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Last UpDate 2010年4月7日

このページでは、JAXAと鹿児島大学で結成されたNeuro Rad研究チームの射場作業(注1)の一部を紹介します。 打ち上げの直前にスペースシャトルに搭載する細胞と、使用する器具の準備を2010年3月18日から4月にかけて実施しました。 この準備作業はスペースシャトルが打ち上がるまで続きます(注2)。

注1 射場作業とはアメリカNASAケネディ宇宙センターで、シャトル打ち上げ前の準備作業をすることです。
注2 本実験は、STS131(19A)で、2010年4月5日に無事、打ち上げられました。

【細胞の準備】
細胞は凍結状態でつくばから輸送しました。 まず凍った細胞を解凍し、培養液(培地)を加えて増やしていきます。 作業はカビや細菌などの混入を防ぐためにクリーンベンチという装置の中で実施します。 鹿児島大学の馬嶋教授、犬童先生とJAXAの石岡教授が、増やした細胞を手際よく新しい培地に移していきます(植え継ぎ)。 細胞の状態を確認するために顕微鏡で観察して写真を記録したり、細胞の数を計測したりする作業が毎日続きます。

細胞の植え継ぎ

細胞数の計測

細胞を宇宙用の容器に注入します。

細胞をまぜた溶液のボトルを氷の中に一時的に置いています。 日本ではあまり見かけない黒い丸型の氷入れ。

作業をしている犬童先生の後ろで、カメラ目線の馬嶋先生。

顕微鏡で細胞を確認する合間にもにこやかです。

細胞を顕微鏡で観察する様子。

泡の入っていない状態の良い容器を選ぶ様子。

【ハードウエアの準備】
宇宙実験用に設計されたハードウエアをスペースシャトルに搭載する形態に組み立てます。

保湿バッグの準備作業。 培地(栄養を含む培養液)が過度に蒸発してしまわないよう、サンプル近くに保湿バッグを設置します。

細胞の入った容器を宇宙用のケージ(枠)に組み込んだ状態。

ハードウエアの組み立て作業

ハードウエアの確認作業

ハードウエアの組み立て

フライトハードウエアに識別ラベルを貼る作業

【実験室の準備】
アメリカのフロリダ州、ケネディ宇宙センターの敷地内にSpace Station Processing Facility (SSPF)というビルがあります。 このビルの中に実験室があり、機材を持ち込んでスペースシャトルに搭載するサンプルとハードウエアの準備を実施しました。 まず、つくばから輸送した機材がケネディ宇宙センターに到着しました。 内容を確認し、実験室へ移動しました。 アメリカで購入しておいてもらったピペットやフラスコなどの必要消耗品もそろっていることを確認しました。 NASAから借りた機材の仕様・性能チェックもしました。

ハードウエアが入った貨物のコンテナ。 はるばる日本からフロリダまでやってきました。

ドライアイスの中から冷凍輸送品を取り出す様子。 溶けたりせずに、無事に到着しました。 冷凍品など温度の要求がある荷物の輸送は、特別な管理が必要です。手順に沿って、確実に作業をしていきます。

ケネディ宇宙センター内の実験室。 3mx5m程の実験室に炭酸ガスインキュベータ(炭酸ガス濃度と温度を制御する装置)、クリーンベンチ、冷凍冷蔵庫など準備に必要な機材が揃っています。

フラスコに入れた細胞を炭酸ガスインキュベータで培養する様子

炭酸ガスインキュベータの炭酸ガス濃度の確認をしました。

実験室の使い勝手も日本と少し違います。 装置の温度設定も自分たちで納得がいくまで調整します。 時差ボケもつらいけど、アメリカでの作業、しっかりがんばります!

【おまけ】
ケネディスペースセンターの構内にいた野生の豚。 フロリダでは毎日が自然のサファリパークの中にいるようです。 その大自然の中で宇宙へ送り込む装置の準備をしているわけです。 細胞という私たちの代理人さん、宇宙とはどんなところなのか、しっかり見てきてくださいね。 では、いってらっしゃ〜い。

写真:谷垣文章/文:矢野幸子(宇宙環境利用センター)
ケネディ宇宙センターの射場でSTS131(19A)の打上を待つ


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