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宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター
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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
サチコの実験日記 Vol.1 宇宙での生命科学実験の話
皆さんこんにちは、はじめまして。私はJAXAで「きぼう」日本実験棟を使った実験に携わっている矢野幸子と申します。主に生命科学実験を担当しています。今回から皆さんにJAXAや他のウェブサイトではなかなか知り得ない「きぼう」での研究やそこでの生き物達のおもしろ裏話、知って得する宇宙の実験装置の話をお伝えしていきたいと思います。JAXAの研究は宇宙環境、特に「きぼう」を使って、人類のため、科学技術の発展につながる研究を行うことを目的として進めています。生命科学実験の分野では、人類が宇宙で暮らしていくときに必要になる基礎的研究や、そこで得られた結果を地上での暮らしに役立てることができる成果が期待される研究を行っています。

皆様が、より「きぼう」での実験や利用に関して興味を持つきっかけになれば嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
初回は「きぼう」に備え付けられた細胞培養装置(CBEF)実験装置で行われた実験の様子をお伝えします。

■ 宇宙と骨粗鬆症

宇宙に行くと、重力がないので骨が弱くなる、という話を聞いたことがありますか。宇宙飛行士は宇宙ではふわふわ浮いています。宇宙ステーションの中で移動するにも、つま先で壁を軽く蹴るだけで、空中を泳ぐように移動できます。宇宙では体の重さも荷物の重さも感じないので、楽に過ごせそうです。しかし喜んでばかりもいられません。宇宙飛行士はまた地球に戻ってきますので、戻った時には自分の体を支えなければなりません。その時に弱っていたのでは大変です。
宇宙飛行士は宇宙でも弱らないように一生懸命運動しています。1日2時間くらいを運動の時間に費やしています。それでも24時間運動を続けることはできません。地球にいると体には重力がかかっていて、自分の体を支えるためだけにも体を使っています。そのうえ少し動き回るだけても骨や筋肉に力がかかって鍛えられているのです。
これまでの研究で、宇宙に行って力がかからなくなると、骨からカルシウムが溶け出してしまうということが分かってきました。
骨が弱るのを防ぐ薬にはいくつかありますが、その中で、「ビスフォスフォネート」という治療薬に関してJAXAはNASAや徳島大学と共同で研究を行っています。JAXAのウェブサイトには研究提案者の徳島大学の松本俊夫先生のインタビューと若田光一宇宙飛行士のインタビューが掲載されていますので興味のある方はどうぞ。宇宙での骨量の減少の問題を、薬で解決することができるかもしれません。
でもどうして力がかからないと骨が弱くなってしまうのでしょうか。宇宙飛行士の代わりに、ウロコを使っての実験が行われました。魚のウロコにも、人間の骨と同じように骨を作る細胞と壊す細胞がいて骨と似た構造をしています(※)。JAXAと金沢大学の鈴木信雄先生の研究チームは2010年5月、宇宙にキンギョのウロコを持っていき、さまざまな方面から解析を進めています。その結果、とてもおもしろいことが分かりました。キンギョのウロコの骨を壊す細胞が、宇宙では地上よりも大型になり、骨をたくさん壊すらしいということが分かったのです。この結果は、細胞単位で見た例としては初めてであり、2011年5月の日本骨形態計測学会で発表されました。これから他のデータも発表されますので楽しみにしていてください。
※金沢大学の鈴木信雄先生のチームは、魚のウロコが人の骨と同じような骨代謝の機能果たしていることを実証し、国際骨代謝学会の学会誌「Bone」2011年5月号で発表しました。

若田光一宇宙飛行士と松本先生のインタビューのページへ
http://www.jaxa.jp/article/special/expedition/index_j.html
FishScales実験ページへ
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/fishscales/
(2011/06/09)
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