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国際宇宙ステーション(ISS)

国際宇宙ステーションから、世界の海上交通を監視

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)

国際宇宙ステーションは地球を周回しながら眼下に見える地球の海を横切る個々の船舶を追跡しています。2010 年6 月以来、国際宇宙ステーションの「コロンバス」実験棟で欧州宇宙機関の実験として、数百マイル(キロメートル)の上空から世界の海上交通を監視する有効性を調べてきました。試験されている船舶検出システムは自動船舶識別装置(AIS)で、航空管制システムの海洋版です。

離脱したスペースシャトル「アトランティス号」から見た国際宇宙ステーション(2010 年5 月23 日)(出典:NASA)

特定の重量を超えるすべての貨物船と客船は、クラスA のAISトランスポンダ(応答装置)を搭載しなくてはなりません。AIS は、他の船舶や沿岸と、識別コード、位置、進路、速度、船舶要目、貨物及び航海情報を継続的に更新して送信しています。

AIS により、港湾当局と沿岸警備隊は海上交通を追跡できますが、このシステムは水平方向ではわずか40 マイル(74 キロメートル)しか到達しない超短波帯無線信号を使っています。これは、沿岸域内と船舶同士では有効ですが、外洋では有効ではなく、ほとんど追跡されないままになってしまいます。しかし、AIS 信号は、垂直方向にはより遠くへ届くため、宇宙での受信拠点として国際宇宙ステーションは理想的な場所であり、宇宙から全世界の海上交通を追跡する機能を提供しています。

ESA の一般支援技術プログラムの軌道上実証プロジェクトとしてのCOLAIS 実験を宇宙飛行士が実施しました。コロンバス実験棟は、もともとAIS 信号を捕捉する超短波アンテナを装備していませんでした。超短波アンテナは、2009 年11 月の船外活動で外部に設置され、2010 年5 月には、NORAIS 受信機とともにERNO-Box 制御計算機がコロンバスの内部に設置されました。ERNOBoxは、それ自身がドイツのAstrium 社が開発した新型の宇宙用コンピュータの軌道実証でした。Astrium 社は、全体的なシステム取りまとめの責任と、ERNO-Box と、AIS アンテナの取付機構GATOR を担当しました。アンテナはAMSAT 社によって製造されました。

国際宇宙ステーションは、毎日地球を15 周します。そこに搭載されたNORAIS 受信機を使用するCOLAISシステムの図には、地中海を通過している国際宇宙ステーションが示されています。その視野は(薄い)赤色で示され、検出された船舶は、船舶の記号で、地上のAIS 基地局は、建物マークとして表示されています。表示データは初期受信した2010 年6 月3 日の 0 時から5 時のものです。(出典:FFI)

2009 年11 月21 日にアトランティス号で二回目の船外活動を行うランドルフ・ブレスニク宇宙飛行士と、海上船舶の超短波信号の追跡実験に使用するためにコロンバス実験棟に取り付けられて展開されたAIS アンテナ(出典:NASA)

国際宇宙ステーションからAIS 受信可能範囲はおおよそ北緯68 度と南緯68 度の間です。システムは、2009 年11 月の船外活動でコロンバス実験棟の外側に取り付けられた2 式のアンテナと、コロンバス実験棟の内部に設置されたデータ中継装置(ERNO-Box)と受信機から構成されています。ノルウェーのFFI 社によって運営されているノルウェー版受信機(NORAIS)による2 回にわたる運用段階では、ドイツにあるESA コロンバス管制センターを経由して、ノルウェーのトロンハイムにある利用者支援運用センター(N-USOC)で計測データを受信し、大きな成功をおさめています。データは、ほぼ連続的にNORAIS によって受信され、すべての運用形態が非常にうまく機能しています。 NORAIS 受信機には、信号品質の分析のために生の信号を収集してデジタル化し、地上へ送信する標本抽出モードがあり、信号品質解析が信号喪失や混信が起こる海上交通過密地域において、システムの性能向上に、非常に役立つことがわかりました。


抽出データの22 秒間にわたるスペクトル。各受信は垂線として表示されます。約150の受信がデータから解読されます。(出典:FFI)

このデータは、信号環境の調査と地上での新しい受信技術の性能評価に使われます。数百種のデータが収集され、次世代受信機の新しい候補であるアルゴリズムで試されました。

分析の結果は非常に良好で、条件の良い日には22,000 を超える異なる船舶識別番号(海上移動業務識別、MMSI 番号)から、およそ400,000 の船舶位置報告が受信されました。2011 年10月のまとめ報告では、82,000 を超えるMMSI 番号からの船舶位置受信件数が1 億1000 万を超えました。

本来の技術研究項目に加えて、運用的な実験も研究に含まれました。ESA が利用者と協力して設定したSAT-AIS の要求を満たすには、ほぼ実時間のデータ転送が必須です。N-USOC の地上システム改良の後、10 日間にわたるほぼ実時間のデータは、期間中の収集データの80 パーセントが、1 時間以内の遅延で国際宇宙ステーションの通信網を通じて配信されました。2011 年11 月以降は、ほぼ即時のデータ配信が、通常の運用になりました。

ESA との技術開発契約の一部としてKongsberg Seatex 社によって開発された信号処理の新しい手法を現在試験中です。この開発では、標本データの調査と他のESA プロジェクトで進行中の研究からの恩恵を受けています。組込みソフトウェアは、国際宇宙ステーションの通信網を経由してNORAIS 受信機に送って検証され、2011 年1 月に起動されました。予備試験では、高性能で追跡が必要であるとESA が識別した交通量が多い地域で、処理性能が1.5 から2.0 倍に増加したことを示しています。

より良い処理手法の研究は続いています。NORAIS 受信機の二回目の性能向上は2012 年5 月に計画されています。開発の結果は、国際宇宙ステーション上のAIS 受信機の性能向上のみならず、宇宙仕様のAIS システム全般の設計や開発にも貢献するでしょう。

観測衛星のような他の衛星データとAIS 情報を統合すれば、海事監視を著しく改善し、海上交通の安全とセキュリティを高められます。2010 年7 月にほぼ極軌道に打上げられたノルウェーのAISSat-1 衛星用に設計された装置は、北の高緯度で同様に優れたデータを提供しています。NORAIS 受信機は、156 から163 メガヘルツまでの海事用帯域で作動するソフトウェア駆動の無線機設計です。宇宙用AIS へ割り当てるべく検討中の周波数にNORAIS 受信機が合わせられ、2010年10 月に米国沿岸警備隊に、提案された二つの周波数の国際的な実地試験にNORAIS は参加しました。

AIS で使用されている現在の二つの周波数より多くをカバーする主な理由は、宇宙用AIS に割り当てられている海事用帯域の中の新しいチャンネルの使用を実証する可能性があるためです。また、この試験方法により、海事用超短波帯の特性を占有性や干渉の面で実際に評価することができます。このソフトウェアを使うことで、軌道上で受信機設定が最適となり、新たな信号処理手法を地上から送ることも可能になります。

船舶識別システム(VIS)は、多くの欧州の実務団体にとって利益となる可能性があります。特に法執行(取締り、漁業規制、領海管理、海事安全と、海洋汚染調査や海難捜索救助や海賊規制を含む安全保障問題)において役立つでしょう。様々なサービス会社が既にコロンバス実験棟で継続的に収集されているVIS データの利用を求めています。

24 時間以内にNORAIS 受信機で受信した船舶の位置のレポート(2010 年6 月29 日)(出典:FFI)


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