皆様、こんにちは、JAXAでタンパク質の結晶生成実験を担当しています佐藤勝と申します。宇宙実験の現場を知って頂くため、ロシアへの出張日記をコラムの形で連載しており、今回が5回目となります。私は、現在バイコヌールからモスクワに向かう飛行機の中で、この原稿を書いています。7月24日に打上られたタンパク質結晶生成実験(第1回)の搭載装置の打上準備のため、カザフスタンのバイコヌール射場で作業をしてきました。今回の打上は、JAXAが国際宇宙ステーション(ISS)で行う10回目のタンパク質結晶実験であり、初めて「きぼう」日本実験棟で実験を行う記念すべき打上となりました。 |
さて、今回の話題は、宇宙実験の準備作業です。ISSの中で実験を行うためには、様々なルールに従って、実験装置や実験の手順などを準備しなければいけません。また、実験装置は、アメリカのスペースシャトル、ロシアのプログレス補給船や日本のHTVで打上げられるため、打上時の振動や衝撃などに耐えるような物でなくてはなりません。更に、ISSは宇宙の閉鎖された環境に人が滞在する施設ですので、ここで使用される装置は、人に対する安全性に問題がないか検証しなくてはなりません。 |
実験装置は、研究者等の実験要求に基づいて、必要な機能を実現するよう設計されますが、これに加え輸送時やISSでの実験時の耐環境性や安全性の要求を満足するよう考慮して設計されます。この中でも特に厄介なのが安全性の要求に対する検証です。 |
安全性の要求は、多くの項目があり、それぞれの項目に関して試験や解析によって要求を満足することを検証しなくてはいけません。タンパク質結晶実験装置の例を以下に示しますが非常に多くの項目について検討が必要です。 |
(1) Impact/Collision (Structural Failure during Ascent/Decent/On-orbit)
(2) Impact/Collision (Structural Failure of sealed container)
(3) Sharp Edge/Protrusion
(4) Contamination (Broken Glass)
(5) Fire (Use of Flammable Materials)
(6) Contamination (Off gassing from Materials)
(7) Excessive EMI
(8) Contamination (Hazardous Materials Leakage from Battery)
(9) Touch Temperature Extreme
(10) Electrical Shock
(11) Contamination (Hazardous Materials Leakage of samples)
(12) Contingency Return and Rapid Safing |
さて、次回のコラムも、引き続き宇宙実験の準備作業について紹介したいと思います。 |
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