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実験内容


1回目実験(遺伝子発現実験)

2014年4月、スペースX(エックス)社のドラゴン補給船運用3号機で国際宇宙ステーションへ打ち上げられ、同年5月に回収されました。

「きぼう」に設置された細胞培養装置でラット由来筋(管)細胞(L6細胞)を培養します。細胞を筋委縮へと導く物質を阻害する薬剤を培地に添加して、その後引き続き培養することにより、薬剤の効果を確認します。筋線維の長さ、太さ、遺伝子発現の変化を詳しく調べます。

また、培養容器の培養面を、硬さの異なるシリコン剤でコーティングし、マウス間葉系幹細胞(MSC細胞)を培養します。「実験の背景と目的」で記載した仮説に基づき、これらの培養面での細胞の反応を調べることで、重力感知のメカニズムを解明します。

遺伝子を保存できるRNAlater剤で処理して冷凍回収します。

地上に帰還後、薬剤の効果を遺伝子発現解析により評価します。

2回目、3回目実験(蛍光顕微鏡観察実験)

2回目実験は、2014年9月以降、スペースX社のドラゴン補給船運用4号機で、国際宇宙ステーションへの打ち上げと回収を行います。3回目実験は、2015年7月以降、同7号機で打ち上げを行います。試料としては、2回目実験では、マウス間葉系幹細胞(MSC細胞)、アフリカツメガエル腎臓由来細胞(A6細胞)を、3回目実験では、ラット由来筋(管)細胞(L6細胞)およびMSC細胞を用います。

蛍光発光するタンパク質を組み込んだ細胞を用いて、接着斑やミトコンドリアを「きぼう」の顕微鏡で観察します(図4)。微小重力環境下ではストレス線維や細胞膜の張力が変化すると同時に、ミトコンドリアが線維から浮いた状態となり、ミトコンドリア自身がこれを異常であると関知して、断片化が進むことを予想しており、実際の画像として観察できることを期待しています。

また、培養容器の培養面を硬さの異なるシリコン剤で処理したもので細胞を培養し、細胞の遊走状態(動き)を顕微鏡で観察します。細胞が宇宙でどのように動くかはまだ誰も見ていませんが、細胞の動きは接着斑やストレス線維の動態と深く関連していますので、宇宙で細胞の動きが変化することを予想しています。細胞の動きは組織の新陳代謝や傷の修復に直接関係していますので、宇宙での人体機能への影響を知る上で、とても重要な課題なのです。硬さの違う足場の上での細胞の動きを観察することで、一回目の実験で評価する細胞重力感知機構との関係も評価します。

培養した細胞をパラフォルムアルデヒドで化学固定して冷蔵回収します。軌道上で得られた観察画像と、地上に回収した化学固定細胞から、細胞の接着状態、細胞内器官、細胞の運動への重力の影響を評価します。

図4 細胞と培養面との接着部分(接着斑)(左)とミトコンドリア(右)の蛍光観察画像の例

図5 Cell Mechanosensing実験(2回目)で、9月28日〜10月1日にかけてアフリカツメガエル腎臓由来細胞(A6細胞)の蛍光顕微鏡観察を実施しました

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