宇宙連詩 みんなで紡ごう、宇宙に流れる生命のメッセージ

宇宙連詩

Vol.1 2006-2007

われら星の子 宇宙の子
海に生まれ大地に育ってきたわたしたちの体には
はるか百数十億年の
宇宙の歴史が刻まれている
ほら今日もどこかで小さな光が

01
山崎直子 Naoko Yamazaki

住所は村ではない 町でも県でも国ですらない
住所はこの惑星 そして銀河系
光にみちびかれ 闇にひそむエネルギーに抱かれて

02
谷川俊太郎 Shuntarou Tanigawa

太平洋を回遊するカツオの群れも
砂を蹴って駆け去るキリンの足も
生きるとは 動くこと 鼓動すること。
モンゴルの包(パオ)のフェルトが 今誕生した 赤んぼの
元気のいい泣き声に 鼓動している

03
大岡 信 Makoto Ooka

広くはてしない空間に
ぐうぜんたんじょうした
ぼくはどうしてここにいるの

04
あさの しゅん(小学校2年8歳) Shun Asano

そりゃ わかってるサ!
運命の神様のお気に入りだから
神は いつでも傍にいて 知らぬ顔サ
さあ、飛んでごらん! 好きなところに
でも心はドキドキ 星がピカピカって気分

05
白石かずこ(詩人) Kazuko Shiraishi

いちにのさんっ 未知なる世界へ飛び出そう
陸から空へ 夜から朝へ 闇から光への ロングジャーニー
きっとどこかで僕を待つ まだ見ぬ君に会いに行く

06
たんつう(研究者29歳) Tantsu

月へのパック旅行
ガイドさんが にこやかに語りかける
竹取の じじ ばばは 元気かしら
青い海 輝く緑 優しい人
なつかしいわ あの星が

07
中村桂子(JT生命誌研究館館長) Keiko Nakamura

星はぼくらのゆりかご
ぼくらの心臓 ―― そこからぼくらは跳びたった
でも、なぜ?

08
フランク・ホーガン Frank Hogan

ゆりかごに 乗って
遥かな彼岸に 向かおう
彼岸は 遠い
困難に 打ち勝って
無事に 着こう

09
藤田良雄(天体物理学者) Yoshio Fujita

小さな僕はついに泳ぎ着いたんだ
お母さんのお腹の中に
そこからがまた、始まり

10
akihito uezato(精神科医 33歳/米国在住) akihito uezato

お腹の中は 真っ暗だ
がんばって 光るものをさがすんだ
見つけた 見つけた 握ったら
そこは ぼくの生まれ故郷
どこもかしこも光でいっぱいだった

11
げんせき はるか(小学4年生 9歳) Haruka Genseki

両眼微笑の蛙*くん
半眼微笑のほとけさま
片目つむってウィンクするぼく *草野心平の詩より

12
高橋順子(詩人) Junko Takahashi

ウインクすると 君は両目が閉じちゃうね
でも 気にしなくていいんだよ
昨日 できなかった滑り台
今日は ちゃんとできるでしょ
生きてるって そういうことさ

13
川瀬源(教員/49歳) Gen Kawase

そうだったんだ!と 僕は水面から跳ね上がった
上空を渡り鳥たちがはばたいていく
地磁気を道しるべに また半年後に来てなぁー

14
itoton-1(会社員 48歳) itoton-1

ふと見下ろすと、僕の生まれた街が見えた
凧揚げをした河の三角州で 子供たちがフナ釣りをしている
土手で少年が 初めて補助輪無しで自転車を走らせた
少女は砂の上のタイヤの跡を じっと見つめている
僕は決してそこに舞い降りたりしない

15
羽熊幹太(文化財保存修復家 34歳/ドイツ在住) Kanta Haguma

国境の街古都コロニアでコロンで以来
よくコロブようになった その度に重力!を思う
先日 コロンだおかげで枯木に梅一輪を見た

16
新藤涼子(詩人) Ryoko Shindo

重力にしたがい
雲海を潜水艦のように沈んで
着いたところは上海
人の海 つらなるビルの絶壁
ふと見やると 竹ざおにふとんが干してあるよ

17
座敷翁(中国研究者48歳) Zashiki Okina

立春をすぎた日の風の中、白いシャツが乾く。
南西に遠く富士山の さかさ扇が傾く。
そういえばそろそろ「小学校の昼餉どき」。

18
岡井隆(歌人) Takashi Okai

深く 暗い 海の底で
青白く光る 巨大イカは思う
10本の足なんかより
鳥のような羽があったら
風をきって 大空を飛び回るのにと。

19
たかはら1045 (小学生12歳) Takahara 1045

君の夢が 僕を 2万里の旅に誘う
渡し舟の上で 君の手紙を 朗読しよう
まだ見ぬ遥か彼方の友へ 伝わるほど 大きな声で

20
Picard(研究者) Picard

耳をすませば きこえる
あれはコウモリの飛ぶ音
群青のオイルのような 熱帯の夜を
バオバブの花粉を運んで
コウモリの飛ぶ音

21
小島ゆかり(歌人) Yukari Kojima

南の島の夜は地平線すら曖昧になる
道沿いの草むらに続く青い道程は
冬のホタルが指し示す 星への滑走路

22
遠藤康弘(大学兼任講師35歳) Yasuhiro Endo

さあ、今すぐ群青の世界へ飛び立とう
その闇は畏れを感じるためでなく
導く光を感じるためにあるのだから
空はどこまでもつながっている
いつか君も誰かを導く恒星となるだろう

23
飯塚逸人(コピーライター37歳) Hayato Iizuka

底なしの空のどこかに 地球そっくりの星がいくつあろうと
私たちがそこで笑い そこで死ぬ 光と重力の場は一つだけだ
めいめいの中に一つずつ 小さな宇宙をかかえたまま

24
安藤 元雄(詩人) Motoo Ando

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