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国際宇宙ステーションの利用補給フライト ULF2(STS-126)

ミッション結果の要約

最終更新日:2008年12月5日

実施状況および結果

物資の移送作業が進むレオナルド内部の様子(飛行5日目)

物資の移送作業が進むレオナルド内部の様子(飛行5日目)

スペースシャトル「エンデバー号」によるSTS-126(ULF2)ミッションでは、2009年中頃から国際宇宙ステーション(ISS)の滞在クルーを6名体制にするために必要な、水再生システム(Water Recovery System: WRS)やトイレ、ギャレー(調理設備)などの機材を「レオナルド」(多目的補給モジュール1)に搭載して運搬しました。

ミッション中は、運搬した機材の移送のほか、移送した機材の整備も行われ、WRSの健全性を確認するために、生成した水のサンプル採取なども行われました。

SARJの修復作業の様子(飛行7日目)

SARJの修復作業の様子(飛行7日目)

また、2007年秋頃に異常が確認されて以来、対応策が検討されてきたISS右舷側の太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)について、修復作業が今回のミッション中の船外活動で行われました。修復作業後の動作試験では良好に機能しましたが、今後も引き続き状態が監視される予定です。

「きぼう」日本実験棟に関する作業も行われました。「きぼう」の組立て第3便目となる、2J/Aミッションに向けて、2J/Aミッションで打ち上げる船外実験プラットフォームを結合するための機構である、船内実験室外部の船外実験プラットフォーム結合機構(Exposed Facility Berthing Mechanism: EFBM)の点検が行われました。

EFBMの点検の様子(飛行8日目)

EFBMの点検の様子(飛行8日目)

宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)のISSへの到着に向け、船内保管室外壁へのHTV用近傍通信システム(Proximity Communication System: PROX) GPSアンテナ1基の設置や、HTVを把持するISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の先端のエンドエフェクタ(把持手)を潤滑する作業、HTVがドッキングする際に、その様子を映すためのTVカメラをISS外部へ設置する作業なども行われました。

ミッション中、ISS長期滞在クルー1名の交替も行われました。また、1998年11月20日に、「ザーリャ」(基本機能モジュール)を打ち上げて建設が開始されたISSは、ミッション期間中の2008年11月20日に10周年を迎えました。

ミッション概要

打上げと帰還

写真:エンデバー号の打上げ

エンデバー号の打上げ

エンデバー号は、NASAケネディ宇宙センター(KSC)から、米国東部標準時間11月14日午後7時55分(日本時間11月15日午前9時55分)に打ち上げられました。

エンデバー号は、飛行17日目の米国中部標準時間11月30日午後3時25分(同12月1日午前6時25分)に、エドワーズ空軍基地内のNASAドライデン飛行研究センター(DFRC)に着陸し、15日と20時間30分にわたるミッションを終えました。当初は、KSCへの着陸を予定していましたが、KSCの気象条件が着陸に適さなかったため、エドワーズ空軍基地への着陸となりました。

打上げと帰還
打上げ日時 2008年11月14日午後7時55分(米国東部標準時間)
2008年11月15日午前9時55分(日本時間)
着陸日時 2008年11月30日午後3時25分(米国中部標準時間)
2008年12月1日午前6時25分(日本時間)
詳細(全て米国中部標準時間)
  • 主脚接地時刻:11月30日午後3時25分06秒
  • 前輪接地時刻:11月30日午後3時25分21秒
  • 完全停止時刻:11月30日午後3時26分03秒
飛行時間 15日20時間30分

打上げの詳細はステータスレポート#01を、着陸の詳細はステータスレポート#33をご覧ください。

ISSへのドッキングと分離

ISSへのドッキングと分離
ドッキング日時 2008年11月16日午後4時01分(米国中部標準時間)
2008年11月17日午前7時01分(日本時間)
分離日時 2008年11月28日午前8時47分(米国中部標準時間)
2008年11月28日午後11時47分(日本時間)
結合時間 11日16時間46分

ドッキングの詳細はステータスレポート#05を、分離の詳細はステータスレポート#29をご覧ください。

船外活動

第4回船外活動で「きぼう」関連作業を行うスティーブ・ボーエン宇宙飛行士

第4回船外活動で「きぼう」関連作業を行うスティーブ・ボーエン宇宙飛行士

今回のミッションでは、4回の船外活動が計26時間41分にわたって行われました。ISSの組立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算118回、計745時間35分の船外活動を実施したことになります。(参考:ISS建設のための船外活動

船外活動では、右舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)の修復作業や、使用済みの窒素タンク(Nitrogen Tank Assembly: NTA)の回収、フレックス・ホース・ロータリ・カプラ(Flex Hose Rotary Coupler: FHRC)の保管のほか、「きぼう」関連の作業や宇宙ステーション補給機(HTV)の到着に備えた作業などが行われました。SARJの修復作業は、4回すべての船外活動で行われ、クリーニング、潤滑作業、トランドル・ベアリング(Trundle Bearing Assembly: TBA)の交換作業が実施され、無事完了しました。

「きぼう」関連の作業としては、「きぼう」船内実験室の船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)の点検のため、EFBMの多層断熱材(Multi-Layered Insulation: MLI)カバーの取外し・再設置が行われたほか、EFBMの点検時に、船外実験プラットフォームを構造的に結合するための伸展ボルト4本のうち1本が収納されなかったため、これを手動で収納する作業が第4回船外活動で実施されました。

第1回船外活動(飛行5日目)
開始日時 2008年11月18日午後0時09分(米国中部標準時間)
2008年11月19日午前3時09分(日本時間)
終了日時 2008年11月18日午後7時01分(米国中部標準時間)
2008年11月19日午前10時01分(日本時間)
作業時間 6時間52分
作業者 ハイディマリー・ステファニション・パイパー、スティーブ・ボーエン両宇宙飛行士
主要作業内容
  • 使用済みの窒素タンク(NTA)の回収
  • フレックス・ホース・ロータリ・カプラ(FHRC)の船外保管プラットフォーム3(External Stowage Platform: ESP-3)への保管
  • 「きぼう」船内実験室の船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)の多層断熱材(MLI)カバー取外し
  • 右舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)関連の作業

詳細は第1回船外活動ステータスレポート#09をご覧ください。

第2回船外活動(飛行7日目)
開始日時 2008年11月20日午前11時58分(米国中部標準時間)
2008年11月21日午前2時58分(日本時間)
終了日時 2008年11月20日午後6時43分(米国中部標準時間)
2008年11月21日午前9時43分(日本時間)
作業時間 6時間45分
作業者 ハイディマリー・ステファニション・パイパー、ロバート・キンブロー両宇宙飛行士
主要作業内容
  • CETA(Crew and Equipment Translation Aid)カートの移設
  • ISSのロボットアーム(SSRMS)のエンドエフェクタ(把持手)の潤滑作業
  • 右舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)関連の作業

詳細は第2回船外活動ステータスレポート#13をご覧ください。

第3回船外活動(飛行9日目)
開始日時 2008年11月22日午後0時01分(米国中部標準時間)
2008年11月23日午前3時01分(日本時間)
終了日時 2008年11月22日午後6時58分(米国中部標準時間)
2008年11月23日午前9時58分(日本時間)
作業時間 6時間57分
作業者 ハイディマリー・ステファニション・パイパー、スティーブ・ボーエン両宇宙飛行士
主要作業内容
  • 右舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)関連の作業

詳細は第3回船外活動ステータスレポート#17をご覧ください。

第4回船外活動(飛行11日目)
開始日時 2008年11月24日午後0時24分(米国中部標準時間)
2008年11月25日午前3時24分(日本時間)
終了日時 2008年11月24日午後6時31分(米国中部標準時間)
2008年11月25日午前9時31分(日本時間)
作業時間 6時間07分
作業者 スティーブ・ボーエン、ロバート・キンブロー両宇宙飛行士
主要作業内容
  • 右舷側と左舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)関連の作業
  • 「きぼう」船内実験室の船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)関連の作業
  • P1トラス下部への外部TVカメラ(External TV Camera Group: ETVCG)の設置
  • 宇宙ステーション補給機(HTV)近傍通信システム(PROX)用GPSアンテナ1基の設置

詳細は第4回船外活動ステータスレポート#21をご覧ください。

船内活動

水再生システム(WRS)ラックを設定するドナルド・ペティット宇宙飛行士

水再生システム(WRS)ラックを設定するドナルド・ペティット宇宙飛行士

  • レオナルドのISSへの取付け
  • レオナルドとISS間の物資の移送
  • レオナルドから移送した物資(水再生システム(WRS)など)の設置・起動
  • スペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)とISSのロボットアーム(SSRMS)の運用
  • 船外活動の支援
  • エンデバー号とISS間の物資の移送
  • テレビ局、通信社とのインタビューなどの広報活動

主な問題など

打上げ時に確認されたデブリの問題について

打上げ後の上昇時に確認されたデブリ

打上げ後の上昇時に確認されたデブリ

エンデバー号の上昇時に、左舷側の軌道制御システム(Orbital Maneuvering System: OMS)ポッド付近でデブリが確認されたため、耐熱ブランケットが剥離した可能性が報告されましたが、その後のセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)を使用した点検で撮影された画像の解析結果から、耐熱ブランケットはすべて正常で、打上げ前にアンビリカル部に付着していた氷がはがれたものである可能性が報告されました。

このデブリは機体には衝突しておらず、帰還への影響もないため、詳細点検の実施は必要ないと判断されました。

船外活動中の工具バッグの紛失について

第1回船外活動中、ISSから離れ飛んでいくバッグ

第1回船外活動中、ISSから離れ飛んでいくバッグ

飛行5日目の第1回船外活動中に、船外活動用の工具を入れたバッグを紛失しました。

バッグには、トラッシュバッグ、太陽電池パドル回転機構(SARJ)の回転面を拭くための布、スクレーパ、グリースガン(潤滑剤用ガン)2個など、SARJのクリーニング作業に使用する工具が入っていました。紛失した工具については、予備の工具の利用や、残された2個のグリースガンを共有して作業するなどの対応がなされました。

「きぼう」船内実験室の船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)の伸展ボルトの未収納について

飛行8日目に行った「きぼう」船内実験室の船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)の点検時に、船外実験プラットフォームを構造的に結合するための伸展ボルト4本のうち、1本が収納されませんでした。

このため、問題のあった伸展ボルトを収納する作業が第4回船外活動で追加実施されました。

水再生システム(WRS)の不具合について

UPAを搭載したWRS2ラック

UPAを搭載した水再生システム(WRS)ラック2

水再生システム(WRS)の構成要素のひとつである尿処理装置(Urine Processor Assembly: UPA)が、飛行8日目に起動後、UPA内の蒸留装置のモータ速度の低下が感知され、短時間で停止しました。

NASAの技術者は、UPAの蒸留装置の遠心分離器の回転時の予期せぬ揺れにより物理的な干渉(接触)が生じたため、モータ電流の増加と温度上昇を引き起こしたと考え、飛行10日目には、蒸留装置を固定していたボルトから防震用のパッキンが外され、蒸留装置はWRSラック2に直接ボルトだけで固定されました。しかしこれでも十分ではなかったため、飛行11日目には、蒸留装置の残り2本のボルトも直接ラック構造部に固定されました。

UPAはその後の動作確認で、5時間の完全稼働を含む、3回の運転に成功しました。

飛行13日目に、今回のミッション中最後となるサンプルの採取が行われ、UPAの運転を停止させました。

有機炭素分析器(TOCA II)の作業を行うサンドラ・マグナス宇宙飛行士

有機炭素分析器(TOCA II)の作業を行うサンドラ・マグナス宇宙飛行士

また、飛行9日目、WRSの水質を検査するための有機炭素分析器(Total Organic Carbon Analyzer: TOCA II)が、最初のサンプルの分析を実施した際に停止しました。気泡のつまりによる原因が考えられ、飛行10日目に、TOCA IIのソフトウェアをアップデートし、水流を増加させた結果、飛行11日目の動作確認では正常に稼動しました。

これらのWRSの問題を受け、飛行11日目には、ミッションを1日延長してトラブル対応を行う事が決定されました。

(写真は全てNASA提供)

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