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宇宙環境を利用した植物の重力応答反応機構
および姿勢制御機構の解明

代表研究者

上田 純一
Junichi UEDA

大阪府立大学 名誉教授
専門: 植物生理化学

TOPICS:

【宇宙実験サクッと解説:Auxin Transport編】
宇宙実験調査団のピカルが物知りハカセに突撃取材しました。Auxin Transport実験を徹底的に解剖します。

【宇宙実験リポート】
「きぼう」での実験の状況をお伝えします。


実験の概要
植物の成長と姿勢の制御には、植物ホルモンと呼ばれている化学物質が大きな役割を果たしています。この植物ホルモンの一種であるオーキシンは、ダーウィン達が「植物が光の方向に成長方向を変える」ことを示した一連の研究から発見され、茎の先端から下の方向に移動する特性を持っています。
本実験では、重力がオーキシンの働きに及ぼす影響を調べるため、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟に、エンドウ(双子葉植物)とトウモロコシ(単子葉植物)の種子を打上げ、人工重力を発生させることのできる栽培装置を利用し、光の無い条件で3日間あるいは4日間育てます。地上の重力環境で育てた植物と比較して研究するため、重力は0G(微小重力)と1G(地上と同じ重力)に設定しました。
宇宙で発芽した幼植物体(芽生え)を凍結あるいは薬品で固定(化学固定)して地上に持ち帰り、植物の成長に関係する遺伝子やタンパク質の変化を調べることで、重力の有無がオーキシンの働きにどの様な影響を及ぼすかを明らかにできると考えられます。植物の成長方向を制御できると、斜面や壁面を利用した農作物の生産や、地球とは異なる重力レベルの宇宙空間や惑星基地における効率的な栽培技術の開発につながることが期待され、将来の月・火星探査での食糧確保に貢献できます。

実験の背景
1998年にスペースシャトル(STS-95)で実施された植物実験では、宇宙で育てた植物の茎切片にオーキシンを投与し、解析を行いました。その結果、オーキシンは、重力の有無に関わらず、茎の先端方向から根の方向に一方向に輸送されること(極性輸送)が確かめられました。
さらに、植物を重力や光の影響を受けない環境で成長させたことで「自発的形態形成」と呼ばれる形態形成が起き、本来の植物は地上における形態とは異なる方向に成長することが分かりました。

実験の目的
本実験の目的は、オーキシンの能動的な輸送能力に着目して、宇宙の微小重力環境下におけるオーキシンの輸送および蓄積、またそれらを制御している遺伝子およびタンパク質分子がどのように細胞内で分布しているかについて解析することです。この解析により、植物の「自発的形態形成」を理解し、姿勢制御のメカニズムを解き明かすことを目指しています。

実験内容
ISSで、エンドウおよびトウモロコシの乾燥種子に給水して生育させ、3日間あるいは4日間育てた幼植物体を実験に使います。育った幼植物体はオーキシンの輸送をつかさどるPINタンパク質の分布をみるために化学固定・冷蔵、一部はオーキシンの輸送能力を解析する為に外部からオーキシン投与を行った上で凍結して地上に回収します。残った全ての幼植物体も凍結して地上に回収します。

ココがポイント!
地上における植物の姿勢制御のメカニズムを解明するために重要な知見を与えてくれる自発的形態形成機構を解明するためには、ISSの微小重力環境を用いることは必須の条件となります。微小重力環境における植物のオーキシン輸送能力や、輸送を制御するタンパク質分子の細胞内分布、それを制御している遺伝子の発現を明らかにすることによって、植物の姿勢制御機構を解き明かすことができます。こうして得られたさまざまな知見は、惑星探査における植物栽培、地上での植物工場等での植物の生産性の向上に繋がります。



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