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シンポジウム・ワークショップ

国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」利用成果シンポジウム

宇宙飛行士の健康管理

最終更新日:2012年11月 5日

宇宙と地上の暮らしに役立つ「宇宙医学」

(出典:JAXA)

松本暁子(JAXA宇宙飛行士運用技術部医長)

ISSの長期滞在者である宇宙飛行士の医学的問題は、骨量の減少、筋肉の萎縮、宇宙放射線の被ばく、狭いところで異文化・人種と接する精神心理系への影響、代謝栄養系・心臓血管系・血液免疫系他へ変化が及ぶこと等です。また、船内環境の影響や、宇宙滞在中に病気や怪我をしたりする場合のリスクへの対処が問題になります。

宇宙環境は身体にとって新しい環境になるため、身体のあらゆる医学的システム、組織・臓器に影響が及ぶと考えています。神経前庭系は宇宙酔い等大きな変化が現れても、その後は環境に適応できてきます。ところが、骨や宇宙放射線の問題は、時間が経てば経つほど問題が蓄積されます。時間経過を考えると、スペースシャトルでの2週間の滞在から、ISSでの長期滞在、さらに将来の別の惑星への飛行(数年)を考えると、対応できない問題も出てくるかもしれません。

宇宙へ行くと100日に2.4%、体重が減ることを私は研究論文で報告しました。ISSでの6ケ月滞在では問題になりませんが、それよりも長い宇宙での生活の場合は問題になってきます。

フライトサージャン(宇宙飛行士担当の専門医師)は、宇宙飛行士の毎年の医学検査を行い、地上での特殊な訓練(サバイバル訓練、プールでの潜水訓練等)の支援をします。普段の栄養指導や、医学に関する国際調整も行います。宇宙からの帰還後は地上での再適応の支援を行います。

宇宙飛行士選抜では、あらゆる医学検査を行い、非常に健康な人を選抜しています。それでも健康管理が必要なのは、宇宙という特殊環境では医学的リスクがあるからです。彼らは職業宇宙飛行士なので、最大限のパフォーマンスが発揮できるように助けるのが我々の仕事です。

地上にいますと、医学検査データが完全には正常に戻らなくても「ちょっと様子を見ましょう」と言うこともありますが、宇宙では病気が起こらないように1%でもリスクを下げるのが我々の責任であるといえます。宇宙医学は特殊なものではなく、地上の医学から学び、また、宇宙医学という切り口で地上の役に立てることもあると考えています。我々が地上医学と宇宙医学のかけ橋となればよいと願っております。

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モデレータ:宇山恵子(医療ジャーナリスト)、向井千秋
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閉会挨拶
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