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「きぼう」での実験

文化・人文社会科学利用
(Education Payload Observation: EPO)

最終更新日:2014年07月25日

第2期実施テーマ

オーロラオーバルSpiral top ※2011年5月に実施

【提案代表者】
逢坂卓郎 筑波大学教授

【関連ページ】

【成果】
線と面による光の多様な構成

ビデオとカメラで、はっきりとした光の線と光の帯が撮影できました。

  1. 回転させることで、点と線の2種類の光源と、その点滅プログラムによって円錐斜面にカラフルな光の帯と線が浮き上がった。(図1、4)
  2. ほとんど回転させずにまっすぐ進めると、オーロラのような光の帯が現れた。(図2)
  3. ひねりを加えると、光の線と帯によりスパイラル状の光跡が現れた。その様は糸と布による織物のようであった。(図3)
  4. 高速回転させながらまっすぐ進めると、光跡は空間に白く輝く円筒状のものとなった。(図5)

この実験の目的のひとつは重力の呪縛から解放されようと考察と試みを繰り返してきた近代彫刻への実験的提案であり、同時に抽象絵画の巨匠であるフォンタナとカンディンスキーへのオマージュでもありました。実験1と2で写真に記録された際立った光跡は、いずれも線と面による光の多様な構成でした。

また、高速回転と並進から得られた、光る円筒の写真(図5)は、その存在感の強さから光が物質であると意識できるような予想外の印象を持ちました。

写真

図1

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図2

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図3

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図4

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図5


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宇宙で抹茶を点てる ※2011年9月に実施

【提案代表者】
河口洋一郎 東京大学

【関連ページ】

【成果】

図2 「きぼう」で古川宇宙飛行士が点てた抹茶

無重力下での水と泡の様相が確認できました。水はねっとりと容器壁面にまとわりつき、泡はその水の内部に、大きな泡も小さな泡も同時に存在し、消えることなくそのまま残り続けることが確認できました。その泡は、地上と異なり、1個1個に存在感があり、金属的な非常に硬い印象がありました。泡はさらに球面的レンズ効果を見せ、掻き回しても弾けずに、撹拌をやめるとその動きもぴたりと止まりました。得られた映像は、流体シミュレーション研究の一助となります。日本ならではの茶の湯文化ならびに世界観というものを、宇宙から世界に発信することができました。また、茶筅(ちゃせん)器や容器の改良、芸術的な道具として価値を高めて発展させることができました。


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発光する墨流し水球絵画-II“生命、光、海” ※2011年9月に実施

【提案代表者】
逢坂卓郎 筑波大学

【関連ページ】

【成果】
生命と天体の誕生を表すような水球絵画の完成

生理食塩水で作った水球に海ほたるの発光物質を注入した時、水流の中に青く光る無数の点が放出され、それが水流の中に広がっていく様を撮影しました。それは生命の種が海水中に発光しながら広がっていくような造形となりました。

そこへ、更に蛍光塗料を注入し、紫外線を照射して現れた模様は幻想的でした(図1)。塗料と食塩水が水球の北極点と言える頂点を中心に、まるで木星表面のような模様の渦を作り、ゆっくりと回転しました。表面張力の違う2種類の液体に発光物が加わり、混ざり合って安定する過程で見せた繊細な渦模様です。この模様は木星や土星のような巨大なガス惑星に見られるものと非常に似ています。無重力の中で流体やガス状の物質が混入する過程が目に見える形で現れたと言えます。

2番目の実験は、予め撹拌した海水の球へ3種類の蛍光顔料を流し、流体自身が、流れのままにドローウィングを描いて行くというものです(図2)。紫外線による発光は異なる色の光を重ねて新たな色をつくる加法混合を生み、顔料を重ねれば重ねるほど白色に輝き出します。米国のドナルド・ペティット宇宙飛行士が支援という形で参加しましたが、積極的に意見を述べ、JAXAの人文・社会科学利用ミッションに於ける芸術実験を賞賛していた事が印象に残りました。宇宙に於ける芸術の試みは科学者の視点を共有することが可能であると言えます。

写真

図1

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図2

今回の実験では、天体や宇宙自体の誕生する様を見ているような水球絵画を得ることができました。このアートにより、以下が期待されます。

  • 宇宙飛行士が宇宙から地球を見ているという体験をアートを通して地上の人が感じ取れること。
  • 未知数である無重力という環境に人間がおかれた場合に、水平線や地平線など、人間が物や世界を把握する基準がなくなり、地球上で作り上げてきたライフスタイルや世界観を見直すきっかけになること。

また、流体力学の可視化というような解釈も可能であり、そのような意味で、この記録映像は高い教育効果があります。

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「赤色」でつなぐ宇宙と伝統文化 ※2012年2月に実施

【提案代表者】
村山裕三 同志社大学

【関連ページ】

【成果】
地上では起こりえない桜の動きによる新たな自然観の創造

地上で観察できる天然の花吹雪は、上から下へ、あるいは風の流れに沿い斜め下方向へ、ほとんどの花びらが統率され規則正しく飛ぶことが多いです。それゆえに伝統工芸の世界にも画の決まりやスタイルが存在しています。今回、本実験で得られたおよそ1000枚の絹の花びらが無重力下で自由に運動する様を記録した3D動画は、これまでの伝統的な画の決まりや美しいとされる常識を見事に打ち砕いてしまいました。

例えば、今回取得された映像の中で、画面の下から上に進む花びらと、上から下に進む花びらが画面中央で激しく正面衝突し、勢い良く弾け飛び、観察者の眼前に飛び込んでくる様や、また回転せず進行方向に平行な姿勢のまま、まるでサーフボードのように空間を滑るように直線運動する花びらの姿は地上の現象では考えられません。またそれぞれ別の意思をもつ生物のように感じられたことが不思議です。総じて、これらの現象をただ動画で観察するだけではなく、3D映像で疑似体験できる事も含め、科学技術の上に成り立ったまったく新たな自然観を狙い通り、あるいはそれ以上に得ることができました。

また、取得された映像に写った花びら以外の部分である「空気」の存在を強く感じることができた事は意外でした。この余白部分にモティーフ自体と同程度の存在を感じることができるのも、余白を大切にし、意味を与える我々日本人ならではの感性であり、本実験を「きぼう」日本実験棟で実施した事に意味を感じます。無機質な国際宇宙ステーション(ISS)内に、桜吹雪という日本独特の文化を持ち込んだことにより、宇宙を使った文化活動に新たな座標軸を与えました。

今後、世界的に有名な音楽家であるツトム・ヤマシタのステージ・コスチュームを製作、発表することにより、宇宙に散る桜をテーマにした新たな伝統産業のデザインを世界に向けてアピールします。

写真

「赤色」で使用した12色の花びら

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「きぼう」日本実験棟での「赤色」実施の様子


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宇宙楽器 Space Musical Instruments ※2012年2月に実施

【提案代表者】
小野綾子 東北大学

【関連ページ】

【成果】

写真

植物のように生き生きとして見える無重力下のフラクタルベル

①聴覚や視覚で感じ取れる地上と宇宙の違いを確認し、記録することが出来ました。聴覚的な特徴としては、内容物や振動板の浮遊を確認しながら繊細に操作することで、地上で行う時より金属同士のぶつかり合う音が綺麗に鳴り、かつ残響音が持続することを確認しました。視覚的な特徴としては、フラクタルベルは重力下ではあまり美しいとは言えないつぶれた形ですが、無重力では生き生きとした植物のように軸に対して均衡のとれた美しい形態に変化し、操作した際にも無重力ならではの複雑な動きを観察できました。

②宇宙楽器が、宇宙飛行士の精神の安定や余暇の楽しみ等の助けとなり得るか推し量ることも本テーマ意義のひとつですが、音楽ファイルとの共演は演奏者のインスピレーションを掻き立てるのか、この実験を行った宇宙飛行士は手順書の範囲を大きく超えて繰り返し演奏し、また実験後に今回の実験に対する好意的な感想を述べました。演奏においては緩急によって音の強弱をつけ、扱うごとに演奏技術を上達させました。この結果は、宇宙楽器は充分に精神の安定や余暇の楽しみ等の助けと成り得る可能性を示しています。

視覚・聴覚および自然の木の香りや触感で楽しませることで、癒しの効果や精神の安定の補助となることが期待されます。狭い閉鎖空間での単調な長期滞在において刺激や話のきっかけとなり、コミュニケーションの活性化につながります。またそこから、さらに新しいアイデアに富んだ宇宙楽器が生まれる可能性があります。

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宇宙でのびやかに暮らそうプロジェクト
~無重力下における心理・動作からみた宇宙建築の居室規模計画に関する基礎研究~
 ※2012年10月に実施

【提案代表者】
西出和彦 東京大学

【関連ページ】

【成果】
宇宙と地上で異なる空間感覚

「空間の容積の大きさをどう感じるか」について、地上ではほぼ正確に評価されたのに対して、宇宙では保管室が大きく(実験室が小さく)評価されました。空間の印象については、宇宙では飛行士2人共、実験室、保管室ともに「spacious(ゆったりしている)」「not oppressive(圧迫感がない)」「calming(落ち着きがある)」「comfortable(心地よさがある)」と評価しました。一方、地上では、実験室が「のびのびしている」「ゆったりしている」「圧迫感がない」「心地よさがない」と評価され、保管室が「のびのびしていない」「ゆったりしていない」「圧迫感がある」「落ち着きがある」と評価されました。分析の結果、宇宙では、大きな実験室と小さな保管室をより近い質の空間として捉えていると考えられました。

人と人のコミュニケーションにおいて、同じボール投げという作業を通じた比較から、宇宙では地上よりも近い距離となり、互いの体の軸をそろえて顔を向き合わせることが重要であり、共同作業に関する会話を多くする傾向がみられました。したがって、宇宙では地上よりも、コミュニケーションをより注意深くおこなう必要があると考えられました。

引続き関連データを蓄積して研究することで、深く幅広い視点から、地上・宇宙での新たな空間デザインの設計につなげることが期待されます。

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「宙音」The Space Voice of Open mind
-オブジェ「宙音」が発する音は、宇宙ではどのように感じるか-
 ※2012年4月に実施

【提案代表者】
福嶋敬恭 京都市立芸術大学

【関連ページ】

【成果】
実施結果並びに得られた結果

  • 「宙音」プロジェクト-「宇宙」というリアリティーあふれる現場での実施が、直に宇宙飛行士自身の感性を奥深くゆさぶり、心に刻まれ、心に作用し、宇宙と全ての心が一体となりシンクロナイズがスムーズに行われた事は、実施後のアンケートによる回答の内容がよく示しています。アンケートの回答による「宙音」の大方の印象は、「快適・リラックス・ピースフル・未来を想起する・地球の自然や過去の記憶・宇宙の声」等の言葉で語られており、あらゆるものが人工的な環境であるISS の内部では大変重要な意味を持っています。この貴重な意見は、将来の長期間・長距離にわたる宇宙活動で人の精神面を支える上で、大きく期待できるものです。
  • 本プロジェクトは、オブジェ「宙音」を使って発音させる一連の操作の中で自分自身の手を通して自然発生的に生まれてくる音に精神を集中させ、これによってゆさぶられ湧き上がってくる感性と心(精神)との対話を軸に、より純粋に自己に向かい合い、自分の本来の姿を見出す事に繋げる事に最大の意味を持っていますが、微小重力環境では地上に比べて発音をコントロールする事が多少難しくなり、上手く大きな音を作り出す行為に終始集中してしまい、音を作り出すという操作方法だけが重点になってしまったと考えられます。このため、「宙音」プロジェクトの本来の目的から少しずれた印象に見受けられました。結果として、1名の飛行士の回答は、他のすべての飛行士のアンケートの回答と少し異なった印象でした。
  • アンケートの中で、「将来の宇宙進出への展開に於いて、又、極限の環境下で、人の感性に直接働きかける「宙音」が有意義なものであり、将来展望への可能性を持ちうるか」という質問に我々は特に注目しました。回答者のほぼ全員が意義あるものとして捉えています。この結果は、今後、実施されるであろう、長期にわたる有人宇宙飛行(惑星間宇宙飛行)に於ける “心”のサポートについての研究を行うきっかけとしたいと思います。

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お地球見 ※2013年2月に実施

【提案代表者】
安藤孝浩

【関連ページ】

【成果】
水の彫刻に映るいくつもの地球、感性への刺激

  • ミッション前半は容器の地球側の円形窓が撮影範囲内にすべて収まる様にワイド(広角)で撮影しました。この時に撮影された映像には微小重力下でスプレーから噴霧される水が霧から徐々に凝集し水球に成長して行く様子が映っています。その過程において大小様々な水球に映る地球の姿は、例えるならば万華鏡のように幾つものミニ地球を見ることが出来ました。
  • ミッション中盤では容器の地球側の円形窓にズームして窓に付着した水滴に映る地球の姿を拡大し撮影しました。この時に実施パイロットであるクリス・ハドフィールド氏(カナダ)は2つの水滴に映る2つの地球を自発的に1つの水滴に合体させて、1つの地球にするという映像を撮影しました。この事は水に映る地球を単に観測するに留まらない人間的な感性を伺う事が出来ました。平安期のお月見には酒杯に映る月を飲むということが万葉集で詠われています。身近な場所に自然を取り込み自然との一体感を味わう感覚とクリス氏の行為は類似しています。
  • ミッション後半は再びワイド(広角)で撮影し、容器を激しく叩く等して溜まった水に動きを与え、さらにエアーポンプの送風により多様に水を歪ませました。この水の姿はアメーバの様で、複数の水球が合体したり、あるいは激しく分裂したりといった動きが見て取れました。この動きに連動して地球の姿もまた激しく変容し、もはや丸い地球の姿は原形をとどめず、青い地球の色がグニャグニャと伸縮していました。微小重力下における水の振る舞いは宇宙ならではの水の彫刻とでも言えます。地上では重力により叶わぬ立体的な造形が、多様に観察出来ました。
  • お地球見は青い地球と生命の源である水が織り成す、潤いの芸術です。人々は感性を刺激されて生 命的な記憶を呼び起し、感動や驚きを得ます。生命を育む地球の青き大気と生命が発祥した水の輝きを見ることは私達の心に潤沢な栄養を与えてくれます。
  • また、今後の宇宙開発は火星探査などを考えても船内など密閉された空間での滞在は長期化すると 考えられます。クルーの心の問題を考えた時、より人間的な営みを追求する必要に迫られますが、本研究を含めた宇宙芸術で得られた実績と経験が貢献出来ます。

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関連映像

SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第187号
お地球見について紹介しています。
SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第157号
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SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第133号
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