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実験の背景


人間が宇宙に長時間滞在し活動することは、今では宇宙飛行士の通常のミッションとなりました。宇宙は微小重力状態であると同時に多くの放射線にさらされる環境でもあります。遥か銀河空間から飛来する超高エネルギーの宇宙線、太陽が放出する陽子を中心とした粒子線あるいは地球磁場が捕捉した粒子線など、高エネルギーの放射線が飛び交う空間です(図1)。

これらの宇宙放射線のなかで特に重粒子線は細胞への影響が強く、それらが人体にどのような影響を及ぼすのか、どのような防護の方法があるのか、さらに人類が宇宙空間で子孫を残すことは可能かといった問題は、将来人類が宇宙空間でより幅広く活動するために非常に重要な課題です。

実験の目的


哺乳動物細胞への宇宙環境の影響を調べるためには、マウスなどの小動物を実際にISSで長期間飼育する方法が良いのですが、手間や機材等の面から容易ではありません。そこで森田隆先生と吉田佳世先生はマウスの万能細胞の一種であるES細胞(胚性幹細胞)を用いて細胞への影響を調べようとしています。

ES細胞は正常な染色体をもつため染色体異常を解析するのに便利です。また発生初期の胚細胞に似てさまざまな細胞に分化する能力を持っています。細胞の初期発生過程を調べることや、胚を偽妊娠マウスの子宮に移植しマウス個体を作製することもES細胞では可能です(図2)。この研究結果はヒトでは実施困難な発生や次世代への影響の推定にも有効な手段になると考えられます。宇宙での長期滞在にともなう健康へのリスクの予想、安全基準の策定および防御方法の開発に役立てることが目的です。

画像:図1 宇宙放射線の起源

図1 宇宙放射線の起源



図2 マウスES細胞とマイクロインジェクションによる発生(地上作業)
マウスES細胞
GFP遺伝子の導入により緑色に光る
ES細胞の8細胞期胚へのマイクロインジェクション
キメラ桑実胚
胚盤胞
将来胎児となる内部細胞塊にES細胞が存在する
透明帯からのハッチング(ふ化;卵から胚が出ること)
子宮内ではこの後、胚が着床する
偽妊娠マウスへの移植によるキメラマウスの出産

図2 マウスES細胞とマイクロインジェクションによる発生(地上作業)

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