣れてしまいました。 |
|
バンドン市内の様子
|
(2013/01/31) |
|