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宇宙での研究

TR-IA7号機 成果報告


1. はじめに
 
TR-IA7号機実験システム
TR-IA7号機実験システム

宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)は、平成10年11月19日、種子島宇宙センター竹崎射場から、宇宙実験用小型ロケット(TR-IA、愛称「たけさき」)の最終号機である7号機を打ち上げ、10-4g以下の微小重力下で6分間実験を行った後、太平洋上でペイロード部を回収した。

同機では公募を経て選定された5テーマと当事業団の1テーマの実験が5種類の実験装置を用いて行われた。打上げ後約1分20秒でシーケンスが停止した燃焼現象実験装置以外は概ね順調に稼働し、実験試料等のデータを取得することができた。

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2. 実験成果の概要
 
  1. 結晶成長研究(観察技術実験装置II型)
  2. 基礎物理・流体研究(多目的均熱炉:3炉体)
  3. 半導体材料研究(多目的均熱炉:3炉体)
  4. ライフサイエンス研究(培養細胞実験装置)
  5. 基礎物理・流体研究(燃焼現象実験装置)
  6. 技術開発実験(静電浮遊炉)

3. TR-IAミッションのまとめ
 

TR-IA実験計画は平成元年度から開始され、今回の7号機をもって完了した。この計画では合計39テーマの微小重力実験が行われ、百名以上の研究者の方々に参加いただき、表2にも示されるような多くの貴重な科学技術成果の取得が成された。この点で、TR-IA小型ロケット宇宙実験計画は日本の宇宙環境利用の促進に最も大きな貢献を果たしたと考えられる。

実験技術や実験装置の要素技術等の技術開発については、共通的・基盤的なものからより高度なものへと推移し、初期の宇宙ステーション利用に向けた幾つかの科学的課題及び実験技術等の要素技術の確認を通じて、その目的をほぼ達成できたと考えている。

TR-IA計画では、極めて貴重な多くのことを学ぶことが出来た。最も重要な点は、「科学と技術の融合」こそが、宇宙環境利用の未来を創り得る唯一の方法であると結論できたことである。過去のミッションを振り返ると常にこの間の葛藤の歴史であったと言えるであろう。科学はアナログ的であり、達成すべき目標のレベルに自由度がある。一方、技術はデジタル的であるとも考えられ、要求仕様の値を満たすか否かが、成功の判断基準である。

この異種の文化とも言える両者を如何に融合するかが、よりよい成果の創出に必須であるとの信念の下、TR-IAプロジェクトでは、常に科学と技術が同一の視点から両者を議論して各作業を進めてきた。これは膨大な努力の傾注でありTR-IAでの実験の成功は、この努力の賜であると考えている。

この10年に亘る宇宙実験プロジェクトを完結できたのは、メーカ技術者、研究者及び事業団職員の絶え間ない努力の結晶であり、ここに深甚なる謝意を表すとともに、必ずや宇宙ステーション利用における有意義な成果の創出につながるものと確信している。

小型ロケット計画については、実験再開に関する研究者からの期待も大きい。今後は、“実験システム開発”のフェーズから高度な科学的成果の創出を目的とした“利用”のフェーズに移行し、国内外を問わず実験目的を達成できる安価な手段の確保を目指した検討を進めている。

なお、TR-IAの実験成果については、国際宇宙環境利用データベースの「宇宙実験結果報告」に成果報告書の全文が掲載されている。今後の研究計画や宇宙実験提案の立案に役立てて頂ければ幸いである。




結晶成長研究
 
実験テーマ
 

氷の樹枝状成長におけるパターン形成への微小重力の効果

   
実験成果
 

核発生セルを冷却後、氷の細片がガラス細管から射出され、支持体のない状態で自由成長する様子が世界で初めて観察でき、良く制御された氷の結晶成長実験を世界に先駆けて行うことができた。実験途中に正面観察系の干渉計画像を記録するデジタルVTRが停止しデータの取得が中断したが、側面観察系画像から、氷の結晶成長が円盤状からはじまり、成長に伴い円板の縁で形態不安定性が起こり、最終的に樹枝状結晶が生成する様子を観察することができた。そして、樹枝状結晶先端の3次元形状は地上実験時と同様に非対称性を示すことが明らかとなり、この非対称性は重力対流に起因しないことを明らかにすることができた。

本実験の成果により、取得された技術が今後の宇宙での結晶成長実験へ生かされるとともに、結晶科学への寄与として、氷の結晶成長理論のみならず異方性を有する結晶の理論構築に汎用的に貢献できると考えられる。

   
 
微小重力下で成長した氷の結晶 実験の外観図
微小重力下で成長した氷の結晶 実験の外観図

本実験では、微小重力下でも氷の結晶が円盤状から樹枝状への形態不安定性が生じるこ とが判り、この現象が熱対流に因るものではないという結晶成長分野での重要な結果が得られた。



基礎物理・流体研究
 
実験テーマ
 

高融点金属性複雑融体の拡散の研究

   
実験成果
 

本実験では銀-銅系合金について、系統的に濃度と拡散係数の関係を調べ、3種類の異なる温度で実験データを取得した。

銀および銅の自己拡散係数の温度依存性は剛体球模型を用いた理論値とほぼ一致し、剛体球模型の応用範囲拡大の可能性を示した。また、銀濃度が高くなるにつれて銀および銅の自己拡散係数が増加する傾向があり、Ag濃度の増加に伴って融体が粗な構造になっていると考えられる。今後広い温度範囲で高精度な実験を行うことで、合金系の拡散の様子が明らかになると期待される。

今後、得られた実験技術を活用し、拡散係数のデータベースを構築することにより、産業・科学界での幅広い利用が期待される。

   
 
拡散実験用シアーセル Cuの濃度プロファイル(摂氏1160度)
拡散実験用シアーセル Cuの濃度プロファイル(摂氏1,160度)

今回の実験では、これまでの純元素中の拡散実験から、異種元素同士の相互作用が考えられるAg-Cu合金について、世界で初めて系統的な拡散実験を行い、濃度に対する自己拡散係数および相互拡散係数の関係を得ることができた。



材料研究
 
実験テーマ
 

InAs-GaAs相互拡散係数の測定

   
実験成果
 

今回の微小重力実験では、従来測定例のなかった高濃度GaAsを含む広い組成範囲にわたり、シアーセルの活用や蒸気圧の高いAsの蒸散を抑制することにより、InAs-GaAs相互拡散係数を世界で初めて測定することに成功した。測定温度は摂氏1,070、1,120、1,200で、Inの自己拡散係数を含めて、有効数字2桁の精度を達成した。

取得されたデータから、拡散係数のIn/Ga比依存性を算出するとともに、新たな知見として拡散係数に及ぼす砒素濃度の依存性を示すことができ、地上研究を含めた今後の化合物半導体結晶成長実験にとって重要なデータを取得することができた。

本実験の成果は、光による大容量・高速通信を手軽に行えることを可能にするインジウム-ガリウム-ヒ素半導体の均質組成単結晶の実験パラメータの設定に直接的に寄与することができる。そしてこの均質組成単結晶の製造および発光素子としてのデバイス化を通じて、光ファイバー通信網の整備・普及に大きく貢献できることが期待できる。

   
 
InAs-GaAs拡散実験用シアーセル Inの濃度プロファイル(摂氏1,120度)
InAs-GaAs拡散実験用シアーセル Inの濃度プロファイル(摂氏1,120度)

本実験では、インジウム-ガリウム-ヒ素半導体について、対流のない微小重力下で精密な拡散実験を行い、世界で初めてInAs-GaAs相互拡散係数の測定に成功し、IT革命に必要な半導体の結晶成長条件の明確化が図られた。



ライフサイエンス研究
 
実験テーマ
 

培養細胞の増殖、分化に及ぼす微小重力の影響

   
実験成果
 

6号機実験において、細胞外刺激から遺伝子発現へ至る信号伝達の過程で、刺激伝達を行うタンパク質(MAPK)のリン酸化までは、微小重力の影響が生じておらず、その後の過程において微小重力の効果が生ずるという特筆すべき結果を世界で初めて得た。今回の7号機実験では、細胞の形態を保存して信号伝達の様子を解析する手法を導入した。実験の再現性について確認し議論する必要があるが、核内に移行したリン酸化タンパク量が少ないという結果が得られ、微小重力下では細胞内のタンパク質移行が遅れたために信号伝達に遅れが生じた可能性がある。技術的にも、細胞の状態を保存したまま固定し回収する方法等、6号機から新機能の開発を行うことができ、今後の微小重力実験に応用可能な技術の開発に成功した。

 本実験の成果は、宇宙滞在での骨密度の低下等、有人宇宙活動にとって重要な問題の解明とその防止に寄与することが期待される。

   
 
実験で使用した骨芽細胞(MC3C3-E1) 培養細胞ユニット内部
実験で使用した骨芽細胞(MC3C3-E1) 培養細胞ユニット内部

細胞外部からの刺激情報が、細胞内の信号伝達によって核内に伝わり遺伝子発現する過程において、微小重力がどのように作用するかについて研究が行われ、外部からの信号伝達の過程が明らかとなった。



基礎物理・流体研究
 
実験テーマ
 

均一分散噴霧中の火炎伝播に関する研究

   
実験成果
 

本実験では、打上げ後80秒の実験開始直後に実験装置のシーケンスコマンドのトラブルから装置が停止したことにより、フライト実験は実施できず、その成果は得られなかった。しかしながら、予備実験として実施した落下塔実験や航空機実験により取得された短時間微小重力実験のデータから、噴霧液滴径の変化により火炎形状が変化することや、燃料蒸気の一部を微小噴霧に置き換えることによって、希薄混合気では火炎伝播を促進できることなど、新たな知見を得ることができた。

本実験の成果は、ディーゼルエンジン等のように噴霧燃焼を利用する内燃機関における燃焼機構の解明を通じて高効率化内燃機関の開発へ寄与することが期待される。

   
 
(液滴径12マイクロm)
(液滴径12マイクロm)
 
(液滴径45マイクロm)
(液滴径45マイクロm)

本実験では、実験装置のトラブルにより宇宙実験結果は取得できなかった。しかし、予備実験として実施した落下塔等の実験により、噴霧液滴径の変化による火炎形状の変化や、燃料蒸気の一部を微小噴霧に置き換えることによって、希薄混合気では火炎伝播を促進できること等、今後の燃焼研究にとって価値あるデータを取得できた。



技術開発実験
 
実験テーマ
 

宇宙ステーション用静電浮遊炉の微小重力下における位置制御機能の確認

   
実験成果
 

本実験では、宇宙ステーション用静電浮遊炉開発での中心的な課題である微小重力下における試料の位置制御機能の検証を行うことができ、宇宙ステーション用浮遊炉開発の鍵となる技術を取得することができた。また、溶融時の試料の帯電量が減少するといった課題を明確化することができ、今後の技術開発課題を設定することができた。

微小重力下で溶融凝固した実験試料について電子顕微鏡観察や誘電率測定等を行ったところ、地上実験試料では観察されなかったアモルファス中に分散するナノ結晶を観察することができ、またこれまで報告されていない特異な誘電率特性を有することがわかった。

本実験の成果は、宇宙ステーション用静電浮遊炉の開発とそこで行われる新材料製造の実験を通じて、新しい機能性材料の開発に寄与することができると考えられる。

   
 
加熱開始直後 溶融開始 溶融中 再凝固した試料 実験後試料(BiFeO3、直径5mm)
加熱開始直後 溶融開始 溶融中 再凝固した試料 実験後試料(BiFeO3、直径5mm)

本実験では、宇宙ステーション用実験装置として開発を進めている静電浮遊炉について、世界初の微小重力下でのセラミック試料の非接触溶融凝固実験を行うことができ、実験装置開発に必要な技術検証を行うことができた。


最終更新日:2003年10月1日

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