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宇宙実験サクッと解説:ハイブリッドトレーニング編


筋いしゅく?ハイブリッドトレニーングって?
宇宙実験調査団のピカルがハイブリッドトレーニング実験を大調査!
実験提案者の志波直人先生とも仲良しの物知りハカセに聞きました。

物知りハカセ

ピカル

ピカル:

ハカセ、さっそくですが、志波先生の研究チームが開発した「ハイブリッドトレーニング」ってどんなものなんですか?宇宙飛行士にやってもらう、って聞いたんですけど。

ハカセ:

そうじゃなあ、まず、「ハイブリッド」っていう言葉を知っているかの?

ピカル:

お父さんが、「うちはハイブリッド車で経済的だ!」て、いっつも自慢してます。

ハカセ:

わはは、車でよく聞く言葉じゃの。「ハイブリッド」とは、ことなる物を組みあわせて一つの目的をはたすことをいうんじゃ。 ハイブリッド車の場合は、ガソリンで動くエンジンと、電気で動くモーターを組み合わせて動力としとるんじゃな。両方のいいところをつかって、効率よく車を動かしてるんじゃ。

ピカル:

へぇー。じゃあ、「ハイブリッドトレーニング」も、何かの組み合わせのトレーニングなんですか?

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ハカセ:

そうじゃ。「電気刺激」と「ひじやひざの曲げ伸ばし運動」の組合せじゃ。

ピカル:

えーっ、電気刺激?

ハカセ:

電気と聞くとちょっと怖いと思うかもしれんが、「電気刺激」は、よく病院のリハビリテーションでも使われているのと同じようなものだから安心なものじゃ。

ピカル:

具体的にはどんな風に電気刺激を与えるんですか?

ハカセ:

まず、ひじやひざに、電極をくっつけてるんじゃ。これは全く痛くない。そしてひじやひざを曲げたり伸ばしたりする時に、動かそうとする筋肉の反対側の筋肉に、電極を介して自動的に「電気刺激」をあたえるんじゃ。そうすると、自分で動かして縮まろうとしている筋肉にたいして、重さのようなものを与えることになるんじゃよ。

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ピカル:

スポーツクラブで運動する人が、おもりを付けて強度アップしてるみたいなことですか?

ハカセ:

まさにそういうことじゃ。この電気刺激だと、ちょっとの刺激で、痛くなく、みじかい時間で筋肉が効率よくきたえられるんじゃ。志波先生の研究チームは、こうしたところから「ハイブリッドトレーニング」と名付けたんじゃ。これは、自分で運動をとめれば電気刺激もとまるから、安全でもあるんじゃよ。地上では、お年寄りなどにも利用されていて、たくさん実績があるトレーニングなんじゃ。

ピカル:

でも、どうして宇宙飛行士につかってもらうんですか?

ハカセ:

うーむ、ピカルは、長いあいだ寝たきりになった患者さんが、普通に歩くことができるようになるまでに、しばらく訓練をしないといけないのは知っておるかの?

ピカル:

ぼく、昔、足の骨をひどく折っちゃって、病院で長いことベッドでねていなさい、っていわれたことがあります。退院後、すぐには立ったり、歩いたりできなくってびっくりしちゃいました。先生におそわって、しばらく足を動かす訓練をしたら、また歩けるようになりました。

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ハカセ:

そうじゃ。骨を早くなおすために、重力をかけないようにしたんじゃよ。ヒトは、地上の重力にたいして、立っている姿勢を保つための筋肉があるんじゃが、それが、ずっと寝ていたために、どんどん小さく細くなって、その働きが弱くなってしまったんじゃな。これを、「筋いしゅく」というんじゃ。骨がくっつくのを待つためにしかたないんじゃが、それは筋肉には良くないんじゃな。

ピカル:

「筋いしゅく」かぁ・・・ そうか、わかった!宇宙には重力がないから、宇宙飛行士はぼくと同じような状態になっちゃうんですね!

ハカセ:

うむ、ピカルはさすがじゃの。無重力を勉強してきただけのことはあるもんじゃ。いくら頑丈な宇宙飛行士でも、長い間、わしらに普段かかっている重力がないところで生活しておると、筋肉の働きが弱くなってしまうんじゃな。

ピカル:

あんなにたくましい宇宙飛行士でも、そんな身体になっちゃうんですね。でも、毎日、宇宙ステーションの中のお仕事が忙しいから、それじゃぁ困りますよね。地上に帰ってきてからも、リハビリに時間がかかりそうだし・・・

写真  写真:より大きな写真へ

ハカセ:

そうならないように、宇宙飛行士は、毎日、宇宙ステーションの中で2時間近くも運動しているんじゃ。ピカルも、宇宙飛行士が、スポーツクラブにあるような機械で、トレーニングしているのをテレビでみたことがあるじゃろ?

ピカル:

あります。でも、大変そうだなぁ。狭いところに、大きな機械を出してきて、毎日2時間も・・・

ハカセ:

そこで、「ハイブリッドトレーニング」がおすすめなんじゃ。装置は、小型で宇宙飛行士に取りつけるだけで運動ができるから、どこででも気軽にトレーニングができるんじゃ。そうじゃなぁ、ピカルが大人になって、宇宙飛行士が月や火星に向けて旅行する時がきたら、簡単に持ち運びができる運動機器として、さらに役にたつじゃろうな。

それに、有酸素運動という運動を長く続ける力をきたえるこれまでの運動機械を使うときに「ハイブリッドトレーニング」装置をとりつければ、ちがう種類の効果の運動がいっぺんにできることも期待できるんじゃ。今回は、いわば、最初のお試し実験で、宇宙でも地上と同じように使えることを、まずは確認してみる予定じゃ。

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ピカル:

そっかぁ。そんな便利なトレーニング方法があるなら、宇宙飛行士にたくさん使ってもらいたいですね!そして、その効果が、地上でいろんな患者さんやお年寄りや、元気な人たちにも役に立っていることが、もっと伝わるといいですよね。ぼくも、みんなに、「ハイブリッドトレーニング」の宣伝をしてきます!

ハカセ:

まるで、ピカルの自慢話みたいじゃの。


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