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最終更新日:2014年12月18日

宇宙実験サクッと解説:植物の首振り運動の重力応答依存性

宇宙実験調査団のピカルが物知りハカセに突撃取材しました。
植物の首振り運動について徹底的に解剖します。

物知りハカセ

ピカル

ピカル:

宇宙実験でおなじみの東北大の高橋先生がまた新しい宇宙実験を行うと聞いて勉強しに 来ました。

ハカセ:

その通り。CsPINsHydroTropiで植物の実験を実施してきた東北大の高橋先生が、今度は植物の首振り運動の研究を宇宙で行うんじゃ。

ピカル:

CsPINsとHydroTropiはキュウリを使った研究だったよね。キュウリの根っこが重力や水のある方向を感じて、曲がっていたのを覚えているよ。今回は何の植物を使うの?

ハカセ:

アサガオとイネじゃ。植物の首振り運動と重力の関係を研究するんじゃ。

ピカル:

うーん、、、首振り運動って何だろう?

ハカセ:

首振り運動から解説しよう。茎や根などの器官が首(先端部)を振り、くるくる回しながら伸長する運動のことじゃ。ピカルはアサガオのツル巻きは知っているかの?


動画1.アサガオのツル巻き運動(出典:東北大学)
(地上で15分おきに撮影した静止画をつなげて成長の様子を観察できるようにしました。首振り運動1周あたり80〜100分です。実際の動きの約5000倍速で見ています。)

ピカル:

昔、夏休みの自由研究でアサガオのツルの巻き方を勉強したことがあるよ。

ハカセ:

実はアサガオのツル巻きも首振り運動の一種なんじゃ。植物は太陽の光をいっぱい浴びるために上の方に延びていかないといけないのは分かるかの。アサガオのようなツル性植物は、ツルが支柱に巻き付いてよじ登ることによって、上の方に延びていくことができるんじゃ。そのとき、ツルは先端を大きく振りながら支柱に巻き付くんじゃ。よく見ると、植物が首を振って支柱を探しているようにも見えるのう。

ピカル:

本当だ!なるほど。それで首振り運動って言うんだね。でも、宇宙実験ではイネも使うみたいだけど、イネも首振り運動をするの?イネが支柱に巻き付いているのは見たことがないけどなあ。

ハカセ:

アサガオのようなツル性植物は「よじ登る」ために、比較的大きく首振りをしてるんじゃ。じゃからピカルにも簡単に観察できるんじゃ。じゃが、この運動はほかの植物にもみられる共通の現象なんじゃ。例えば、風のないところで観察していると、ナズナの茎は約90分で1回転することが知られておるし、インゲンの茎は約120分で1回転することが報告されておる。イネは支柱に巻き付くほど大きく首振りはしないんじゃが、やっぱり首を振っておるんじゃよ。

ピカル:

へ〜知らなかったなぁ!最初に発見した人、すごいですね〜。

ハカセ:

発見したのは、有名なチャールズ・ダーウィン親子、時代は19世紀のことじゃ。彼らはそれに加えて、重力が首振り運動に関係するかどうかを考えたのじゃが、その結論は出せなかったんじゃ。

ピカル:

ダーウィンは進化論で有名だけど、こんな発見もしていたんですね!

ハカセ:

高橋先生はこの現象に魅かれて研究をしてきたんじゃが、その中である発見をしたんじゃ。先生の研究室には、重力を感じることができない不思議な植物がたくさんあるんじゃが、あるとき重力を感じることができないアサガオを研究していたら、そのアサガオは首振り運動もできなくなっているということを発見したんじゃ。これは、「植物が重力を感じること」が「首振り運動に必要である」という、重要な証拠となったんじゃ。

ピカル:

うう〜重力を感じることができない不思議な植物・・・気になります。でも、ハカセ、分かってきましたよ!だから今回、宇宙で植物を観察して、重力が首振り運動に本当に必要なものなのか、観察するってことなんですね!

ハカセ:

その通りじゃ。ただし、宇宙で首振り運動を観察するのは、これが初めてではないんじゃ。

ピカル:

これまでに宇宙で実験されたことがあるの?

ハカセ:

そうじゃ。じゃが、これまでに結論はでなかったんじゃ。

ピカル:

その話を聞かせてください!

ハカセ:

これまでにヒマワリとシロイヌナズナで実験されたことがあるんじゃ。ヒマワリは、首振り運動は小さくなるものの、宇宙空間でも首振りをしておったようじゃ。ヒマワリはどうやら、重力がなくても首振り運動をすることができるし、重力がある地上では首振り運動が大きくなるようじゃ。

ピカル:

あれ?じゃあ、首振り運動にやっぱり重力は必要ないってこと?

ハカセ:

結論は言えないんじゃ。なぜなら、地上で大きく育てたヒマワリを宇宙に持って行ったからのう。地上で重力を覚えて、すでに首振り運動が始まっていたのかもしれん。

ピカル:

宇宙で実験したシロイヌナズナはどうなったの?

ハカセ:

シロイヌナズナでも決着がつかなかったんじゃ。このときはシロイヌナズナを種のときから宇宙で生育させて、首振り運動を観察しようとしたんじゃ。じゃが、装置がうまく働かず1個体しか生育しなかった。それと、茎ではなくて側枝 (中心の茎から側方へ出る枝) の結果しか得られなかったんじゃ。科学的に結論付けるには十分な証拠を集めることができなかったということじゃな。

ピカル:

そっか。たくさんデータを集めないと確かなことは言えないんだね。

ハカセ:

その通りじゃ。今回の宇宙実験ではアサガオを24粒、イネを48粒、宇宙に持っていくんじゃ。アサガオとイネのどちらも、その半分は重力を感じられない突然変異体を持っていくんじゃ。突然変異体を宇宙に持って行って首振り運動を観察するのは宇宙実験では初めての試みじゃ。4回に分けて水やりをして、順番に回旋転頭運動を観察していくんじゃ。

ピカル:

いっぱいデータが取れそうですね!

ハカセ:

そうじゃ。一回だけの結果では、偶然の結果かどうか、判断できないからのう。

ピカル:

よく分かりました!ハカセ、最後に今回の宇宙実験は何に役立つのか教えてください!

ハカセ:

高橋先生は今回の宇宙実験で、ダーウィンの研究以来の謎だった、首振り運動に本当に重力が必要か、決着をつけようと考えておる。このメカニズムが解明されれば、植物と重力の関係が更に深く理解されて、宇宙空間で植物を育成するための技術開発が更に進むと考えられるんじゃ。

ピカル:

イネとアサガオの首振り運動が宇宙でどのように変わるのか、とても楽しみです。ハカセ、今日は面白い話をありがとうございました!

Written By Chiaki Yamazaki and Sachiko Yano


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