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米国ブッシュ大統領、新宇宙政策発表/NASAオキーフ長官、記者会見

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米国ブッシュ大統領、新宇宙政策発表要旨 NASAオキーフ長官、記者会見

米国ブッシュ大統領、新宇宙政策発表要旨

2004年1月15日午前5時20分(日本時間)

ブッシュ大統領
ブッシュ大統領

米国東部標準時間2004年1月14日午後3時(日本時間2004年1月15日午前5時)、米国ブッシュ大統領は、NASA本部において有人月面探査の再開と将来的な火星への有人飛行実現を目指した米国の新たな宇宙政策構想を発表しました。以下に要旨を記します。

3つのゴール

    ISSから生中継で参加したフォール宇宙飛行士
    ISSから生中継で参加したフォール宇宙飛行士
  1. 国際宇宙ステーション(ISS)を2010年までに完成させ、15ヵ国の国際パートナーへの責務を完遂する。ISSでの研究は、長期の宇宙飛行に関する医学・生物学の研究に焦点を合わせる。
    このゴールを達成するために、コロンビア号事故調査委員会(CAIB)の勧告や安全を考慮した上で、できるだけ早くスペースシャトルの飛行を再開させる。今後数年間のスペースシャトルの目的は、ISSの完成を目指すことになる。そして、2010年におよそ30年の歴史を終え、スペースシャトルを引退させる。
  2. 2008年までに新しい有人探査機(Crew Exploration Vehicle: CEV)の開発試験を行い、2014年までに有人飛行を行う。
    スペースシャトルが引退した後は、ISSとのクルーの往復にCEVが使われるだろう。
    CEVの主目的は、地球軌道を越えて他の世界に宇宙飛行士を運ぶことである。これはアポロ宇宙船以来の宇宙船となる。
  3. 早くて2015年、遅くとも2020年までに、有人ミッションによって月に戻る。 2008年までに一連の無人月探査を行い、将来の有人探査の準備を行う。月面に拠点を確立することはより多くの野心的なミッションを生み出し、宇宙探査のコストを下げることが可能になる。
    月の上で知識と経験を得ることで、宇宙探査の次のステップに向かうことができる。

無人の探査機や着陸船などが地球に壮観な映像と大量の情報を送り、その価値を証明し続けるだろう。しかし、人類の知識欲は究極に鮮明な写真や詳細な計測によっても満たされることはないであろう。我々は、自分自身のために、見て、調べて、触れる必要がある。
我々は、この旅がどこで終わるのかは知らない。それでもなおかつ知っていることがある。人類は宇宙の中心に向かっているのだ。
そして、この旅に沿って、我々は多くの技術的進歩を行うであろう。
我々はまだ、これらの技術的進歩が何であるかは知らない。けれどもそれらが来ることは確かであり、そして我々の努力が何度も還元されるであろう。
我々は、月や火星に想像力を驚かせるような発見をするかもしれない。我々の夢の限界が試されるのだ。
そして、それ以上の探求によって生み出された魅惑は、若い世代の人々に数学と科学とエンジニアリングを勉強し、革新者と開拓者の新しい世代を創造することを奮い立たせるであろう。
これはNASAの偉大で統一したミッションである。そして我々はあなた方がそれを達成するであろうことを知っている。

私は、オキーフ長官に現在のNASAの宇宙飛行と探査活動の全てを再検討して、私が概説したゴールに向けるように指示した。
元空軍長官ピート・オルドリッチ氏を委員長とする官民の専門家委員会を設置し、今日概説した展望の実施について助言を求める。この委員会は最初の会合から4ヶ月以内に報告を行うであろう。

我々は、他の国にも新しい時代の挑戦と機会を共有するように招くだろう。私が今日概説する展望は、競争ではなく旅行である。そして、この旅行に協力と友情の精神で他の国々も合流することを呼びかける。これらのゴールを達成するには長期的な関わりが必要である。
これらの目的の達成のために、今後5年間で計120億ドルの予算を割り当て、このうち110億ドルを、今後5年間のNASA予算860億ドルから再配分することによってまかなう。
次の5年にわたって、10億ドルをNASA予算に増額するように議会に訴えるだろう。

我々は、宇宙旅行が大きな危険を伴うことを理解しこの冒険を始める。
スペースシャトル・コロンビア号を失ったのは約1年前であった。
コロンビア号のクルーは、挑戦をあきらめなかった。そして、我々もあきらめないであろう。
我々がかつて、公海を渡り未知の国に惹かれたように、今我々は天に惹かれている。
そうすることは、我々の生命を改善し、そして国家精神を撤廃するから、我々は宇宙を探求することに決定する。

さあ、探求を続けよう。
神の祝福を。

NASAオキーフ長官、記者会見

2004年1月15日午前6時40分(日本時間)

NASAオキーフ長官
NASAオキーフ長官

本日、私たちは探査と発見という明確な目標を指示された。それはNASA設立以来、45年間にわたる目標でもあった。科学面での目標の詳細については今後、監査委員会(Overseeing Committee)や議会、一般の人々と話し合って明確にしていく。だが、何よりも大事なのは探査目標であり、これは大統領が述べたように今後2週間以内に議会に提示される予算によって支えられる政策だ。

政策の目的と予算については、後日詰めることになるが今はその時ではない。今は、この政策を最後まで遂行するためには何が必要かを見極める時だ。当面、私たちは先ほど大統領が概要を話した通りの大統領令を指針としていく。また、この数週間のうちに発表される今後5年間の予算案も明確な指針とする。しかし今重要なのは詳細な目標や日程ではなく、探査を進めていくために何を建造すべきかである。

NASA予算予測
NASA予算予測

これからの転換計画の取り組みは、5年枠で行う。数週間後に全体的な必要予算の分析と各計画の詳細を提出する予定である。

基本方針は、2010年までにISSを完成させるためにスペースシャトル・プログラムを継続し、その後スペースシャトルの利用を停止することである。ISSの活動は現在予算案が組まれている5年枠を越え、これからの月や火星の探査に向けたロボット工学技術の研究に力が注がれる。

この2010年まで、またその後10年間、探査ミッションを続け、ミッションが進むにつれてより焦点も絞られていくだろう。

2009年度までの予算概略の予測に基づいて、今後この努力を維持しようとしている。作業を仮定すると、今後10年は、毎年度の予算の増加率をインフレの上昇率以内に留めて、進めていくことが可能だと予測されている。 結果として、必要な資源、2005〜2009年やその後再発生する費用などは、移行関連の作業の結果次第となる。

これにより、ミッションの目的の調整だけでなく、ロボットとhuman capability開発はもちろん、Crew Exploration Vehicle(CEV)がこれらの目的を達成するための主な要素のひとつとなるだろう。

その他にも、このような目的を達成するための発電機能(power generation)、推進システム能力を強化するためや、当面の期間のISSでの研究の課題を、特に大統領が本日の演説で述べたように、長期にわたる宇宙飛行による人体への影響を克服する方法を探るための、ロボットと共にhuman capability要求の開発へと移行する。これが当面は今後の研究の、主な、ほぼ唯一といえる焦点となる。

我々はプログラムの再整理をしており、研究の課題を、長期の探査を実施するために、ISSで行っている非常に具体的な研究をライフサイエンス、人体生理学、長期にわたる宇宙飛行の人体への影響及び対応方法の開発へと焦点を移行させる。

このような要因の相互関連の結果が、特に探査の課題の追求をめざし、前進するための目的を定めてくれる科学的な情報を含んでおり、プログラムに組み込まれていく。

NASA内では組織毎に異なる事業の進め方が要求される。我々が大統領から受けた任務、あるいは政策ガイドラインの方向性を重視するだけでなく、それを最も効率よく達成するために再組織化を行うよう変革がなされるだろう。探査ビークル、電力の発生、推進機能などの探査手段および機能開発のため、大規模なシステムの一体化や技術的な挑戦に集中するべく、機関の再編成がすぐにも必要となるだろう。そこで私たちは、NASAの枠組みの中で、宇宙飛行、宇宙科学、地球科学、生物学や物理学の研究や教育、安全なミッションの保証達成のために、探査システム計画を策定する。航空工学分野に関しては、今後のNASAの方針の中で独特の位置を占めることになるだろう。

NASAオキーフ長官
NASAオキーフ長官

私たちが宇宙開発史の初期段階で行ったような大規模な統合への挑戦、また、1969年に月に到達するために要求された60年代・70年代の能力や機能に比べても、最新の能力や機能の開発技術を最も有益に利用することが要求される。
大規模な統合への挑戦となる再組織化への流れの中で、新しい技術や機能の開発および挑戦への新しい見方のために、多くの物事に対面しなければならない。

各計画の具体案は、数週間後に提出される予算案とともに発表される。現在私たちの一番の関心は、本日大統領から受けた正式な指令を即実行に移すための準備に取り掛かることである。

最終更新日:2004年1月15日

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