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質問&回答集(Q&A)

宇宙医学に関するQ&A

宇宙環境が人体や精神に与える影響にはどんな物がありますか

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宇宙空間への移動による体液の移動とBody Massの変化 [(株)メディカルレビュー社 「THE BONE」 VOL.11 NO.2 1997.6より]

写真:地上と宇宙での毛利宇宙飛行士の顔の違い

体液移動による顔のむくみ

宇宙における代表的な生体変化には以下のものがあります。

  • 心循環器への影響
  • 骨カルシウムへの影響
  • 筋肉への影響
  • 宇宙酔い
  • 血液・免疫への影響
  • 宇宙放射線による影響
  • 閉鎖環境による精神心理面への影響

これらについては宇宙医学のページの「宇宙空間における生体変化 」で詳しく紹介しています。

最終更新日:2003年03月13日

宇宙に行くと背が伸びるって本当ですか

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宇宙で背骨の変化を調べる向井宇宙飛行士

宇宙飛行士が宇宙に行くと、数センチ(だいたい1~2センチ)身長が伸びる、という現象がおこります。中には7センチ以上伸びた人もいます。

これは脊髄の椎間板(軟骨)が宇宙の重力から解き放たれた環境で伸びるからです。ひとつの椎間板あたり、約1ミリ伸びます。

しかし地球に帰還するとまた重力の影響でもとに戻ります。

最終更新日:2003年03月13日

宇宙酔いとはどのようなものですか

宇宙酔いとは、重量のほとんどない宇宙空間に入ってから、早い人で数分ないし数時間以内に吐き気や嘔吐を起こす状態のことです。

また、これ以外にも頭痛がしたり、頭が重い、虚脱感、倦怠感や食欲不振などの症状を含むことも多いようです。通常3日から5日以内には症状が消失します。

宇宙酔いの原因は次のように考えられています。

人は地上では自分の体の位置や動きの状態を、体内の3つの感覚器官の情報によって判断しています。ひとつは目からの情報、ふたつ目は耳の奥の方にある前庭器官で感じる情報、3つ目は筋肉や腱などにある深部感覚という筋肉の張り方やそこへの圧迫などの情報です。人間はこれら3つの情報を脳で組合わせて自分の位置や状況を判断しています。地上では目からの情報以外の前庭器官と深部感覚の情報は重力があって初めて正確な情報となるのですが、宇宙では重力がないため脳の中は混乱してしまいます。

これが宇宙酔いの原因としてもっとも有力視されています。しかし、宇宙酔いの原因は完全には解明されておらず、依然仮説の範囲で論じられています。

例えば、宇宙では血液が頭の方へ集ってくるので脳の中の圧力が高くなり、脳が少しむくみ気味になるためこのような症状が起るともいわれています。これもある程度、宇宙酔いの原因に関係しているようです。

最終更新日:2003年03月13日

船酔いしにくい人は宇宙へ行っても宇宙酔いしないのでしょうか

これまでのNASAの経験や研究から船酔いなど地上の乗り物酔いと宇宙酔いとの相関はないと言われています。

船酔いになりにくいからと言って宇宙酔いになりにくいとは言えませんし、その逆に船酔いしやすい人が宇宙酔いになりやすいともいえません。

最終更新日:2003年03月13日

STS-95ミッションで向井さんの下の句を考えている時に疑問がわいたのですが、何度も宙返りをしてめまいが起こらないのですか

写真:より大きな写真へ

スペースシャトルの天井の窓から地球を眺める向井宇宙飛行士(STS-95)

無重量状態では、加速度や平行感覚などを感じる器官(三半規管)に対して上下感覚の“もと”である「重力」という情報が与えられなくなります。

宙返りをすると回転している感覚は感じ取れるのに、上下が分からない状態となり、感じ取られた情報の混乱(空間識の混乱)を生じます。

このことは宇宙飛行のはじめの頃には重要な問題となり、人によってはいわゆる「宇宙酔い」の症状が表れてきます。また仮に嘔気や嘔吐などの「宇宙酔い」の症状が無くても、めまい、錯覚などが生じる可能性があります。

しかし、これらの混乱状態は比較的早期(数日程度)でとりあえずの適応状態となり、宇宙酔いの症状は消失し、環境にかなり「慣れた」状態となります。

向井宇宙飛行士が上の句を読んだ7日目には、宇宙酔いの症状は消失し、環境にかなり「慣れた」状態になっていました。

このように「慣れた」状態で宙返りを行った場合には、嘔気を催すような「めまい」は起きにくいと考えられます。

ただし、宙返りを宇宙飛行の初期(上記の混乱期)に行えば、「宇宙酔い」の誘発刺激となり、嘔気嘔吐を生じる可能性がありますので、宇宙飛行初期においては、これらの運動は控えた方が良いでしょう。

最終更新日:2003年03月13日

宇宙医学とはどのような学問ですか

写真:より大きな写真へ

下半身陰圧負荷実験中の向井宇宙飛行士(STS-65)

人類長年の夢であった有人宇宙飛行は1961年のガガーリンの飛行に始まり、アポロ11号のアームストロングらによる人類初の月面調査など、多くの足跡を宇宙に残してきました。

宇宙に行った人もスペースシャトルによる飛行だけでも延べ600名以上になります。滞在期間もロシアの場合は1年以上の経験者もいるなど、長期におよんできています。

そして今わたしたちは国際宇宙ステーション時代へ突入しました。これまで宇宙へと旅立ったのは宇宙飛行士と呼ばれるごく限られた人たちでしたが、近い将来には誰もが宇宙に行くことができ、宇宙観光旅行、そして一般の人たちの宇宙での生活ができるようになるに違いありません。

しかし宇宙で安全に生活できるようになるまでには解決しなければならない問題がたくさんあります。 それらを医学的に可能にする学問が宇宙医学です。宇宙医学の対象として以下があげられます。

  • 心循環器への影響
  • 骨カルシウムへの影響
  • 筋肉への影響
  • 宇宙酔い
  • 血液・免疫への影響
  • 宇宙放射線による影響
  • 閉鎖環境による精神心理面への影響等

宇宙医学には基礎医学研究を進めるひとつの手法として微小重力環境を利用することを指す場合と、パイロットや宇宙飛行士の飛行前後と飛行中の健康管理をするための航空宇宙医学を指す場合があります。基礎医学としての宇宙医学と臨床医学としての宇宙医学と理解してもよいかもしれません。

後者の担当医師は航空宇宙医師(Flight Surgeon)と呼ばれます。

最終更新日:2003年03月13日

これから宇宙医学を学びたい

宇宙医学に関した研究は、通常の基礎医学の研究の延長のことが多く、日本でもいろいろな施設で実施されています。

またInternational Space Universityという組織があり、恒久キャンパスがフランスにあり、それに加えて10週間の夏期プログラムがあります。

宇宙飛行士の健康管理をおこなう航空宇宙医学のためには、

  • 軍医の場合は米国、フランス、ロシアなどで航空宇宙医学を履修するコースがあります。
  • 民間の医師に対しては米国に卒後教育のコースがふたつあります。ライト兄弟にちなんだ名前のオハイオ州ライト州立大学とテキサス州立大学ガルベストン校です。
  • 日本の学会としては「日本宇宙航空環境医学会」があります。

最終更新日:2003年10月01日
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