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宇宙医学

【重力とともに生きる】~宇宙飛行士との対話を通して健康について考える~古川宇宙飛行士との交信イベント開催レポート

最終更新日: 2011年9月22日
会場の様子 会場の様子

会場の様子(出典:JAXA)

9月14日、筑波宇宙センター(TKSC)にて、「【重力とともに生きる】~宇宙飛行士との対話を通して健康について考える~」を開催しました。

このイベントには、健康増進や介護に関わる以下の10団体に参加いただきました。(2011年5月から6月にかけて募集を実施)

  • 荒川ころばん体操推進リーダー
  • 医療法人 啓和会
  • うしくかっぱつ体操普及員
  • 学校法人中央学園 中央福祉医療専門学校
  • 慶友転倒骨折予防 医学センター
  • つくば市 いきいき運動教室
  • 特定非営利活動法人 高齢者運動器疾患研究所
  • 特定非営利活動法人 日本介護予防協会
  • 被災地健康運動支援情報ネットワーク 仙台みやぎ(UNDA)
  • 横浜市中区 保健活動推進員会

重力がない宇宙で長く生活をすると、体を支える骨や筋肉が弱くなるなど、地上の高齢者が抱えている問題と同じことが起こります。

それらの問題を軽減するために、宇宙飛行士が行うトレーニングや食事管理など、ISS長期滞在による医学的な知見が、高齢者の健康増進や転倒による寝たきりの予防に役立つことを紹介し、高齢者の介護や健康増進に役立ててもらうことを目的に今回のイベントを開催しました。

講演

イベントでは、まず初めに、宇宙医学の研究を通して得られた知見や、地上の生活と重力の関わりについて、JAXAにて宇宙医学の研究に努めるJAXA宇宙医学生物学研究室の大島博研究領域リーダー・主幹研究員と、国立障害者リハビリセンター自立支援局の中村耕三局長による講演を行いました。

大島主幹研究員による講演の様子

大島主幹研究員による講演の様子(出典:JAXA)

大島主幹研究員の講演では、日本の高齢社会の現状を説明し、今後は高齢者の自立が鍵であり、高齢者とISSに滞在する宇宙飛行士の共通の課題である「骨密度の低下」、「筋力・体力の衰え」、「体内リズムの乱れ」について、その対策を宇宙医学ではどのように取り組んでいるのかを紹介しました。

地球環境で進化したヒトの体は、1Gの重力に適した体の構造と機能を有しています。そのため、宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の体には、無重量環境下で生活することにより、急速な衰えが生じることがこれまでの宇宙医学研究により明らかになりました。骨量減少を例に挙げれば、宇宙飛行により大腿骨頚部の骨密度は1ヶ月あたり1.5%の減少、6ヶ月の宇宙滞在では9%という骨粗鬆症の約10倍の速さで減少することが判明しています。また、筋萎縮に関しても、長期宇宙滞在後では飛行前に比べ、-10~20%という度合いで筋萎縮変化が生じることが明らかになり、地上の寝たきりの2日分、高齢者の筋萎縮の半年分に相当する筋肉の衰えが、宇宙では毎日生じているのです。こうした骨量減少、筋萎縮を防ぐ為、宇宙飛行士はビスフォスフォネートという薬を服用したり、毎日約2.5時間の運動を欠かさず行っています。

大島主幹研究員は、「宇宙医学は究極の予防医学」ととらえ、「宇宙医学の研究で得られた心身を健康に維持する技術を共有し、日々の生活に取り入れることが大切」と語り、「リスクに正しく対処すれば予防可能。健康長寿の啓発に役立てられれば」と研究にかける思いを語りました。

中村局長による講演の様子

中村局長による講演の様子(出典:JAXA)

国立障害者リハビリセンター自立支援局の中村局長は、「重力を学んで長寿を楽しむ ~ロコモ対策~」をテーマに講演しました。高齢社会となり、多くの人が長生きする時代となった今、自立して立ったり歩いたりすることが難しくなる運動器の障害が加齢とともに発生する可能性が高くなることを紹介しました。中村局長は、重力とともに生きていることを知り、人が立って歩くには、重力に負けない身体を維持することが大切であると説き、ロコモティブシンドローム(運動器の障害によって介護・介助が必要な状態、またそうなるリスクが高くなっている状態)への対策が重要であることを語りました。

交信イベント

古川宇宙飛行士との交信イベントの様子

古川宇宙飛行士との交信イベントの様子(出典:JAXA)

およそ20分間にわたり行われた古川宇宙飛行士との交信イベントでは、向井宇宙飛行士の進行のもと、各団体ごとに順番にステージに上がり、代表者がISSの古川宇宙飛行士に質問を投げかけました。

介護・健康増進に携わる団体ならではの質問が多く、宇宙での身体の変化や体調管理の秘訣、味覚や無重量の影響による食べ物の摂取方法の違いなど、医学的な質問が多く寄せられました。古川宇宙飛行士は、医師の観点および自らの実体験に基づき、ひとつひとつ質問に答えていきました。質問に回答する中で、宇宙での食生活について、地上では太陽光を浴びることでビタミンDが体内で活性化されますが、ISS内では太陽光を浴びることが難しいため、活性化ビタミンDをサプリメントで補っていることなど、宇宙特有の生活環境ついて紹介しました。

交信の最後に、古川宇宙飛行士は、参加者に対して、「健康に対する意識が高いと、身体的、精神的に活性化されると思います。結果として、社会全体が活性化して日本が元気になっていくと思います。皆様のような健康に対する意識が高い方がもっともっと増えていくことを願っています。ぜひ、これからも若い世代の方々と交流をして、ご指導をお願いしたい。」と激励のメッセージを送りました。

質疑応答の様子

質疑応答の様子(出典:JAXA)

交信イベント後には、講演を行った大島主幹研究員、中村局長および向井宇宙飛行士との質疑応答の時間が設けられ、会場に集まった参加者から活発に質問が寄せられました。質疑応答の後には、参加団体毎に活動紹介を行い、参加団体同士の交流を深めました。

本イベントで配布した健康増進に関するパンフレット「宇宙飛行士と高齢者の健康増進 『宇宙医学に学ぶ健康長寿』」は以下からダウンロードできます。

宇宙飛行士と高齢者の健康増進 [PDF: 2.3MB]
 
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