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宇宙医学

日本人宇宙飛行士が参加した主な医学実験

最終更新日:2014年7月2日

JAXA宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在中に参加した主な医学研究は以下のとおりです。

若田宇宙飛行士

第38次/第39次長期滞在時(滞在期間:2013年11月~2014年5月)

実験名 実施機関
微小重力下における反転図形に対する知覚の変化の調査 (Reversible Figures) ESA
長期宇宙滞在中の概日リズムの変化についての研究(Circadian Rhythms) ESA
長期宇宙飛行時における48時間心臓自律神経活動に関する研究 (Biological Rhythms 48 hrs) 日本
国際宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士の筋骨格系廃用性萎縮へのハイブリッド訓練法の効果 (Hybrid Training) 日本
宇宙飛行士の被曝線量計測 (Crew PADLES) 日本
ISS長期滞在クルーの目の健康に関する前向き研究 (Ocular Health) NASA
国際宇宙ステーション(ISS)における精神運動覚醒検査 (Reaction Self Test) NASA
長期宇宙滞在中およびその後における宇宙飛行士の酸化ストレスと炎症ストレスのバイオマーカーと粥状(アテローム)動脈硬化のリスクの関係性 (Cardio Ox) NASA
抵抗運動および有酸素運動の一体研究 (SPRINT) NASA
宇宙飛行中の身体変化の数値化 (Body Measures) NASA
超音波検査を利用した宇宙飛行士の脊椎調査 (Spinal Ultrasound) NASA
酸素摂取量測定およびフィットネス定期評価 (PFE-OUM) NASA

第18次/第19次/第20次長期滞在(滞在期間:2009年3月~7月)

若田宇宙飛行士が左腕にSleep Long実験のActiwatchを着けている

星出宇宙飛行士

第32次/第33次長期滞在時(滞在期間:2012年7月~11月)

実験 実施機関
長期宇宙滞在中に宇宙飛行士が必要なエネルギー量の研究 (ENERGY) ESA
長期宇宙滞在中の概日リズムの変化についての研究(Circadian Rhythms) ESA
長期宇宙飛行時における48時間心臓自律神経活動に関する研究 (Biological Rhythms 48 hrs) 日本
宇宙医学実験支援システムの機能検証(ODK2) 日本
宇宙飛行士の被曝線量計測 (Crew PADLES) 日本
長期宇宙滞在宇宙飛行士の毛髪分析による医学生物学的影響に関する研究(Hair) 日本
食事摂取から予想・予防できる宇宙飛行中および回復期間の骨代謝の変化(Pro K) NASA
長期宇宙滞在中およびその後の心臓委縮および拡張機能不全:起立耐性失調、運動能力、不整脈の危険性への機能的影響(統合的心血管実験)(Integrated Cardiovascular: ICV) NASA
国際宇宙ステーション(ISS)における精神運動覚醒検査 (Reaction Self Test) NASA
ISS長期滞在ミッション中およびその前後における、最大酸素摂取量(VO2max)と最大下VO2max推測値の評価(VO2max) NASA
抵抗運動および有酸素運動の一体研究 (SPRINT) NASA
定期健康状態の調査「PHS(Periodic Health Status)/Without Blood Labs exam」 NASA

古川宇宙飛行士

第28次/第29次長期滞在時(滞在期間:2011年6月~11月)

実験 実施機関
長期宇宙飛行による心臓血管への影響(Vascular) CSA
微小重力環境における塩分補給(SOLO) ESA
血管超音波検査(Vessel Imaging) ESA
宇宙飛行士の中枢神経へ長期間の飛行が与える影響-遮蔽(ALTEA-Shield) ESA
微小重力下における身体動作の視覚的認知(Passages) ESA
長期宇宙飛行時における心臓自律神経活動に関する研究(Biological Rhythms) 日本
宇宙医学実験支援システムの機能検証(ODK) 日本
宇宙飛行士の被曝線量計測 (Crew PADLES) 日本
長期宇宙滞在宇宙飛行士の毛髪分析による医学生物学的影響に関する研究(Hair) 日本
栄養状態の評価(Nutrition) NASA
免疫機能の総合評価(Integrated Immune) NASA
ISSで行うトレッドミル運動の生体力学的解析(Treadmill Kinematics) NASA
国際宇宙ステーション(ISS)における精神運動覚醒検査 (Reaction Self Test) NASA

野口宇宙飛行士

第22次/第23次長期滞在時(滞在期間:2009年12月~2010年6月)

制振装置付きトレッドミル(TVIS)で運動する野口宇宙飛行士

JAXAの宇宙医学実験

実験テーマ名
(略称)

骨量減少・尿路結石予防対策実験
(Bisphosphonates)

参加宇宙飛行士

若田宇宙飛行士、野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士(ISS滞在中、1週間に1回実施)

研究目的

ビスフォスフォネートという骨粗しょう症の治療薬を予防的に使い、骨が弱くならないかどうかを見る研究です。

研究概要

NASAとの共同研究です。ビスフォスフォネート製剤を服用して運動した場合と、運動のみの場合とを比較し、宇宙滞在中の骨量減少の予防効果を明らかにします。また、ビスフォスフォネート製剤が腎結石の形成を抑制することができるかどうかも確認します。

実施状況

継続中

成果

ビスフォスフォネートは骨粗しょう症の予防に効果あり
薬剤を服用しない宇宙飛行士は、無重力環境下では骨の吸収(骨が減っていくこと)が進み、骨の形成(骨が作られること)は増えないため、骨粗しょう症患者の10 倍の速さで骨量は減少し、カルシウム成分は骨から血中そして尿の中に溶け出しました。
これに対して、ビスフォスフォネートを服用した宇宙飛行士では、骨の吸収が抑えられて骨量と強度は維持され、さらに尿中のカルシウム排泄も抑えられました。この結果により、ビスフォスフォネートが宇宙飛行による骨量減少と尿路結石のリスクを減らすことが確認できました。
宇宙飛行士の骨量減少対策には、栄養、運動、および薬剤の3 つが重要です。適切な栄養、効果的な運動、および薬剤を予防的に活用すれば、宇宙飛行士の骨量減少は予防できることがわかりました。

実験テーマ名
(略称)

宇宙放射線計測(個人被ばく)
(Crew PADLES)

参加宇宙飛行士

若田宇宙飛行士、野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士、星出宇宙飛行士(打上げから帰還まで)

研究目的

JAXAが開発したPADLES(パドルス)を使用して放射線被ばく量の測定を行い、長期滞在宇宙飛行士のリスク評価や健康管理に役立てます。

研究概要

宇宙滞在中、Crew PADLES(ストラップ付き)を身につけて、宇宙でどのくらい放射線に被ばくしたのか、累計的に調べます。

実施状況

検証フェーズを終了し、実運用中

成果

こちらをご覧ください。

実験テーマ名
(略称)

長期宇宙飛行時における48時間心臓自律神経活動に関する研究
(Biological Rhythms 48 hrs)

参加宇宙飛行士

星出宇宙飛行士、若田宇宙飛行士(第38次/第39次長期滞在時)

研究目的

48時間の心電図記録と96時間の活動量記録を行って、心臓自律神経の活動と睡眠/覚醒リズムを総合的に評価します。

研究概要

ホルター心電計で48時間の心電図を記録します。ホルター心電計は、バイオロジカルリズムといって、人間の体内時計がどのくらいシフトするかを調べるために使用できます。また、アクティウォッチと呼ばれる腕時計型の活動量計を身につけ、96時間分の記録をとります。24時間の心電図記録を行ったBiological Rhythms実験を発展させた研究です。

実施状況

継続中

実験テーマ名
(略称)

長期宇宙飛行時における心臓自律神経活動に関する研究
(Biological Rhythms)

参加宇宙飛行士

若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)、野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士

研究目的

24時間心電図記録を行い、生物学的リズムの変動と、睡眠中における心臓の休息度等を評価し、宇宙飛行士の健康管理技術の向上に役立てます。

研究概要

ホルター心電計で24時間心電図を測定します。ホルター心電計は、バイオロジカルリズムといって、人間の体内時計がどのくらいシフトするかを調べるために使用できます。

実施状況

完了

成果

宇宙でも生体リズムを維持することができる
2008年から実験を行い、24時間の心電図データを得た結果、以下のことが分かりました。

①心臓自律神経活動を解析すると、一般に激しく活動しているときに活性化する交感神経の活動は、帰還後は飛行前、飛行中に比べて上昇する傾向がありました。無重力の長期宇宙滞在から、地球環境に帰還すると再び重力環境の活動に適応しようとして心臓の交感神経活動が高まる傾向が示唆されました。

②一方、リラックスしているときに活性化する副交感神経の活動は、飛行前に比べて飛行開始直後および飛行開始2ヶ月目まで低下し、飛行後半の約150日目には改善することが観察されました。飛行開始直後は、無重力環境で体液が頭の方に移動するため、心臓への血流が減り、心臓迷走神経活動に関係する副交感神経の活動が低下します。その後、宇宙環境に適応して、宇宙滞在後半では回復することが示唆されました。

③心臓自律神経活動のサーカディアンリズムの周期は、宇宙飛行の後半に約24時間となり、飛行前と飛行後に24時間からずれる傾向が示されました。日中の高照度光がなく無重力環境であるISSでは、生体リズムが乱れると想定していましたが、フライト直後にサーカディアンリズムは一旦乱れるものの宇宙滞在後半ではむしろ規則正しくなっており、心臓自律神経の宇宙環境への再適応や船内での規則的な生活がサーカディアンリズムの維持に有用であると考えられました。

以上より、現在のISS長期宇宙滞在の生活において、心臓自律神経活動のサーカディアンリズムは、打ち上げ直後は一過性の影響を受けるものの、長期的には規則正しく保たれることが確認されました。

実験テーマ名
(略称)

軌道上における簡易型生体機能モニタ装置の検証
(Holter ECG)

参加宇宙飛行士

若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

研究目的

遠隔医療システムのひとつとして、ホルター心電計という小型心電計とハイビジョンカメラの実用性検証です。

研究概要

軌道上でのホルター心電計とHDTVカメラの実用性を検証し、遠隔医療の充実を図ることを目的としています。
ISSに長期滞在する宇宙飛行士の24時間連続心電波形をホルター心電計で記録し、データをダウンリンクさせるとともに、HDTVカメラを用いて 電極装着部位確認と、電極取り外し後の皮膚遠隔診断を試みます。
データは、飛行前1回、飛行中2回、飛行後1回に取得します。

実施状況

完了

成果

HDTVカメラは宇宙での健康診断に役立つ!
2008-2009年にかけて実験を行った結果、軌道上におけるホルター心電計の操作性や動作性は良好で、地上への送信データにも欠損等はありませんでした。このことから、ホルター心電計は軌道上での循環機能や自律神経機能の評価に適用可能と評価されました。
また、HDTVカメラの画像データは、解像度や色の再現性などが良好であり、皮膚科診断に適用可能と評価されました。
以上の結果から、ホルター心電計による心電図測定、及びHDTVカメラによる遠隔診断画像撮影は、ISS長期滞在宇宙飛行士の宇宙医学研究や健康管理運用に役立つ手法であることが確認できました。
なお、ISSより遠くへの長期宇宙飛行においては、データを送る距離が長くなるため送信データの精度を確保するための検討が必要ですが、今回の成果を活かすことができます。

実験テーマ名
(略称)

国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の身体真菌叢評価
(MYCO, MYCO-2, MYCO-3)

参加宇宙飛行士

野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士

研究目的

宇宙飛行士がISS滞在中に呼吸することによって体内に取り込む、あるいは環境中の空気にさらされることで皮膚に付着する微生物叢(びせいぶつそう)の変化を評価する実験です。

研究概要

飛行前、飛行中、飛行後に、宇宙飛行士の皮膚、鼻腔粘膜、咽頭粘膜、喀痰からサンプルを採取して、微生物叢変化について解析します。
長期宇宙滞在中の、微生物によって健康が損なわれないようにするための予防技術を開発したり、宇宙飛行士にとって最も効果的な除菌法を開発したりするためのデータを集めることができます。実験のデータは、将来の宇宙飛行士のための医学管理に役立ちます。

実施状況

完了

成果

宇宙で採取したサンプルから菌の培養に成功

スペースシャトルの宇宙飛行士10名、およびISS長期滞在の宇宙飛行士10名からのサンプル採取が終了し、現在解析作業が進行中です。一部のサンプルは軌道上から冷蔵回収して、培養検査を実施しました。軌道上で採取したサンプルから生きた菌を培養することで、軌道上における菌の性質や状態を解析でき、科学上・運用上有用な情報が得られます。今後は培養検査に引き続き、詳細な遺伝子検査を実施していきます。

皮膚については、マラセチアの中でも様々な菌種があるため、構成菌種の比率変化も解析していく予定です。今後は統計学的な検証を含め、データの解析を進めていきます。

実験テーマ名
(略称)

長期宇宙滞在宇宙飛行士の毛髪分析による医学生物学的影響に関する研究
(HAIR)

参加宇宙飛行士

野口宇宙飛行士(野口宇宙飛行士は、他のISSクルーの毛髪の採取を担当しました)、古川宇宙飛行士星出宇宙飛行士

研究目的

宇宙環境で、人体がどのような影響を受けるかを、毛髪分析で評価するものです。宇宙飛行士の健康管理に役立つ研究です。

研究概要

飛行前、飛行中、飛行後に、長期滞在宇宙飛行士の毛髪を採取します。毛幹の微量元含有量と、毛根の遺伝子やタンパク質などへの影響とストレス応答を解析します。毛髪はストレスなど外部環境に敏感に反応しますので、これを長期滞在宇宙飛行士の健康管理技術の向上に役立てることができるかどうか検証します。

実施状況

完了

成果

遺伝子の働きに変化、さらなる解析を実施中
現在はサンプルの回収と解析作業を進めています。凍結保存してある毛髪から毛根部分を切断して遺伝子の働きに関する情報を抽出し、解析を行います。網羅的な解析の結果から、これまでにいくつかの遺伝子の働きに宇宙滞在に伴う変化が認められています。今後は遺伝子の働きと身体の変化との対応を検討するとともに、被験者全体の傾向を把握できるように解析を進めていく予定です。また、毛髪を含むマウスの皮膚の解析からも、宇宙での飼育による遺伝子の変動を検出することができました。これらの毛根の解析と合わせ、毛幹に含まれる微量元素の解析もすすめています。電子線マイクロアナライザという機器を使用し、毛髪の横断面に含まれるカルシウムや塩素などの量を調べています。取り扱う対象がまさしく微量であるため、解析方法の妥当性の検証を含めた作業を実施中です。

実験テーマ名
(略称)

宇宙医学実験支援システムの機能検証
(ODK, ODK2)

参加宇宙飛行士

古川宇宙飛行士、星出宇宙飛行士

研究目的

軌道上で取得した医学実験データを宇宙医学実験支援システムに取り込み、システムの操作性、データインターフェースの信頼性等に係わる機能検証を行います。これにより、今後の軌道上における運用へ向けたシステムの運用性の確認、課題抽出を行います。

研究概要

宇宙医学実験支援システムは、小型高性能の様々な医療機器から取得した医学実験データを軌道上で統合管理し、簡易分析を可能とするシステムです。

実施状況

完了

成果

軌道上での電子カルテを実現

【古川宇宙飛行士滞在時】
滞在中3回にわたり、電子聴診器、パルスオキシメータ、脳波計などの各種医学機器で取得した医学データをノートパソコンに取り込み、医師でもある古川飛行士が操作のしやすさ、見やすさなどシステムの評価を行いました。リアルタイム問診では、古川飛行士と地上の医師とが電子カルテを同時に見ながら、医師の視点から意見交換を行いました。一連の検証実験を通じて、飛行中の健康状態の自己把握や医学データ管理への活用の目処が立った一方で、いくつかの改善提案が出され、ソフトウェアシステムの修正を行うとともに追加の機器(血圧計、体温計、筋力測定器)もISSに搭載することにしました。

【星出宇宙飛行士滞在時】
滞在中3回(簡易機器は5回)にわたり、各種医学機器で取得した医学データをシステムに取り込み、医学の専門家ではない一般の宇宙飛行士の視点からシステムの評価を行い、より分かりやすくするために電子カルテの画面や操作の手順を修正しました。また、古川飛行士の際には実施できなかった電子聴診器を用いたリアルタイム聴診実験を行い、ISSで測定した心音が非常にクリアに地上で聞こえることが初めて確認できました。

NASAの宇宙医学実験

実験テーマ名
(略称)

長期宇宙飛行時における睡眠・覚醒サイクルと照明環境の記録
(Sleep)

参加宇宙飛行士

若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

研究目的

長期宇宙滞在中に睡眠-覚醒活動パターンがどのように変わってしまうかを調べます。また、宇宙飛行士が活動中にどのくらいの光にあたっているかを測定して、それがどのように、宇宙滞在中の睡眠の量と質に影響しているかを評価します。

研究概要

長く宇宙に滞在していると、睡眠と慨日リズムにどのような影響がでるかを調べるため、宇宙飛行士の睡眠-覚醒活動パターンと、光への曝露をモニタします。被験者となる宇宙飛行士は、小型の活動/光記録装置「アクチウォッチ(Actiwatch)」を利き手ではない方の腕に装着します。宇宙滞在中のデータは、飛行前にとったデータと比較して分析します。また、帰還後の回復(地上での1日24時間周期活動への再調節)を着陸後からモニタします。宇宙滞在中に睡眠がどのように変わるかが分かれば、効果的な対策を準備するための手助けになります。

実験テーマ名
(略称)

国際宇宙ステーション(ISS)における精神運動覚醒検査
(Reaction Self Test)

参加宇宙飛行士

野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士、星出宇宙飛行士、若田宇宙飛行士(第38次/第39次長期滞在時)

研究目的

宇宙滞在中に慢性的におこる睡眠不足や、睡眠時間の急な調整、船外活動、作業による疲労、時間の経過に伴う能力の低下、睡眠薬の持ち越し効果などから生じる疲労から、宇宙飛行士の心身状態が変化して作業能力が低下した場合に、宇宙飛行士が各自それを客観的に把握するための手段として、「精神運動覚醒検査(Psychomotor Vigilance Test:PVT)」が有用かどうかを検証します。
  • 宇宙飛行士の疲労や宇宙滞在に伴う認知機能の低下あるいは変化を明らかにして、その評価方法を見つけ出します。
  • 各宇宙飛行士が睡眠不足に対してどれほど耐性があるかを測定します。
  • 宇宙飛行士の認知即応性が低下した場合に、宇宙飛行士本人と地上支援チームがそれを確認し、支援する方法を見つけ出します。
  • 研究概要

    PVT自己診断テストは、所要時間5分程度です。人体研究ラック(Human Research Facility: HRF)のノートパソコンとISSのコンピュータ(SSC)を用いて行います。まず、テスト前の質問に回答し、そしてPVT反応時間テストを実施します。するとパソコン画面にフィードバックが表示されます。ISS滞在中、4日おきに1日2回のPVT自己診断テストを実施します。また、睡眠時間の調整がある前には3日間連続でPVT自己診断テスト(1日2回)を実施し、睡眠時間の調整後にも、5日間連続でPVT自己診断テスト(1日2回)実施します。また船外活動(EVA)の前には2回続けて、終了後に1回実施します。

    実験テーマ名
    (略称)

    背骨の伸長:微小重力環境における脊椎伸長と脊椎伸長が座高に及ぼす影響
    (Spinal Elongation)

    参加宇宙飛行士

    野口宇宙飛行士

    研究目的

    微小重力環境に行った宇宙飛行士の脊椎が伸びた後の座高データを測定します。そして微小重力環境にいると座高が時間と共にどのように変化していくのかを調べます。

    研究概要

    宇宙飛行士の身長は宇宙滞在中に最大3%も伸びることが分かっています。宇宙船の座席は、身長と座高の伸びを見込んで、正しく調整できるようにしておく必要があります。座高の伸びに関するデータを将来の宇宙船の設計に使うことができれば、宇宙船の座席が正しく位置決めできるようになり、大きな加速衝撃を受けても十分な間隔が維持することができ、身体と座席が適切にフィットし、操縦画面が正しく確認できるようになります。また、これらのデータは宇宙服の設計や規格化にも役立ちます。実験は、スペースシャトルのコマンダー席、測定装置、カメラを使用します。座席は再突入時の設定にして、クッション、パラシュート、ヘッドレストを取り外します。コマンダー用座席に座った被験者(宇宙飛行士)の頭の先端から座席の一番上までの距離を測定し、測定の様子をカメラで撮影します。

    実験テーマ名
    (略称)

    制振装置付きトレッドミル(TVIS)用の改良型ハーネスの開発試験ミッション(DTO)
    (Harness)

    参加宇宙飛行士

    野口宇宙飛行士

    研究目的

    制振装置付きトレッドミル(TVIS)運動時に新しく開発した改良型ハーネスを用いて、TIVS運動中の宇宙飛行士の腰と肩にかかる負荷分散を測定します。また、既存のハーネスの負荷分散測定も行い、これまで使用してきたハーネスと比較します。

    研究概要

    TVISで運動を行った数名の宇宙飛行士から、身体を固定するハーネスとその付属クリップ/テザーにより、不快感や摩擦、擦り傷、皮膚の裂傷、瘢痕などの不快な症状があったことが報告されています。このことから、改良型のハーネスが考案されました。試験では、宇宙飛行士がこの改良型ハーネスには負荷センサーを取り付けます。宇宙飛行士は、負荷データの測定のほかにも、改良型ハーネスの使い心地や、フィット感、機能性についてのアンケートに回答します。

    実験テーマ名
    (略称)

    栄養状態の評価
    (Nutrition)

    参加宇宙飛行士

    若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)、古川宇宙飛行士

    研究目的

    長期宇宙滞在中に、宇宙飛行士の栄養状態がどのように変化するかを調べる総合的な実験です。

    研究概要

    前日の夜から8時間以上絶食して実施します。骨代謝、酸化的損傷、栄養状態の評価、ホルモン変化、に加えて、採尿、採血、栄養評価基準マーカーを行います。

    実験テーマ名
    (略称)

    ブラスレットM型加圧帯を用いた、心臓機能及び循環血流量変化の軌道上評価手法確立のための研究
    (Braslet)

    参加宇宙飛行士

    若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

    研究目的

    ブラスレット(Braslet)を使用した軌道上における心血管機能の評価手法を検証します。

    研究概要

    大腿上部を帯によって加圧し下肢を駆血する器具であるブラスレットM型加圧帯を使って、飛行中に、大腿部以下をうっ血させ、その後に加圧を解いた時の心血管の反応と、胸腔内圧を変化させた時の反応について、心循環器機能診断用の超音波診断装置で観察します。

    CSAの宇宙医学研究

    実験テーマ名
    (略称)

    宇宙環境下における身体:方向認知における内部・外部刺激の役割
    (BISE)

    参加宇宙飛行士

    若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

    研究目的

    長期間微小重力環境にいると方向の知覚がどのように変化するか、滞在中にどのように適応していくか、帰還後にどのように回復するかを、評価します。また、方向に関するさまざまな知覚の尺度が、飛行前と飛行後とではどう違うかを明らかにします。

    研究概要

    被験者となる宇宙飛行士はフード越しにノートパソコンの画面を見ながら試験をおこないます。ノートパソコンの画面上には回転するアルファベットが表示されます。その背景には、回転する文字に重なるように、さまざまに変わっていく画像が映し出されます。被験者はキーパッドのボタンを使ってその形が「p」に見えるか「d」に見えるかを答えていきます。被験者の答えから、「p」から「d」、「d」から「p」への転換が起きる時点が明らかになります。1回の試験(取り出し、セットアップ、試験実施、片付け、データダウンロード)の所要時間は約65分間です。

    ESAの宇宙医学研究

    実験テーマ名
    (略称)

    微小重力での空間認識能力の影響評価に関する実験
    (3D Space)

    参加宇宙飛行士

    若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

    研究目的

    周辺を確認したり、何か動作をする場合、まず周囲に置かれている物体の配置を正確に知覚する必要があります。人間は、感覚情報と経験に基づいて、自分がおかれた環境を心の中で思い描くことができます。これまでに実施した宇宙での空間実験から、3次元(3D)の物体および文字の垂直軸の心的回転および内的表象といった認知機能が、宇宙滞在中および帰還後に損なわれることが分かりました。この原因は微小重力にあると思われています。
    心に3Dの物体と環境を思い描くとき、重力がそれにどのように関わっているかを究明します。

    研究概要

    飛行前、宇宙滞在中、帰還直後に運動テスト(精神物理的な測定)を行います。被験者は頭にディスプレイを装着して、デジタイジングタブレット(digitizing tablet)を用いて、次の測定を行い、微小重力が3Dの知覚におよぼす影響を特定します。
    (1)2Dの映像および3Dの物体を用いた奥行きに関する知覚の測定、(2) 対象物を記憶させ、それを手書きおよび描画の空間成分および力学成分の測定、(3) 3Dの景色を用いた距離の知覚の測定。

    実験テーマ名
    (略称)

    携帯型測定装置を用いた、心疾患の機序を調査するためのモデル
    (CARD)

    参加宇宙飛行士

    若田宇宙飛行士(第18次/第19次/第20次長期滞在時)

    研究目的

    心血管系が長期宇宙滞在中にどのように適応するか、そして循環系が慢性的に拡張するかどうかを調査します。また、交感神経活性レベルと末梢血管の拡張との不整合があるかどうかを評価します。さらに、宇宙での24時間の心血管データと地上の不全患者のデータとを比較して、心不全のメカニズムに重力がどのような役割を果たしているかを検討します。

    研究概要

    ISS滞在開始から少なくとも3カ月経過後に実施します。測定時間は24時間ですので2日間要します(CARD実験中も、通常のISS運用作業を行うことができます)。心拍出量は肺機能システム(PFS)を用いて4時間ごとに測定します(4時間間隔で計5回測定する必要がある)。このほか、24時間採尿を実施します。宇宙飛行士は、日中は毎時、夜間は2時間ごとに上腕動脈を測定します。この測定ではホルターを装着します。2日目の朝は、まず心拍出量測定を実施してから、血液サンプル9 mLを2本採取します。交感神経活性を確認するため、最大20 mLの血液採取を予定しています。(若田宇宙飛行士の前に、この実験を実施したのはESAのトーマス・ライター宇宙飛行士(2006年)が最後です。)

    実験テーマ名
    (略称)

    微小重力下における身体動作の視覚的知覚
    (PASSAGES)

    参加宇宙飛行士

    野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士

    研究目的

    微小重力が視覚情報の解釈に影響するかどうかを検証します。宇宙飛行士が視覚情報に基づいて、物体の寸法や距離を見積もって行動するとき、その行動ができるかどうかをどのように判断しているかを調べます。

    研究概要

    実験では、宇宙飛行士がドアの隙間が描かれた画像を見て、肩をひねらずに通過できるかどうかを見積もり、口頭で解答します。
    この実験のデータは、宇宙飛行中、視覚によって距離や寸法を見積もる場合の誤判断を防ぐために、作業環境に意図的な視覚情報を配備することによって、宇宙飛行士の作業環境を向上させる方法について提案するという観点からも重要な情報となります。

    (特に断りの無い限り、画像は出典:JAXA/NASA)

     
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