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「きぼう」での実験

平成24年度「きぼう」利用テーマ募集 一般区分の選定結果

最終更新日:2012年10月29日

※日付は日本時間

平成24年度「きぼう」利用テーマ募集のうち、一般募集区分の候補テーマを選定いたしました。


JAXAでは、「生命科学分野」「宇宙医学分野」および「物質・物理科学分野」について、これまでの成果とこれからの国際的な研究動向を踏まえた上で、2020年頃までの利用の重点化を図るため、「きぼう」利用シナリオを策定いたしました。平成24年度「きぼう」利用テーマ募集では、従来からの「一般募集」(自由な発想に基づく提案募集)に加え、本シナリオの目標を実現する「重点課題募集」区分を新たに設け、平成24年4月から6月にかけて募集いたしました。

今回、一般募集区分として、72件の応募提案から、外部委員会等での選考評価を経て、以下の5テーマ(生命科学2件、宇宙医学1件、物質・物理科学1件、技術開発1件)を候補として選定しました。今後、半年程度をかけて、実施内容を具体化し、宇宙実験を実施するテーマを最終確定する予定です。

なお、重点課題募集区分につきましては、11月中旬に選定、公表の予定です。


平成24年度「きぼう」利用テーマ募集 候補テーマ
テーマ名 代表研究者
宇宙居住の安全・安心を保証する「きぼう」船内における微生物モニタリング(生命科学分野) 大阪大学大学院 那須正夫
無重力や寝たきりによる筋萎縮の予防に有効なバイオ素材の探索(生命科学分野) 徳島大学大学院 二川健
無重力での視力変化等に影響する頭蓋内圧の簡便な評価法の確立(宇宙医学分野) 日本大学 岩崎賢一
静電浮遊法を用いた鉄鋼精錬プロセスの基礎研究 ~高温融体の熱物性と界面現象~(物質・物理科学分野) 学習院大学 渡邉匡人
(上記2テーマを統合し、1つの実験として実施できることを条件として採択) 宇宙航空研究開発機構
白澤洋次
西堀俊幸
分野 生命科学分野
テーマ名 宇宙居住の安全・安心を保証する「きぼう」船内における微生物モニタリング
代表研究者 大阪大学大学院 那須正夫
テーマ概要 微生物はあらゆる環境に生息する。宇宙居住においても例外ではなく、宇宙飛行士の感染など健康に対するリスクとなり、また電子機器や配線等の腐食や劣化などトラブルの原因にもなる。そのため、今後の長期宇宙居住に向け、「きぼう」船内の微生物を適切に評価し、安全・安心を保証するシステムが求められる。本テーマでは、「きぼう」船内の細菌を独自の視点から継続的にモニタリングし、最新の方法を用いて評価するとともに、長期宇宙居住のための基盤的情報を蓄積する。
推薦理由 ISS内の微生物を継続的にモニタリングし、その動態を明らかにすることは、「きぼう」船内の微生物学的な環境管理に必須であり、ライフサポートにかかせない重要な研究であることから、実施の意義が高い。本研究で確立される簡便・高精度な微生物サンプリング法は、宇宙などの閉鎖環境下のみならず、地上の医薬品製造や食品製造等、幅広い分野における衛生微生物学的な安心・安全の実現への寄与も期待される。提案者は、 これまでのきぼう船内での微生物サンプリング実験に基づき、国際的なモニタリング手法の標準化等を提唱しており、日本が世界に貢献できる分野である。
分野 生命科学分野
テーマ名 無重力や寝たきりによる筋萎縮の予防に有効なバイオ素材の探索
代表研究者 徳島大学大学院 二川健
テーマ概要 長期間宇宙に滞在すると筋肉を使わないため筋肉組織の退化(廃用性筋萎縮)が急速に進むが、運動以外有効な対処法はまだ開発されていない。また、寝たきりにも有用な筋萎縮予防に効果のある食材や薬剤の開発が望まれている。提案者は、これまでの宇宙実験により、微小重力環境で筋萎縮に至る原因となる酵素を世界で初めて見出すとともに、その酵素の阻害剤の効果を検証した。本テーマは、これらの知見に基づき、無重力や寝たきりによって生じる廃用性筋萎縮に対する治療剤・予防剤の開発を目指して、筋萎縮阻害効果がある各種物質の有用性を、筋細胞を用いて明らかにする研究である。
推薦理由 本研究は、宇宙空間での筋萎縮の予防効果を実証するものであり、科学的・医学的意義が高い。さらに、本研究で得られる知見は、地上での寝たきり状態での筋萎縮の予防・治療法の開発につながるなど大きな波及効果が期待される。アジアとの共同研究を提案しており、国際的な広がりが期待できる。
分野 宇宙医学分野
テーマ名 無重力での視力変化等に影響する頭蓋内圧の簡便な評価法の確立
代表研究者 日本大学 岩崎賢一
テーマ概要 宇宙飛行士の健康管理上の課題として、視力にも影響が生じる「視神経乳頭浮腫」が注目されている。宇宙飛行の初期には体液が上半身に多く集まり頭蓋骨内部の圧力が上昇するために発症すると考えられているが、因果関係は解明されていない。頭蓋内圧は、脳や腰に針を刺して脳脊髄圧を測定する手法が一般的だが、針などを刺さずに非侵襲的に測定する方法は確立されていない。そこで本研究では、血圧と脳血量速度の波形変化などをもとに、頭蓋内圧の変化と頭蓋内圧値の推定を飛行前後に行ない、さらに飛行中の顔面浮腫や視力検査などの結果と比較する。
推薦理由 頭蓋内圧は、現在、頭や腰に針を刺して脳脊髄圧を測定しているが、侵襲的な方法のため被験者への負担が大きい。針などを刺さない非侵襲的な方法で簡単に頭蓋内圧を推定できる方法が確立できれば、宇宙飛行士の視神経の部分的腫れ(乳頭浮腫)に伴う視力障害の予防に役立てることが期待できる。
分野 物質・物理科学分野
テーマ名 静電浮遊法を用いた鉄鋼精錬プロセスの基礎研究 ~高温融体の熱物性と界面現象~
代表研究者 学習院大学 渡邉匡人
テーマ概要 社会経済の発展を支える基盤素材である鉄鋼材料の製造プロセスにおいて、その精錬過程で生じるスラグ(主に鉄以外の金属酸化物)と溶けた鉄鋼が接している部分(界面)で起こる現象が、特性劣化や精錬効率の低下の原因となっている。しかし、酸化物と金属融体の界面を直接観察することや界面で発生する張力等の物性値の測定は地上では実験が困難であり、現象の基礎的理解が進んでいない。本テーマは静電浮遊炉を用いて、界面で起こる現象の理解や物性値の測定を行う実験提案である。
推薦理由 スラグ・鉄鋼融体などの酸化物・金属融体の界面現象の観察や物性値は、容器からの不純物混入や溶融時の熱対流のない、「きぼう」の静電浮遊炉を利用することにより初めて測定できるものであり、得られる成果は地上における鉄鋼材料プロセス制御への重要な情報を提供するなど、産業への還元が期待できる。また、国際協力体制などのコミュニティが確立している。実験実現性、リソース対効果も高い。
分野 技術開発分野(下記2テーマを統合し、1つの実験として実施できることを条件として採択)
テーマ名① 次世代ソーラーセイルに向けた高機能薄膜デバイスの宇宙環境影響評価
代表研究者① 宇宙航空研究開発機構 白澤洋次
テーマ概要① 薄膜太陽電池、薄膜集電回路などに代表される高機能薄膜デバイスは、次世代惑星間航行技術として日本が世界に先駆けて研究開発を進めている「ソーラー電力セイル」の構成材料である。実証機「IKAROS」の成果に加え、これらの材料を宇宙空間に曝露した後に地上に回収可能な「きぼう」実験の特徴を活かし、材料、構造、光学、電気等の特性変化について独立した評価を行うことで、耐宇宙環境性のある機能性薄膜材料の開発に貢献する実験提案である。
テーマ名② 軽量かつ高精度な反射鏡の宇宙環境影響評価
代表研究者② 宇宙航空研究開発機構 西堀俊幸
テーマ概要② サブミリ波から可視光まで対応できる軽量かつ高精度な反射鏡が実現できれば、軽量化が求められる次世代の天文衛星や地球観測衛星のアンテナや望遠鏡の材料として採用可能となる。しかし、放射線環境、真空環境、原子状酸素、太陽光入射による熱サイクル環境での変形やクラック等、現在定量的に評価されていない性能や寿命に関係する課題がある。宇宙空間に曝露した実験試料を持ち帰り、劣化状況の詳細な検査や劣化メカニズムの解析を行い、複合的な宇宙環境に長期に曝された場合の影響を確認する研究である。
推薦理由 高機能薄膜デバイス、炭素複合材料による反射鏡は、いずれも将来の宇宙探査、天文観測、地球観測等の宇宙技術の鍵となる材料であり、重要な基礎データ収集により、将来の宇宙ミッションの多様化や技術的ブレークスルーをもたらすと期待され、実験試料を持ち帰ることができる「きぼう」での実験の必要性が高い。
 
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