半導体素子は、コンピュータや携帯電話など、様々な製品に使用されています。ナノテンプレートは、これら電子機器向けの半導体素子を生み出す「もと」になります。
宇宙で作ったナノテンプレートは、地上に比べて良質であるため、そこから生み出される半導体も良質=高性能なものが得られると考えられています。また、日本がトップシェアを誇る青色発光ダイオードへの利用や、近年の通信の大容量化に必要な増幅素子としての利用も期待されます。
現在の水準で作られる半導体素子より、さらに高性能化を実現するナノテンプレートによって、コンピュータの演算速度を飛躍的にアップさせたり、処理時間の短縮による省エネ化が期待されています。
コンピュータの能力が上がれば、例えば、産業分野で重要な役割を担うコンピュータシミュレーションの高度化を図ることで、地震や津波などの自然災害の予知や被害予測、地球規模の気象変動や各地の天気予報の精度向上、製品製造のスピードアップやコストダウンなど、様々な分野に応用することができます。
半導体製品の製造は、製造効率を上げる事が難しく(歩留まりがよくなく)、それが理由で製造コストがなかなか削減できない課題があります。宇宙で得られた2次元ナノテンプレートからは、地上に比べて欠陥が少ない優れた特性を持つ半導体製造用基板を量産できるため、半導体製造効率を大幅に向上し、製造コストの大幅削減が期待できます。これは、各半導体製品の低価格化をもたらすことのみならず、日本の次世代半導体の産業競争力の向上にもつながります。
発光ダイオード(LED)は電流を流すと光を出す半導体素子のことです。効率がよく耐久年数も長いため、最近では信号機に発光ダイオードが使われる割合が多くなっています。
さらに街中の大型ディスプレイや電車の行き先表示板、家庭用電球など、化合物半導体素子が生活の中に浸透しています。ナノテンプレート実験は、このような身近なところへの大きな貢献が期待できます。
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