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報告書に対するご意見及びご意見への宇宙放射線被曝管理分科会の回答


意見者 
ご意見等
 
宇宙放射線被曝管理分科会の回答

A  High LET放射線は超低線量率になりますと発がん効果が減少し、線量率効果が現れることが、フランスのラドンを吸入させたラット肺がん誘発の実験でわかっています(Morlier, Monchauxら)。すなわち、アルファ線の線量率を非常に低く下げますと、同じ線量を高線量率で与えたときとくらべて発がんが検知できないほど低くなります。このことはあまり認識されていませんが、国際宇宙生物会議ではすでに問題になっているところです。さらにこの線量率効果を考えますと、シーベルトという単位は宇宙におけるHigh LET低線量率放射線のがんリスクを推定するためには不適当な表現であるといえます。
  高LET放射線においては、通常は逆線量率効果が知られており、線量率効果も存在するというのは新たな知見ですので、情報を提供してくださったことに感謝いたします。
 ご指摘の線量率効果が現れる場合、現状の逆線量率効果を考慮に入れたSvを用いた線量によって表されるがんリスクよりも小さいリスクとなります。その場合、現状の線量算定方法は実際の影響よりも過大に影響を見積もることになります。これは放射線防護の観点においては安全側の考え方となるため、問題はないと考えます。

B  重要な論点が要領よくまとめられていると思いますが、一箇所、皮膚や水晶体の線量制限値がSv(QまたはWRに基づく値)で標記されている点がどうしても気になります。対象が確定的影響(Late Deterministic Effects)である以上、Gy-Eq(RBEに基づく値)で標記するべきではないかなと思います。その上で、確率的影響の指標であるSv(QあるいはWRの採用)で制限値を与えておけば安全側になるということを表の注釈で加えた方が良いと思うのですが、いかがでしょうか。  Gy-Eqは、吸収線量にRBEを乗じることによって得られる値であり、確定的影響に係る線量をGy-Eqで表す場合もあることは承知しております。
 NCRPでは、NCRP132でRBEの値を示しています。しかしながら、NCRP132で示されたRBEは身体に入射する前の放射線の種類・エネルギーで決まるため、当該RBEを使用することは現時点では宇宙放射線計測技術の問題から不都合と考えています。
 一方、本報告書図2-1及び図2-2に示しましたように、確定的影響のRBEは、主に確率的影響を考慮して決定された線質係数Qよりも概ね低いため、線質係数Qを使用することはISS搭乗宇宙飛行士の放射線防護上、安全側となると考えています。
 また、国内法令等においても確定的影響の防護のための線量限度はSvで標記されています。
 これらのことから、現時点では、確定的影響を防護するための線量制限値を含めISS搭乗宇宙飛行士の線量制限値はSvで標記することが適当と考えますが、今後、本報告書を見直す際、これらの検討経過が明確になるように修正したいと考えます。

C  先ず、ISS搭乗宇宙飛行士に対する放射線被曝管理に関して、広汎にかつ綿密に検討がなされており、委員各位のご尽力に対して敬意を表したい。  
 1.線量制限値について
 地上での放射線業務従事者に対する線量限度値に代わり線量制限値が示されているが、この考えは妥当であり、提示された年齢区分別の生涯実効線量制限値及び組織線量当量制限値は、十分な説明と同意の上で、少なくとも確定的影響を防止するという点からも概ね妥当であると考える。

1.               −
 2.教育訓練について
 放射線障害防止のための教育訓練は特に重要であり、-83に記載されている教育訓練項目も妥当であると考えるが、特に-61、表4・1に記載の放射線計測機器のチェックと取扱いについては、十分に習熟しておくことが肝要であり、その為の時間を確保しなければならないと考える。
 さらに、報告書の内容に盛られた事項が確実に実行されることを検証していくことが必要である。
2.本報告書第II章の「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理指針(案)」は、事業団内規定の原案になるものと意図して作成したものですが、当該指針(案)第22条第2項に、放射線計測機器の取扱いを含め、必要な教育訓練を6時間以上の時間数で行うことを規定しています。
 今後、本指針(案)をもとに事業団において具体的な運用計画等が作成され、運用されることになりますが、当該指針(案)は、記録とその保存も規定しており、また、宇宙飛行士は限られた人数であることから、第9条(4)に規定しているとおり被曝管理責任者が監督を行い運用が確実に実施されていることを確認することが可能と考えています。

D  放射線業務従事者の被ばく線量(実効線量当量)についてはその制限値が法律で定められているが、宇宙空間においての被ばくについては制定されていない。従って、この種の報告書の意義は極めて大きい。
 また、「分科会等において提案された研究項目について」では、放射線物理に係る課題については、この中で提案されているようにバイオドシメトリの手法を是非確立していただきたいと考えます。放射線生物学及び健康影響に係る課題としても素晴らしい提言がなされていますが、各種放射線のエネルギーについても考慮に入れて線質計数などを求めて欲しいと考えます。
  報告書第IV章1項の研究項目は、当分科会のこれまでの議論の過程で抽出されたもので、当分科会が今後の取り組みを推奨すべきと認識しているものです。
 このため、当分科会としては、今後とも事業団において、ご指摘の課題を含め、これらの研究等が実施されるよう、求めていきたいと考えています。

E 1.
 I-3 4(2)の個人線量計とは具体的にどのようなものを使用するのでしょうか。
 1.
 ISSに搭乗中の宇宙飛行士が携帯する個人線量計として、現在までにISSへの搭載が決定しているものには、NASA及びロシアのものがあります。NASA及びロシアにより提供される個人線量計は両者ともTLDを用いた受動型のものです。

 2.
 I-3 4(3)などで、記録を永久的に保管となっていますが、なぜでしょうか。
2.
 報告書第III章4.3.3項に記載していますとおり、ISS搭乗宇宙飛行士の主な被曝要因である宇宙放射線の健康影響については、未解明の部分が多く、また、個人の健康を守るためのシステムが健全に働いていることの証拠としても、永久保存すべきと考えています。

 3.
 I-4 6(3) 宇宙環境における放射線被曝による生物効果はどのように説明するのでしょうか。
3.
 現在、宇宙放射線の人体影響に関する知見はまだまだ不足しておりますが、地上における放射線被曝による人体影響に係るこれまでの知見に、宇宙放射線被曝の生物効果に係る最新の研究成果を適宜盛り込むことで、ISS搭乗宇宙飛行士に対し、適切なリスク説明を行うことができると考えています。

 4.
 I-5 7(1)Eにて、妊娠検査を飛行前に行う事を規定しているにもかかわらず、6(3)Dで胎児への影響に係るリスクに対して、なぜ、インフォームドコンセントを行う必要があるのでしょうか。

4.
 妊娠の時期によっては、妊娠検査を行っても妊娠が検出できないことがありえます。このため、ISS搭乗宇宙飛行士に注意を喚起するという点から、胎児への影響に係るリスクも説明することとしました。

 5.
 また、宇宙飛行士の健康管理全般に関してですが、ISSには医者および診療機器等は設置されるのでしょうか。緊急作業時には線量をモニターするだけではなく、救急被曝医療も重要であると思います。
5.
 報告書第II章の「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理指針」(案)第27条第2項に記載していますとおり、ISS搭乗宇宙飛行士が線量制限値を超えて被曝し、又は被曝したおそれのある場合は、担当医師が必要な健康診断を行う必要があると考えています。
 ISSには、医師資格を持った者とは限りませんが、ISS滞在中の診断・治療に関し訓練を受けた宇宙飛行士が最低1人おり、また医療用の機器も搭載されております。このため、一般にISS飛行中に救急医療を要する事態が起こった場合は、地上の医師との交信により、ISSに搭載されている医療用の機器を用いて、医療担当の宇宙飛行士が対処することとなります。
 しかしながら、ISSにおいて十分な救急被曝医療が可能とは考えにくく、また救急被曝医療が必要とされる事態においては、ISS搭乗宇宙飛行士の被曝線量が、III-54頁に記載した飛行中止レベル(0.25Sv/30日)を超えていると考えられます。このため、救急被曝医療が必要なほど多量に被曝した宇宙飛行士は地上に帰還させ、地上で診断・治療を行うことになると考えています。

 6.
 II-1 第4条(4) 記述が「放射性同位元素及び放射性同位元素」となっています。「放射性同位元素及び放射線発生装置」でしょうか。
6.
 該当部分は、「<放射性同位元素>及び<放射性同位元素によって汚染されたもの>の使用、保管、・・・」との記述になっています。

 7.
 II-3 第14条 地上の自然放射線による年間2.4mSvの被曝は合算しないのでしょうか。ISS内での被曝の2-3日分の被曝に相当するとおもいますが。
7.
 一般の放射線業務従事者の放射線被曝について規定している労働安全衛生法 電離放射線障害防止規則(電離則)では、制御不能な自然放射線による被曝は管理対象とせず、放射線業務従事者の職業被曝のみを管理対象としています。一方、宇宙飛行中の宇宙放射線被曝は、宇宙飛行士にとって職業被曝であり、また宇宙滞在時間の制限等によりその被曝をある程度コントロールすることが可能な被曝です。このため、電離則と同様に、本指針における線量制限値は、地上の自然放射線による被曝は含めず、宇宙飛行士としての職業上の被曝を対象とすることが適当と考えます。

 8.
 II-4 第16条 常時監視するとの記述がありますが、もし、強い被曝が確認された場合、ISSではどのような対処がされる予定なのでしょうか。
8.
 指針(案)の第19条及び第30条に記載しましたとおり、線量制限値を超えて被曝し、又は被曝したおそれのある場合は、遮蔽の厚い場所への退避や、地上への緊急帰還等の措置を講ずることが必要と考えます。

 9.
 II-4 第16〜21条 全体的に「別に定める」との表現が使われていますが、指針においては、具体的に規定している条数項数号数等を記載するべきではないでしょうか。
9.
 第IV章2.1項に記載していますとおり、指針(案)で「別に定める」としている事項は、今後、本指針(案)をもとに事業団が策定する実施計画文書等に盛り込まれる予定です。その際、それらの実施計画文書等と本指針(案)の規定が対応するよう、それらの文書に明記することが適当と考えます。

 10.
 II-5 第22条第2項(3) 宇宙環境における放射線生物学は大半が不明であるので、教育項目は「地上における」放射線の人に及ぼす影響とするべきではないでしょうか。
10.
 ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝は、主に宇宙滞在中の放射線被曝であることから、III-83頁6.3.1項に記載していますとおり、「放射線の人に対する影響」として、宇宙放射線の人体影響の特徴に関しても、それまでに得られた最新の知見を盛り込み、説明を行う必要があると考えます。

 11.
 第22条第2項(4)(5) 計測機器・線量計・緊急時の措置に関して、別項で規定する必要はないのでしょうか。
11.
 ご指摘のII-5頁第22条第2項(4)(5)とは、(6)(7)の間違いかと思いますが、報告書第III章6.3.1項に記載しましたとおり、(6)及び(7)について教育訓練すべき内容として、計測器の種類、原理、取り扱い、設置場所、並びに警報の種類、内容、ISS内退避場所、緊急帰還手順等が必要と考えています。  しかしながら、これらの詳細な内容は、ISSの実際の運用方法の変更等があれば、変更することが必要と考えられます。よって、これらは本指針(案)に記載するのではなく、事業団の作成する実施計画文書で規定することが適当と考えます。

 12.
  III-69頁 X線強度の測定となっていますが、γ線は同時に計数していないのでしょうか。特にフレアの際には、莫大なエネルギーの放出により、大量の軟X線の放出及び電子やイオンの加速が起こり、制動放射や核反応により硬X線とγ線が放出される事とおもいますが。
12.
 ご指摘のとおり、太陽フレア時には硬X線及びγ線も放出されます。III-69頁に、観測データ源として挙げておりますようこう衛星は、広帯域スペクトル計(WBS)により、軟X線からγ線までの放射を同時計測していました。
 今後、本報告書を見直す際、ご指摘の箇所を修正するとともに、引き続き、太陽-地球圏の宇宙環境を監視するために有用な計測対象の検討を行っていきたいと考えます。

F 「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理指針」(案)に対するコメント
  
 1.
第1条: 「宇宙飛行士等」とありますが、等があると曖昧さが残ります。将来疑義が出る可能性[民間人を含むか否かについて、など]は、できるだけ排除した方が良いと考えます。第2条に既定する「ISS搭乗宇宙飛行士」に限定しておいて困ることがあるのでしょうか?

1.
 第2条で適用範囲を「ISS搭乗宇宙飛行士」にしていることから、本指針全体としてみれば、曖昧さはないと考えています。しかし、第1条だけを見た場合、曖昧な規定に見えることから、本条を次のように修正したいと考えます。

「本指針は、宇宙開発事業団が国際宇宙ステーション(以下「ISS」という。)計画を推進するにあたり、に搭乗するこれに必要な宇宙飛行士等に対する放射線被曝管理に関する事項を定め、放射線被曝を適切に管理放射線障害の発生を防止することを目的とする。」

 2.
第2条: 適用の対象が不明確です。NASDAに所属する者に限られるのか、また日本人以外の者をも含むのか、はっきりしません。国際宇宙ステーション(ISS)で、日本の治権が及ぶ範囲が示されないとこの指針の条文案の適否も判断できないところがあります。また、「・・・(3達第26号)」とありますが、何方から何方宛の通達か分かりません。支障がないなら補っておいた方が良いのではないでしょうか?
2.
 「宇宙飛行士審査委員会の設置及び宇宙飛行士の認定について(3達26号)」は、事業団が認定する宇宙飛行士の認定方法、認定要件について定めた事業団の内部規定文書です。また、「民生用国際宇宙基地のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書」の規定により、事業団がISSに搭乗させる宇宙飛行士の健康管理は、他のISS参加機関との協力の下、事業団が実施することになります。このため、適用の対象が不明確になることはないと考えます。このため、本条は原案どおりとしたいと考えます。

 3.
第3条: この指針の規定とconflictするものがあった場合にはそちらが優先すると読めますが、困ることが起こるのではないでしょうか? 面倒でも関係法令を精査して、必要と思われる除外規定を織り込んでおいてもらうのが良いのではないかと考えます。また、既存の他法令で想定していないもの(例えば労働災害の認定)であった方がいいものについても、補って戴くよう先方当事者に依頼することが望まれます。

3.
 現行法令(電離則)は、宇宙放射線を管理の対象としていないため、宇宙飛行士が一般の放射線業務を実施する場合を除いて、法令と本指針(案)が矛盾することはないと考えます。また、労災関連法令で、宇宙飛行士も労災認定されることは、労働基準監督署に確認しております。
 なお、宇宙飛行士が放射線業務を実施する場合は、本指針の規定に加え、法令による管理も行われる必要が生ずることから、この旨を明確にするため第3条の規定を盛り込んでおります。しかしながら、その主旨が不明確であると考えられることから、本条を次のように修正したいと考えます。

「ISS搭乗宇宙飛行士の被曝管理を行うに当たって、その業務が国又は地方公共団体の定める法律、政令、規則、条例等(以下、法令等という。の対象となる場合は、本指針の規定に加えその法令等に従わなければならない。」

 4.
第4条: 次の変更が必要かと思います。
(1)「実効線量当量」は「実効線量」、「線質係数」は「放射線加重係数」に。
(2)「組織線量当量」は「等価線量」、「線質係数」は「放射線加重係数」に。
(3)「生涯実効線量当量制限値」は「生涯実効線量制限値」に、「組織線量当量制限値」は「等価線量制限値」に。
4.
 報告書第III章2項に記載していますとおり、現状では、宇宙放射線計測技術の問題から、線量の算定・評価にICRPの1990年勧告(ICRP60)どおり放射線荷重係数を用いることは難しいと考えています。一方、「実効線量当量」、「組織線量当量」は一般の放射線被曝管理において過去用いられていた古い用語であり、一読すると古い概念を使用しているかのような印象を与えるのは事実です。また、「地上における放射線業務による放射線被曝」の線量は、今後法令によりICRP60の実効線量で算定されることになりますが、原案どおりの場合、累積線量として合算することが難しくなります。このため、本指針で用いる用語としては、一般の法令等で使用されているものと区別するため「実効線量当量」及び「組織線量当量」としていましたが、上記の趣旨を明確にし、また平成12年に行われた地上の放射線防護関連の法令改正に対応するため、第4条の(1)〜(3)及び別表1を次のように修正したいと考えます。

 第4条

「(1) 「実効線量当量」とは、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の放射線荷重係数及び線質係数(宇宙飛行における放射線被曝に限る)、及び並びに組織荷重係数を用いて計算される実効線量当量をいう。
(2)「組織等価線量当量」とは、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の放射線荷重係数及び線質係数(宇宙飛行における放射線被曝に限る)を用いて計算される骨髄、水晶体、皮膚及び精巣の等価線量線量当量をいう。
(3)「線量制限値」とは、生涯実効線量当量制限値及び組織等価線量当量制限値をいう。」

 (別表1)

ISS搭乗宇宙飛行士の生涯実効線量当量制限値

ISS搭乗宇宙飛行士の組織等価線量当量制限値

 5.
(4)「放射性同位元素」が放射線障害防止法にいう「放射性同位元素」を意味しているのであれば、「核燃料物質」を追加しておく方が良いと考えます。通常は両者併せて「放射性物質」と呼び直したりします。更につけ加えるなら、放射性物質によって汚染されたものと併せ「放射性物質等」もつくっておいた方が良いでしょう。但し、「放射線業務」をこのように広義に定義するとなれば、既存法令による放射線管理業務とどのように整合を図るかについても検討しておかねばならなくなります。これは相手のある話で、第3条へのコメントに関係します。差し当たりの必要性はないのかも知れませんが、必要になったとき急いで規定を変えるというのは当事者(組織といってもよい)にとって結構厄介なものです。

5.
 ご指摘のとおり、宇宙飛行士の業務及び選抜前の業務として核燃料物質を取り扱う業務も想定が可能でありますが、原案ではそれらの業務については対象外となります。また、原案では、放射線障害防止法及び電離放射線障害防止規則の規定する「放射性同位元素」以外のRIの使用等も放射線業務としてしまい、実際の管理面では、不都合が生じる可能性があります。このため、第4条(4)を次のように修正したいと考えます。

「(4)「放射線業務」とは、「電離放射線障害防止規則」に規定される放射線業務放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染されたものの使用、保管、運搬、廃棄の業務並びに放射線発生装置の使用の業務をいう。」

 6.
(5)「飛行開始」と「地上帰還」の時刻は、曖昧さを伴わない形で規定できるものでしょうか? ジェット旅客機の例で考えるともう少しきちっと規定する方が、運用に携わる人たちにとって有り難いのではないでしょうか?[これは、細則で扱ってよいことかも知れません。]

6.
 スペースシャトルによる宇宙飛行の例を見ても、飛行を開始してから地上に帰還するまでの時刻は曖昧さを伴わず決めることが可能です。また、ご指摘のような技術的に細かい規定は細則で示すことが適当と考えますことから、本号は修正する必要はないと考えます。
 7.
 第5条: 「本規定」は「本指針」。[但し、指針と規程で、中にある規定の扱いがどう違うのか私には良く分かりませんので、指針がいいか規程が良いかについての意見は控えます。]

7.
 本指針(案)は、事業団内規定の原案となるものと意図して作成しておりますが、現時点においては、当分科会の審議結果をまとめた「指針」であり、その他の条では「指針」となっておりますことから、第5条を次のとおり修正したいと考えます。

「宇宙環境利用システム本部は、本指針規定に定める事項の実施のために必要な事項について、別に定めるものとする。」

 8.
第6条: 「放射線障害防止」とあり、第31条にも出てきますが、放射線障害の中身がはっきりしません。[これは現行の「放射線障害防止法」にも言えることですが・・・。]定性的な言葉であり、人によって解釈がぶれます。このため、後に出てくる第9条(9)と(11)の中身がはっきりしません。

8.
 「放射線障害防止」という言葉では、放射線障害は防止できるとの考えが前提であると考えられますが、一般に完全に防止できるのは確定的影響であると承知しております。このため、「放射線障害防止」という言葉を使用する場合の「放射線障害」は確定的影響のみを指す、との解釈もでき、宇宙飛行士の放射線被曝を適切に管理することを目的とする本指針で使用するのは適切ではない、との考え方もできると考えます。このため、本指針の意図を明確にするため、関連する条を次のように修正したいと考えます。
 なお、「放射線障害の発生」と用いる場合は、確率的影響も含めた障害と判断することが一般的であることから、修正する必要はないと考えます。

「第6条 ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害防止に係る業務に従事する者に関する組織は、別図1のとおりとする。」
「第7条 宇宙医学研究開発室長は、ISS搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理責任者(以下「被曝管理責任者」という。)としてISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害発生の防止について総括的な監督を行わなければならない。」
「第9条 被曝管理責任者は、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害発生の防止に関し、次の各号に定める業務を行う。
(3) 放射線被曝管理障害防止上重要な計画の作成
(6) ISS参加各機関及び国内関係機関とのISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害防止に係る重要事項についての連絡及び調整
(9) 放射線被曝管理障害防止に係る記録の保管
(11) その他放射線被曝管理障害防止に関し必要な事項」
「第11条 ISS搭乗宇宙飛行士健康管理担当医師(以下「担当医師」という。)は、ISS宇宙飛行士の健康管理について必要な知識と経験を有する者の中から、宇宙医学研究開発室長が選任するものとし、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害の防止に関し、次の各号に定める業務を行う。
(1) 放射線被曝管理障害防止に関する健康診断計画の立案及びその推進」
「第12条・・・・・・・・・・・・
(4) 放射線被曝管理障害防止に関する教育及び訓練計画の立案、並びにその推進
(5) ISS参加各機関及び国内関係機関とのISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理障害防止に係る技術的事項についての連絡及び調整」
「第22条 被曝管理担当者は、ISS搭乗宇宙飛行士に対し、初めてISS飛行する前に基礎訓練等において、本指針の周知を図るほか、放射線被曝管理障害の発生を防止するために必要な教育及び訓練を実施しなければならない。」

 9.
第7条: この条文案は大きな問題を含んでいると考えます。一般的原則として、「放射線を用いる仕事により成果を出すことを業務としている者」が「放射線安全管理の責任者」を兼ねることは望ましくなく、止めるべきです。本案はISS搭乗飛行士がISSの放射線環境で受けた放射線被曝によりどのような医学的影響を受けるかに、間違いなく学術的関心を持ち、おそらくはそれが主たる研究課題であると思われる者に放射線安全管理の責任を持たせようというもので、全く賛成できません。
9.
 事業団内組織規定においては、添付図のとおり、宇宙環境利用システム本部の下に宇宙環境利用推進部、宇宙ステーション運用技術部、宇宙環境利用研究センターがあり、宇宙飛行士のISS搭乗時には、宇宙環境利用推進部が宇宙飛行士の安全管理等の業務(放射線被曝管理を含む)を行い、宇宙ステーション運用技術部及び宇宙環境利用研究センターがISSの運用や宇宙実験等を含む宇宙飛行士の実際の仕事に関する業務を行うことが想定されます。
 また、同規定では宇宙環境利用推進部の下にある宇宙医学研究開発室の業務として、「宇宙飛行士の健康管理に関すること」及び「宇宙医学に係る研究及び開発に関すること」の双方を列挙しており、その長である宇宙医学研究開発室長はその両方の任にあたることになります。これは、宇宙飛行士の宇宙滞在中の健康影響については、まだ不明の点が多く、現状では、宇宙飛行士の健康管理を行うためには、そのための研究・開発を行うことが必要不可欠であるからです。従って、当該室長は宇宙飛行士の健康管理に責任を有する立場にあり、その下で宇宙医学研究開発室が行う宇宙医学に係る研究・開発は、宇宙飛行士の健康管理に特化したものであるため、健康管理よりも研究が優先することはありません。
 また、事業団ではこの指針を規定とする際に、外部諮問委員会である倫理委員会に諮問する予定であり、倫理面での審議が行われることを承知しています。更にこの規定が定められた後にも、その運用結果等について倫理委員会に報告することになると承知しています。
 このようなことから、本条は現在のところ修正する必要がないと考えます。

(添付図)


 10.
第9条: 「被曝管理責任者」の直属上司が誰であるか明確に示すべきです。[別図1を見ると、宇宙環境利用推進部長が直属上司とされているようですが、その名称から推測される職務に照らして賛成できません。直属上司は安全に最終的に責任を負う者とすべきです。]その際、命令系統は1本でなければなりません。また、与える権限の中身(項目と限度)を明確にしておく必要があります。それから、これは蛇足ですが、その権限と裏腹にある責任を果たす上で必要な環境を提供する必要があります。
(8)にある「等」は曖昧さを持ち込みます。必要ならその中身をはっきり書くべきでしょう。

10.
 事業団内の組織規定において、宇宙環境利用推進部の業務には、宇宙飛行士や宇宙医学に関することが含まれており、このため、実際に宇宙飛行士がISSに搭乗する場合においては、宇宙環境利用推進部長が宇宙飛行士の安全管理の責任をもつことが想定されます。
 また、第7条に対するご意見への回答のとおり、宇宙ステーション運用技術部及び宇宙環境利用研究センターは、宇宙環境利用推進部とは別の組織としてISSの運用や宇宙実験等を含む宇宙飛行士の実際の仕事に関する業務を行うことが想定されます。
 なお、第30条の原案に記載しているとおり、事業団として宇宙飛行士の安全及びミッションの達成を考慮した上で、ISS計画参加各機関と調整を行うのは、事業団の国際宇宙ステーション計画プログラムマネージャとして実運用面の責任者である宇宙環境利用システム本部副本部長です。また、実際に宇宙飛行士の安全等に関し、副本部長に対し報告・提言を行うのは宇宙環境利用推進部長と考えられます。
 このことから、第30条第1項の記載及び別図1を次のように修正したいと考えます。
 なお、別図1のように、宇宙環境利用システム本部副本部長を通じて、本部長及び理事長には報告がなされ、必要に応じてその判断を仰ぐことは、組織として当然のことと考えられます。

「第19条の報告を受けた被曝管理責任者は、退避又は飛行中止等の被曝線量低減のための措置が必要と判断した場合は、宇宙環境利用推進部長を通じてその旨を宇宙環境利用システム本部副本部長に報告しなければならない。」

(別図1)
 ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理に係る組織

 また、(8)については、第32条で放射線障害発生時及び線量制限値を超えた場合に原因調査をすることとしていることから、(8)を次のとおり修正したいと考えます。

「(8) 放射線障害発生時及び線量制限値を超えた場合における原因調査」

 11.
第10条: 「被曝管理責任者」の業務が通常の勤務時間帯だけでカバーできないものであるのであれば、他にそのような例があるように、「1日24時間任務を負うものとする」[携帯電話等の通信手段で任務は果たせると考える]か、通常の勤務場所を離れている時間帯には代行者(複数の代行者をおく場合には予め順位を付けておく)に委ねるかでしょう。「被曝管理責任者」を複数置くという考えも出されるかと思いますがこれは良くありません。決められたことだけを忠実にやればよいという仕事でなく、高度の判断を要する(判断したことには責任が伴う)ものだからです。

11.
 実際のISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理運用は、本指針に基づき事業団がその具体的な方法を決め、実施することになるため、本指針では、各要員の勤務形態まで規定する必要はないと考えます。しかしながら、ISS搭乗宇宙飛行士が飛行中は、被曝管理責任者の判断が要求されるような事態がいつ起こるともしれないため、基本的には携帯電話等の通信手段を活用することになると想定しております。
 このため、本条では、そのような通信手段をもってしても1人の被曝管理責任者が任務を遂行することが難しいような「疾病その他の事故」の場合を想定して代理者が必要である旨を述べています。よって、本条の修正は必要ないと考えます。

 12.
第11条: 「経験を有する者」とありますが、その前にある「ISS宇宙飛行士の健康管理について」という形容句がこの部分にも掛かると(読むことを排除できないので)条件がきつくなり過ぎませんか? 少なくとも最初は誰も経験していない訳ですから。

12.
 ISS搭乗宇宙飛行士の健康管理はすでに事業団で行われているものですが、ご指摘のとおり、ISS飛行中の健康管理等、事業団にとって未経験のものもあるため、担当医師の要件として、ISS搭乗宇宙飛行士の健康管理経験が必要としてしまうと、問題となるケースもでることが予想されます。このため、本条を次のように修正したいと考えます。

「ISS搭乗宇宙飛行士健康管理担当医師(以下「担当医師」という。)は、ISS宇宙飛行士の健康管理について必要な知識と経験を有する者の中から、宇宙医学研究開発室長が選任するものとし、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被爆管理障害の防止に関し、次の各号に定める業務を行う。」

 13.
第12条: ここに挙げてある「被曝管理担当者」の職務(3)を考えると、その要件に「太陽-地球圏の宇宙環境についての知識」も加えるべきでないでしょうか?

13.
 ご指摘のとおり、一般に「放射線被曝管理についての知識と経験」と言った場合、一般の放射線業務従事者の被曝管理についての知識と経験を指すため、宇宙飛行士の放射線被曝管理に必要な知識である太陽−地球圏の宇宙環境は含まれないとの解釈も可能と考えます。このため、本条を次のとおり修正したいと考えます。

「ISS搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理担当者(以下「被曝管理担当者」という。)は、宇宙飛行士の放射線被曝管理について必要な知識と経験を有する者の中から被曝管理責任者が選任するものとし、次の各号に定める業務を行う。」

 14.
第13条: 第1項、第2項とも、規定されている任務が誰のものか不明確です。自読式の線量計が開発されて使用できるなら本人の仕事となるでしょうし、リモートで誰かが監視する方式を採るならその職を指定しなければなりません。また、「努める」とありますが、具体的にはどのようなことを想定しているのでしょうか?定性的表現で良く分かりません。
14.
 実際のISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理運用については、本指針を基に運用の具体的な方法を事業団で決め、実施されることになります。これにあたり、第13条の記載は、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理に係るすべての運用に適用される原則を示したものであり、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝を適切に管理するためには、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理に携わるすべての人がこの原則を守ることが必要だと考えています。
 また、「超えないよう努める」との記載についてですが、国内法令の線量限度は、超えると罰則を伴う「超えないようにする」値です。線量制限値を線量限度と区別し、「超えないように最大限の努力を求める」値と定義するために、この表現が適当と考えます。
 このため、本条の記載は修正する必要はないと考えます。

 15.
第14条: 線量制限値は生涯線量についても設けているが、そのためには、現行法令で管理の対象とされている職業被曝(緊急時被曝を含む)、対象とされていない戦争(原爆:現実には原爆被災者がISS宇宙飛行士となるケースは考え難いが)での被曝、事故(JCOやチェルノブイリ事故での被曝)による被曝、医療被曝をどう扱うか明確にしておかなければならないと考えます。
15.
 ISS搭乗宇宙飛行士の線量制限値の対象となる放射線被曝としては、原則的に本条(1)〜(4)に明記しているとおりです。その他、戦争や事故等による放射線被曝については、個々の被曝の特徴等により異なるため一義的に決定するのは難しいと考えます。このため、(5)の記載のとおり、個々の被曝の特徴等を勘案して、被曝管理責任者が管理すべき線量とするかどうかについて判断することが適当と考えます。このため、本条の記載は変更する必要がないと考えます。

 16.
第15条: 平常作業から緊急作業への切り替えの判断(権限と責任)をする者が誰であるのか明記する必要があります。また、「緊急作業時」の被曝管理を行う者(案文の最後にある「この場合であっても、放射線被曝はできる限り低く抑えなければならない」者)を指定し、同時に「被曝管理責任者」を免責にする[通常の管理基準で管理する責任を免除する]手筈も必要となります。
16.
 ご指摘のとおり、緊急作業時の放射線被曝管理の手順について明確にする必要があることは認識しております。しかしながら、ISS参加各機関の協力のもと、緊急時の判断等は米国NASAが行う場合があるため、当該手順を本指針に規定することは適当でないと考えます。このため、本条は原案どおり、緊急作業時の線量制限値の取扱に係る原則のみを示すにとどめ、今後、国際技術文書等に当該手順等を明確に記載していくことを事業団に対して求めていきたいと考えます。

 17.
第16条: 「定期的に監視」とありますが、次の理由で「常時監視」とするべきかと考えます。@.経験のない仕事である[から安全側に立ち慎重に対処する必要がある]。 A.地上の放射線施設とは放射線場の様態が大きく異なる。B.「常時監視」に切り替える要件(1)と(2)にある「変動」は、その大きさを定量的に述べない限り必ず存在するものであり、この規定による定期・常時の切り替え判断は技術的に困難である。

17.
 本条(1)及び(2)の変動は、別に定めるとしてあるとおり、細則等で定量的にその大きさを表すこととしており、技術的に定期監視から常時監視への切り替えは可能です。このため、本条の記載は変更する必要はないと考えますが、経験のない仕事であり、地上の放射線場の様態と異なることはご指摘のとおりですので、特に運用開始当初においては、慎重に対処するよう、事業団に対し求めていきたいと考えます。
 18.
第17条: 「定める」は「該当する」でしょう。また、(平常時を含め)個人被曝線量の評価をどのように行うかということは非常に重要で、その方策決定権を誰に与えるかが実務上のcritical point つまり問題点です。「別に定める方法により」とありますが、関係する知見の増大、技術の進歩、安全に関る社会の意識(安全の基準は言ってみれば「社会との契約」です)の経時変化などがあるので、測定・評価法の見直しは継続的に気を配る必要があります。従って、当初の検討結果を定まった方式として固定化させるのは良くないのです。役目を負うべき職を明確にしておくことが望ましいと考えます。

18.
 個人被曝線量の算定・評価方法の計画は、ご指摘のとおり、ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理上、非常に重要な問題であると認識しています。このため、第9条(3)にあるとおり、本計画の作成は被曝管理責任者の職務の1つであると考えています。また、当該計画の見直しについてもご指摘のとおり重要であることから、第9条(3)を次のように修正したいと考えます。

「(3) 放射線被曝管理上重要な計画の作成及び見直し

 なお、第17条の、「前条の各号に定める場合は」は、ご指摘のとおり、「前条の各号に該当する場合は」と修正したいと考えます。

 19.
第18条: 「被曝管理担当者」が「ISS搭乗飛行士」が地上で従事する放射線業務の被曝管理をも担うこととしていますが、これは当該「被曝管理担当者」が、別の既存法規に基づく管理システムに組み込まれていない限り無理だと思います。[これも関係法令担当官庁との要協議事項でしょう。]また、第2項で、「測定または算定」を義務づけていますが、その後それらをどうするかの規定も必要です。[第19条の規定だけでは不十分です。]
19.
 一般に放射線業務を行う労働者は、「電離放射線障害防止規則」(事業者に、雇用している労働者の放射線管理を求めるもの)及び「放射線障害防止法」(事業者に、その事業者が有する放射線施設に立ち入る者の放射線管理を求めるもの)により2重の管理がなされていると理解しています。
 本指針は、電離則の考え方と同様に、事業団が管理責任を有する(雇用する)ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝管理を規定するものですが、ISS搭乗宇宙飛行士が地上において放射線業務を行う場合には、電離則に基づく一般の放射線業務従事者の管理(労働者が他機関の放射線施設で放射線業務を行う場合 等)と同様に、放障防法の規定と矛盾することなく行うことが可能であると考えています。このため、本条の記載は修正する必要がないと考えます。
 また、被曝線量の測定・算定結果後の取扱については、第19条で「報告」、第20条で「記録」、第21条で「記録の保存」を規定するとともに、第30条で「ISS飛行中の退避又は飛行中止等の措置」について記載しております。

 20.
第19条: 第1項に「被曝し、又は被曝したおそれがあると判断」とありますが、(第16条(2)の規定もあるので)「被曝するおそれ」も入れておくべきでしょう。
20.
 ISS搭乗宇宙飛行士が線量制限値を超えて「被曝するおそれ」がある場合としては、ISS飛行中に太陽−地球圏の宇宙環境の変動があった場合等が想定されると考えます。そのような場合の対処としては、第16条及び第19条第2項に記載しています。
 このため、本条は修正する必要がないと考えます。

 21.
第20条: 第2項に「提出」を義務づけていますが、時期や頻度の規定が抜けています。

21.
 記録提出の時期や頻度の規定が抜けているのはご指摘のとおりです。当該記録は被曝管理責任者により、判断に用いられ、保存されることから、被曝管理担当者から被曝管理責任者への当該記録の提出は、記録のつどとすることが適当と考えます。このため、本条第2項を次のとおり修正したいと考えます。

「2 被曝管理担当者は、前項の記録を記録のつど被曝管理責任者に提出するとともに宇宙飛行士に個人被曝線量に係る記録の写しを交付しなければならない。」

 22.
第22条: (4) にあります「・・・放射線被曝管理」は「・・・放射線被曝管理の考え方」あるいは「・・・放射線被曝管理の目的と目標」としては如何でしょう? 原案では内容がよく分からないと思います。
22.
 本条第2項(4)については、報告書第III章6.3.1項(III-84頁)に記載しているとおり、線量制限値、モニタリング、教育訓練、健康管理、国際文書における規定、体制 等に係る実務的な事項を説明する必要があると考えます。このため、ご提案の「放射線被曝管理の考え方」及び「放射線被曝管理の目的と目標」ではなく、原案どおりとしたいと考えます。

 23.
"便益の追求と危険の回避は基本的人権である"と考えるので、この条文を用意したことに敬意を表します。大賛成です。この際、折角ですから、「説明」担当者(「被曝管理責任者」)には、国や組織の保有するリスク関連情報が故意に秘匿されることなく全て提供されることを保証すべきことと、それがなされなかった場合の責任の所在も明確にしておくこととが望ましいと考えます。また、リスクの仲間に、放射線に関係のない工学的事故のリスクも加えておく必要があるのではないでしょうか。
23.
 ISS搭乗宇宙飛行士の放射線被曝によるリスクについては、本指針(案)により、当該飛行士の個人被曝線量、健康状態ともに被曝管理責任者が把握することが可能です。また、被曝管理責任者である宇宙医学研究開発室長は、宇宙医学分野での国際的な研究動向等を最も知ることのできる立場にあるとともに本指針(案)の第19条のとおり、ISS運用時のISSの放射線環境等について知り得る立場にあるため、当該飛行士の宇宙放射線に関するリスク関連情報等を十分に把握できると考えます。このため、本条は修正する必要がないと考えます。
 また、ISS搭乗宇宙飛行士に係る放射線被曝以外の工学的なリスク等については、本指針が記載すべき事項の範囲外であるため、本指針に記載する必要はないと考えます。(事業団では宇宙飛行士に対して工学リスクについても本指針とは別に確実に宇宙飛行士に説明しております。)

 24.
第24条: 「等」の内容がここでも不明確。将来の確率的影響発現に対してはどのように対処するのでしょうか?[地上の放射線業務従事においては、職業人に対する年限度の1/10を越える期間が定められた期間を越えていれば労働災害に認めている。]また、「ISS搭乗飛行士」であることを止めた後の「放射線業務」従事はどのように扱うのでしょうか?更に、「ISS搭乗飛行士」に認定する際の要件に、それ以前の放射線業務従事暦と積算被曝線量は考慮されているのでしょうか?

24.
 原案の「リスク等」には、認定取消後の放射線業務によるリスクの他に、それまでの累積被曝線量が含まれると考えていました。しかし、認定取消後の放射線業務によるリスクを説明するためには、累積被曝線量の説明を含めなければ困難であり、本来、両者は表裏一体のものと考えることができることから、本条の記載を次のとおり修正したいと考えます。

「被曝管理責任者は、ISS搭乗宇宙飛行士が宇宙飛行士認定を取り消された場合は、その後の放射線業務のリスクについて、当該ISS搭乗宇宙飛行士に対し十分な情報提供を行わなければならない。」

 また、宇宙飛行士認定取り消し後の放射線業務については、報告書第III章の6.3.4項に記載しましたとおり、現行法令では宇宙飛行中の放射線被曝については管理の対象とされないことから、本指針(案)に規定する線量制限値近傍まで被曝した宇宙飛行士等、その後の放射線業務が大きなリスクとなる場合も想定されます。このため、本指針(案)では第24条の規定を設け、当該リスクを宇宙飛行士に説明することとしています。
 また、報告書第III章3.3.3項(3)に記載しましたとおり、ISS搭乗宇宙飛行士を選抜する際の基準に、選抜前の放射線業務従事歴と積算被曝線量についても、含めることが必要と考えています。
 なお、当該選抜時の基準は、報告書第IV章2項のとおり本指針を基にした実施計画文書に記載することが適当と考えます。

 25.
第27条: 「場合」の判断をするのは誰で、その情報を担当医師に伝えるのは誰か、示されていません。第9条(10)の規定だけでは不十分と思います。

25.
 第19条第1項により、線量制限値を超えて被曝し、又は被曝したおそれのある場合は、被曝管理担当者から被曝管理責任者へ報告されます。本条第2項の原案は、被曝管理責任者が当該情報とともに、担当医師に必要な健康診断を行うように指示するとの前提で記載されています。しかし、ご指摘のように当該指示の必要を明確に示しておくことは重要であると考えることから、第27条第2項を次のとおり修正したいと考えます。

「2 前項各号の規定にかかわらず、被曝管理責任者は、第19条第1項の報告を受けた場合は、担当医師ISS搭乗宇宙飛行士が別表1の線量制限値を超えて被曝し、又は被曝したおそれのある場合は、その者につき必要な健康診断を行わなければならない。」

 26.
第30条: 報告先は「直属上司」であり、「安全に最終責任を負う者」でなければなりません。また、本条の規定は、「被曝管理責任者」に「医学的データ取得の誘惑に襲われる可能性を持つ者」を充てることが適切で無いことを示しています。第7条の規定は変えるべきであると考えます。第2項に規定している役目がなぜ「本部長」や「理事長」でないのか理解に苦しみます。安全に最終的に責任を負うべき者とするのが理に適うものであると信じます。
26.
 第7条に対するご意見への回答のとおり、宇宙医学研究開発室長は宇宙飛行士の健康管理に責任を有する立場であることから、被曝管理責任者として適当と考えられます。また、第9条に対するご意見への回答のとおり、被曝管理責任者の直属上司として宇宙環境利用推進部長が適当と考えられます。
 なお、第30条の原案に記載しているとおり、事業団として宇宙飛行士の安全及びミッションの達成を考慮した上で、ISS計画参加各機関と調整を行うのは、事業団の国際宇宙ステーション計画プログラムマネージャである宇宙環境利用システム本部副本部長です。このため、第30条第2項で宇宙環境利用システム本部副本部長の役割等を明確にしています。この場合であっても、別図1のように、宇宙環境利用システム本部副本部長を通じて、本部長及び理事長には報告がなされ、必要に応じてその判断を仰ぐことは、組織として当然のことと考えられます。

G  「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理指針」(案)第4条(1)(2)において、「国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の線質係数」とある。これは、ICRP60付属書A表A-1と理解して良いですね。本文(23)(25)では値/式は出ていません。すると、付属書Aを「勧告」と言えるのかが疑問。ICRU文書が原点(?)なら、それを引用した方が無難では。
  本指針(案)第4条(1)(2)において記載している線質係数は、ご指摘のとおり、ICRP60付属書A表A-1に示されているものです。
 日本アイソトープ協会発行の「国際放射線防護委員会の1990年勧告」の邦訳版の序に、「勧告には主文と4つの付属書(A, B, C, D)が含まれている」とあるように、国内外を問わず、付属書も勧告の一部とみなすことが一般的と考えます。このため、本条の記載は修正しないこととしたいと考えます。

H

早稲田大学

道家忠義 名誉教授
 1.
 III-3 図1-3 CREMEモデル→ CREME-86(?)モデル とすること。
 1.
 ご指摘のとおり、「CREMEモデル」には1986年に公開されたものと1996年に公開されたものがあります。報告書の記載は、脚注に源泉となる文献は示しました(III-1頁)が、そのどちらを使用したのか明確ではありませんでした。本報告書では1986年発表のものを使用しましたので、今後、本報告書を見直す際に修正したいと考えます。

2.
 III-11 図1-8 これは同一条件で測られたものではない。同一条件で測られたものはSTS-91しかない。論文では、全て、GCR trapped protonsとに分けて示されている。それを掲載すべきだ。
[Radiat. Res. 156(2001)310-316, Fig. 3 or Radiat. Meas., 33(2001)373-387, Fig 13.]
 その際、TEPCに対しては、「TEPCはlineal energy "y"しか計れないので、仮に、y=LETと仮定して近似的にLETを求めている。そのデータと、LETを直接求めたRRMD-IIIとの結果の比較を図に示す。両者の差は、LETとyとの差である。」とのfigure captionを付けるべきだ。

2.本報告書第III章の1項では、ISS搭乗宇宙飛行士が遭遇する宇宙放射線環境の概要を記載しており、図1-8ではRRMDとTEPCの計測結果を比較して論ずる意図はなかったため、単純に両計測器のデータを同じ図に表したものです。
 しかしながら、ご指摘のとおり、TEPCは厳密にはyスペクトルしか計測できないと言われていることから、今後本報告書を見直す際には、ご指摘の内容を反映して修正したいと考えます。
 3.
 III-52 A 水晶体のところで、"船外活動で制限値まで被爆したとき"白内障が起こる用に記しているが、最近の報告(Radiat. Res., 156(2001)460-466)では、宇宙船の内外を問わず宇宙飛行士の20%の人に白内障は起こっており、このような条件は除去すべきだ。最近の論文をよく読んで書き改めること。
3.
 III-52頁Aにおけるご指摘の箇所は、ISS飛行時に船外活動も行うと考えられる一般的なISS搭乗宇宙飛行士が、生涯実効線量当量制限値の近傍まで被曝した場合には、水晶体の確定的影響のしきい値を超える可能性がある旨を述べたかったものです。
 しかしながら、ご指摘の論文等、宇宙飛行士の水晶体に対する放射線の影響については、今後とも新しい知見を収集することが必要と考えられますことから、今後、本報告書を見直す際にはご指摘の点を考慮したいと考えます。
 なお、ご指摘の論文は、NASAにおける宇宙飛行士の疫学調査の結果でありますが、当分科会では、引き続き関連データの収集等に努めて参りたいと考えます。

 4.
 III-58 4.で、「ISSでの放射線環境モニタリング」のところで、NASAを初めとする搭載機器の結果を信用して、それを日本側の記録とするとハッキリ書いておく必要がある。それに就いて明確な記述がない。
4.
 ISS参加各極との国際取り決めで、放射線被曝管理用の計測器を含む、ISSに搭載される宇宙飛行士の健康管理機器は、NASA及びロシアが提供することとされています。このため、本報告書第III章4.3.2項では、現時点でNASA及びロシアがISSに搭載を予定している計測器の種類で線量評価・算定が可能なことを示しました。
 しかしながら、現時点では各計測器の性能についての評価は行っておらず、ご指摘のとおり、今後どの計測器のどのデータを用いて線量を評価・算定するのか等、ISS搭乗宇宙飛行士の線量評価・算定方法を明確にすることが必要と考えています。
 このため、これらの事項が明確になった時点で、今後、ご指摘の内容についても適切な文書へ盛り込むよう、事業団に対し求めていきたいと考えます。

 5.
 III-61 表4-1 この表でTEPCはLETスペクトロメーターと書いて、LET時間分布を計測していると書いてあるが、TEPCでは、LETは測定できないでlinear energyを測定している。それを、実時間測定を行うためにy=LETとしてLET分布を出している。この曖昧さの標準偏差は76%にも達している。このような曖昧さLETを測定できないTEPCは標準モニターとしては使用すべきではない。少なくとも、この表中に"y=LETとの荒い近似でしかTEPCでは結果が得られない"ことを明記すべきである。参考のために、DOSTELでのそのような標準偏差は、16.8%である。

5.
 上記4.で述べましたとおり、今後NASA等の提供する計測器の性能についても評価を行い、ISS搭乗宇宙飛行士の線量評価・算定方法を明確にしていく予定です。このため、ご指摘の内容についても、今後の検討に役立てていきたいと考えます。なお、TEPCが測定できるデータの種類についても、今後、報告書を見直す際、ご指摘の事項を反映して修正したいと考えます。
 6.
 IV-1ここに、更に、宇宙での線量計測の基礎研究の必要性を追加すべきだ。
6.
 本報告書第IV章1項では、当分科会で、本報告書を作成する過程で議論のあった研究項目をまとめたものです。
 ご指摘の研究項目は、1.2.1項(1)の各種計測器・線量計の研究開発の基盤となる研究と考えられます。また、これまでの当分科会の議論においては、特段基礎研究の必要性は議論されなかったことから、現時点では、報告書の修正は必要ないと考えています。
 しかしながら、ご指摘の研究項目は、上記4.及び5.で述べたISS搭乗宇宙飛行士の線量評価・算定方法の検討をしていく上で、重要なテーマであることは認識しております。

I  実に良くまとめられております。専門的立場にあるものにとっても考えるガイダンスになります。地上での放射線防護の手法を宇宙へ如何に合理的に適用するか、その検討の苦心が現れております。提案されております防護の考え方、手法へのコメントはこの場ではひかえます。
 私は IVその他 に注目しました。この記述の背後にはいろいろの専門家の講演など があったものと想像致します。また分科会でも賛否両論の意見があったかもしれません。また、この報告書に何を記載し何を記載しないかも議論になったと思います。それらがもう少し伝わるような、もう少し詳しい記載があれば良かったと思います。宇宙のことは未知なことが多いのだから、議論が沢山あってよく、多くは今後の検討ないしは研究課題になった。そのような章であってほしかったと思います。未解決なな問題が多くある中でIII章までの検討がなされた、ということが判りIII章までの重みが増すと思います。さらに若い人がIVに触れる機会があり、中には「私が解決しよう」と燃える人が現れるかもしれません。それを考えますと、この章の記載は「そっけない」印象を受けます。
 私自身、
 神経系への宇宙放射線の影響
 発がんにおけるBystander効果
 発がんにおける逆線量率効果
 宇宙放射線+微小重力
 宇宙放射線+微小重力+心理的状態
 池永実験(遺伝的損傷に関する宇宙放射線+微小重力の効果)
 などがどのような議論になったのか興味があります。
これらを別途document化されればと願う次第です。
  報告書第IV章1項は、当分科会が、本報告書、特に第II章の「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士放射線被曝管理指針」(案)を作成する過程で、今後の宇宙飛行士の放射線被曝管理・技術の向上のために期待されるとして出された研究項目をまとめたものです。
 本報告書の作成にあたり、当分科会の主要な任務は、第II章の指針(案)を作成することでした。このため、第IV章1項の研究項目については、項目を列挙するにとどまり、その際に行われた議論等は詳細に記載しませんでした。
 今後、当分科会として宇宙飛行士の放射線被曝管理に係る研究項目を包括的にまとめるような機会が得られれば、ご指摘の内容についても、検討を加えたいと考えます。




最終更新日:2002年 2月 26日

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