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「きぼう」船内実験室 第2期利用後半期間 生命科学分野候補テーマ

1.課題名
生体自己組織化現象を介する重力効果の増幅発現

2.研究代表者
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科
教授 最上善広

3.研究概要
 生物対流による時空間構造の形成は重力が介在する自己組織化現象の例である。負の重力走性を持つ微生物は、常に水面下に集合することで密度の逆転を生じ、微生物が塊状となって落下し始める。これにより始めは均一だった微生物集団内に密度の違いが生じ、それらはしだいに組織化され、巨視的なパターンが出現する。重力の効果が、遊泳行動による動的不安定性によって拡大する。
 このような「重力の増幅作用」は生物対流パターンが重力の変動に対して鋭敏に反応することを予測させる。本研究では、宇宙微小重力において遠心加重力によって作られる変動重力場に対し、生物対流による時空間構造の示す挙動を詳細に解析する。
 これらをもとに,微小重力下で顕在化する、重力と表面張力の競合等の物理的要因の効果も踏まえ、時空間構造の発現に至る重力の増幅作用の機構を明らかする。その上で,重力が生体システムとの協同作用を通じて新しい能力を創出できるという新しい概念を提示したい。
 増幅作用の実証実験として、個々の細胞の重力依存性行動と、それらの集団が形成する生物対流パターン発現における重力閾値の比較を行う。そのために細胞培養装置内の重力発生部を利用し、同時にふたつの閾値を計測する実験システムを提案する。パターン形成における重力閾値が細胞個々の遊泳行動の閾値よりも小さいならば、協同現象を通じて重力効果の増幅がなされているものと考えられる。

【動画】クラミドモナスの生物対流パターンが示すダイナミックな挙動

 
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