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国際宇宙ステーション(ISS)

ビスフォスフォネートによる骨量減少予防
 -宇宙医学の成果を高齢者の健康増進に役立てる-

大島 博
JAXA 宇宙生物医学研究室

運動する野口宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)

運動する野口宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)

微小重力環境における骨量減少と尿路結石の問題は、長期宇宙滞在で解決すべき最重要課題の1つに挙げられています。ISSでは、軌道上で1日に約2時間、週に6日間の運動を行っていますが、骨量減少や尿路結石のリスクを完全に予防できていません。

骨は体を支えカルシウムを貯めるなど、重要な働きをしています。地上では骨の内部において常に骨吸収と骨形成によるリモデリングが行われ、丈夫で折れない強度が維持されます。しかしながら無重力環境では骨への荷重刺激がなくなるため、骨吸収の亢進と骨形成の抑制が起こり、骨量は骨粗しょう症の約10 倍の速さで減少します。大腿骨頚部の骨量は1 か月あたり1.5% 減少するので、6 か月間の宇宙滞在で約10% 減少することになり、地球帰還後の回復には3 ~ 4 年かかります。カルシウムの出納(摂取量-排出量)は飛行前はゼロですが、飛行中は-250mg となり、尿路結石のリスクも高まります。

ビスフォスフォネート剤を手に持つ若田宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)

ビスフォスフォネート剤を手に持つ若田宇宙飛行士
宇宙での骨吸収を防ぐため、宇宙飛行士は週に一度ビスフォスフォネートを服用します(出典:JAXA/NASA)

宇宙飛行の骨量減少に対して、骨粗しょう症治療薬として10 年前から地上の医療で使用され、骨量増加と骨折発生率低下のエビデンスがある薬剤(ビスフォスフォネート剤)を毎週予防薬として服用し、骨量減少と尿路結石の予防効果をJAXA とNASA の共同研究として検証しています。データの解析によれば、カルシウムやビタミンDをきちんと摂取し、骨を刺激する運動を行い、必要最小限の薬剤を摂取すれば、宇宙飛行の骨量減少や尿路結石のリスクは軽減できる可能性があることが判りました。

高齢者の骨量は、加齢や女性ホルモンの減少により年間1 ~ 2% 減少し、若年成人の平均より 30% 減少すると骨粗しょう症になります。現在日本では1,300 万人が骨粗しょう症となり、70 代女性の2 人に1 人が該当し、年間16 万人が大腿骨頚部骨折手術を受け、社会復帰に約3 か月かか ります。医療費は一人150 万円を要し、骨折に伴う医療・介護費用は国全体で6,657 億円/ 年にも達する状況です。

「ユニティ」(第1結合部)にて、食料品を開封するISS第28次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)

「ユニティ」(第1結合部)にて、食料品を開封するISS第28次長期滞在クルー (出典:JAXA/NASA)

超高齢社会の中で暮らす人々の骨折を予防するためには、適度な食事・運動・薬剤活用の3つが重要です。食事は、栄養バランスの良い食事を心がけ、カルシウム(牛乳、小魚など)やビタミンD(魚やきのこ)を含む食材をしっかり食べましょう、適度な日光浴も大切です。運動は、骨への負荷を加える運動や筋力運動を毎日の生活の習慣に取り込むことが大切です。骨折リスクが高い場合、有効な薬剤を活用すれば骨折発生率が下がります。このように宇宙飛行から得られた成果を、高齢者の健康増進の啓発や子供の教育に活用することが期待されています。

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