米国ブッシュ大統領、新宇宙政策発表/NASAオキーフ長官、記者会見
米国ブッシュ大統領、新宇宙政策発表要旨2004年1月15日午前5時20分(日本時間)
米国東部標準時間2004年1月14日午後3時(日本時間2004年1月15日午前5時)、米国ブッシュ大統領は、NASA本部において有人月面探査の再開と将来的な火星への有人飛行実現を目指した米国の新たな宇宙政策構想を発表しました。以下に要旨を記します。 3つのゴール
無人の探査機や着陸船などが地球に壮観な映像と大量の情報を送り、その価値を証明し続けるだろう。しかし、人類の知識欲は究極に鮮明な写真や詳細な計測によっても満たされることはないであろう。我々は、自分自身のために、見て、調べて、触れる必要がある。 私は、オキーフ長官に現在のNASAの宇宙飛行と探査活動の全てを再検討して、私が概説したゴールに向けるように指示した。 我々は、他の国にも新しい時代の挑戦と機会を共有するように招くだろう。私が今日概説する展望は、競争ではなく旅行である。そして、この旅行に協力と友情の精神で他の国々も合流することを呼びかける。これらのゴールを達成するには長期的な関わりが必要である。 我々は、宇宙旅行が大きな危険を伴うことを理解しこの冒険を始める。 さあ、探求を続けよう。 NASAオキーフ長官、記者会見2004年1月15日午前6時40分(日本時間)
本日、私たちは探査と発見という明確な目標を指示された。それはNASA設立以来、45年間にわたる目標でもあった。科学面での目標の詳細については今後、監査委員会(Overseeing Committee)や議会、一般の人々と話し合って明確にしていく。だが、何よりも大事なのは探査目標であり、これは大統領が述べたように今後2週間以内に議会に提示される予算によって支えられる政策だ。 政策の目的と予算については、後日詰めることになるが今はその時ではない。今は、この政策を最後まで遂行するためには何が必要かを見極める時だ。当面、私たちは先ほど大統領が概要を話した通りの大統領令を指針としていく。また、この数週間のうちに発表される今後5年間の予算案も明確な指針とする。しかし今重要なのは詳細な目標や日程ではなく、探査を進めていくために何を建造すべきかである。
これからの転換計画の取り組みは、5年枠で行う。数週間後に全体的な必要予算の分析と各計画の詳細を提出する予定である。 基本方針は、2010年までにISSを完成させるためにスペースシャトル・プログラムを継続し、その後スペースシャトルの利用を停止することである。ISSの活動は現在予算案が組まれている5年枠を越え、これからの月や火星の探査に向けたロボット工学技術の研究に力が注がれる。 この2010年まで、またその後10年間、探査ミッションを続け、ミッションが進むにつれてより焦点も絞られていくだろう。 2009年度までの予算概略の予測に基づいて、今後この努力を維持しようとしている。作業を仮定すると、今後10年は、毎年度の予算の増加率をインフレの上昇率以内に留めて、進めていくことが可能だと予測されている。 結果として、必要な資源、2005〜2009年やその後再発生する費用などは、移行関連の作業の結果次第となる。 これにより、ミッションの目的の調整だけでなく、ロボットとhuman capability開発はもちろん、Crew Exploration Vehicle(CEV)がこれらの目的を達成するための主な要素のひとつとなるだろう。 その他にも、このような目的を達成するための発電機能(power generation)、推進システム能力を強化するためや、当面の期間のISSでの研究の課題を、特に大統領が本日の演説で述べたように、長期にわたる宇宙飛行による人体への影響を克服する方法を探るための、ロボットと共にhuman capability要求の開発へと移行する。これが当面は今後の研究の、主な、ほぼ唯一といえる焦点となる。 我々はプログラムの再整理をしており、研究の課題を、長期の探査を実施するために、ISSで行っている非常に具体的な研究をライフサイエンス、人体生理学、長期にわたる宇宙飛行の人体への影響及び対応方法の開発へと焦点を移行させる。 このような要因の相互関連の結果が、特に探査の課題の追求をめざし、前進するための目的を定めてくれる科学的な情報を含んでおり、プログラムに組み込まれていく。 NASA内では組織毎に異なる事業の進め方が要求される。我々が大統領から受けた任務、あるいは政策ガイドラインの方向性を重視するだけでなく、それを最も効率よく達成するために再組織化を行うよう変革がなされるだろう。探査ビークル、電力の発生、推進機能などの探査手段および機能開発のため、大規模なシステムの一体化や技術的な挑戦に集中するべく、機関の再編成がすぐにも必要となるだろう。そこで私たちは、NASAの枠組みの中で、宇宙飛行、宇宙科学、地球科学、生物学や物理学の研究や教育、安全なミッションの保証達成のために、探査システム計画を策定する。航空工学分野に関しては、今後のNASAの方針の中で独特の位置を占めることになるだろう。
私たちが宇宙開発史の初期段階で行ったような大規模な統合への挑戦、また、1969年に月に到達するために要求された60年代・70年代の能力や機能に比べても、最新の能力や機能の開発技術を最も有益に利用することが要求される。 各計画の具体案は、数週間後に提出される予算案とともに発表される。現在私たちの一番の関心は、本日大統領から受けた正式な指令を即実行に移すための準備に取り掛かることである。 最終更新日:2004年1月15日
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